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【日本代表vsカメルーン代表:レポート】後半は課題山積も、大久保、田中達也、前田の先発3トップが好アピール。闘莉王と山瀬のゴールも飛び出し、強豪カメルーンを撃破(07.08.23)

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■キリンチャレンジカップ2007
8月22日(水)18:31/九石ド/37,240人
日本代表 2-0 カメルーン代表
得点者:25'田中マルクス闘莉王(日本代表)、89'山瀬功治(日本代表)
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「ご覧の通り、我々に何ができるか、できないかがハッキリした試合だった」
 日本代表のオシム監督は試合後の記者会見をこう切り出した。

 長旅と予想外の蒸し暑さ、そしてピッチ状態の悪さなどに苦しみ、本来のパフォーマンスを出せないカメルーン相手に、前半の日本代表はまずまず善戦した。いきなり先発起用された3トップはそれぞれの持ち味を発揮。大久保嘉人(神戸)と田中達也(浦和)は積極果敢にドリブルで仕掛け、前田遼一(磐田)は数多くの正確なボールタッチでポスト役としての能力の高さを示した。3月以来の代表復帰となる田中マルクス闘莉王(浦和)が早い段階で先制するなど、試合運びも決して悪くなかった。「選手同士の関係、走る量、押し上げ、自己犠牲のプレーに対する意欲はトップレベルに近いものを出すことができた」と日ごろ厳しい指揮官も、かなり前向きなコメントを口にした。

 ところが後半に入り、相手の交代に合わせて3バックへと布陣変更したあたりから、リズムがおかしくなる。日本も3トップを変えたことで攻めに勢いがなくなった。徐々に5バック気味になり、不用意なミスパスが重なって相手にボールをキープされた。カメルーンの決定力不足が幸いし、点を与えることはなかったものの、オシム監督も「つまらないミスで相手のチャンスをお膳立てしていた。それは純粋にスキルやボールタッチのテクニックなどが低いためだ」とバッサリ。日本の抱える問題点をズバリ指摘した。

 2−0で勝ちながらも、内容的にはいい面悪い面が混在していたカメルーン戦。これをしっかりと分析し、選手個々が理解したうえで、先へとつなげていくことが肝要だ。

 4位に終わったアジアカップから3週間。日本代表は2010年南アフリカワールドカップに向け、新たなるスタートを切った。その第一弾となるのが、今回の「キリンチャレンジカップ2007」日本代表対カメルーン代表だった。18時半から大分・九州石油ドームで行われたこの試合だが、キックオフ前に降り出した雨の影響で、ドームの屋根を閉めきった状態で行われた。結果として異常な蒸し暑さに見舞われ、選手たちにはかなり厳しかった。
 日本の基本布陣は予想通りの4−3−3。前日練習から3トップで行くことは分かっていたが、どの組み合わせが先発なのか不透明だった。指揮官は前田を1トップに据え、左に大久保、右に田中達也を配置する形を取った。最終ラインは右から加地亮(G大阪)、中澤佑二(横浜FM)、闘莉王、駒野友一(広島)。アジアカップで最終ラインに入っていた阿部勇樹(浦和)は鈴木啓太(浦和)とともにボランチに入り、遠藤保仁(G大阪)が攻撃的MFを務めることになった。
 対するカメルーンは4−5−1(4−3−3にも見える)の布陣でスタート。1トップはジョブ(スダン)で、注目のエトー(バルセロナ)は左MFからのスタートとなった。
 アジアカップで露呈した「個の打開力の低さ」という問題点を克服すべく、抜擢された3トップは立ち上がりからアグレッシブさを前面に押し出した。彼らの攻撃的姿勢が、前半25分の先制点をもたらしたといっても過言ではないだろう。遠藤の左サイドからのFKに反応した闘莉王のバックヘッドが見事に決まった。「相手は自分よりデカイ選手ばかりなんで、相手より前で触れば何とかなるんじゃないかと思っていた」と話す彼の復活ゴールで、日本は首尾よくリードする。

 前半終了間際にも、加地の鋭いえぐりからのクロスに呼応した遠藤が中央からシュートを放つ。完璧な崩しだったが、肝心のシュートをふかしてしまう。こういう決定機をモノにできないと後々苦しむことになるのだ。

 案の定、1−0で迎えた後半は、カメルーンに主導権が移ってしまった。「後半に入って選手が疲れ、交代でバランスが崩れ、さらには追いつきたいカメルーンが攻めてきて、ミスが多くなり、日本は数多くのピンチを招いた」とオシム監督も分析した。

 3バックに変更したはずの最終ラインが5バックに近い状態になり、中盤にはポッカリとスペースが空く。途中交代で出場した高松大樹(大分)にほとんどボールが行かない。最終的には山瀬功治(横浜FM)が豪快なミドルシュートを叩き込んで試合を2−0にした。が、その山瀬自身「大事なのは結果より内容。後半40分くらいピッチに立っていながら、ゴールはほんの1〜2秒だけだった」と後半の流れを変えられなかった不完全燃焼感を色濃くにじませた。

 後半だけを見れば、正直、エキサイティングなゲームとは言えなかった。選手たちの疲労が先に立ち、ダラダラした内容になったからだ。それでも高松や山瀬らにしてみれば、数少ないアピールの場であることには変わりなかった。であれば、もう少しエゴイストになってもいいから自分を積極的に出すべきだったのではないか。前半の大久保や田中達也はそれができたから指揮官から褒められたのだ。が、彼らにしてもこの試合でたった1回印象深い働きを見せただけ。これを機にJリーグでも結果を出し続けなければ、次の代表招集にはつながらない。オシムジャパンに定着できるようなパフォーマンスをこの先もコンスタントに示すことが重要なのだ。

 闘莉王と中澤が統率する最終ラインがまずまずの連携を見せ、高さでもカメルーンに引けをとらなかった点もこの試合の明るい材料といえる。個性の強い彼らだが、協調しながら今後もコンビを深めていってもらいたい。

 幸いにして、日本代表には2週間後のオーストリア遠征が待っている。次なるテストの場はすぐ後に迫っているのだ。次回は欧州組も合流するだけにチームがまた違った化学変化を起こす可能性もある。このカメルーン戦が何らかの起爆剤になってほしいものだ。

以上

2007.08.23 Reported by 元川悦子
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■オーストリア遠征 Vier-Nationen-Turnier(4カ国トーナメント)
9/7 オーストリア代表 vs 日本代表(27:30キックオフ @クラーゲンフルト)
9/11 スイス代表 vs 日本代表(27:15キックオフ @クラーゲンフルト)
※キックオフ時間は日本時間です。
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