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【U-17日本代表vsU-17ナイジェリア代表:レポート】ナイジェリアの上手さ、速さ、強さに完敗。しかし、日本らしさを貫いた戦いは誇ることが出来る(07.08.23)

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●U-17ワールドカップ韓国2007 グループリーグ第2戦
8月22日(水)20:00/韓国・光陽
U-17日本代表 0-3 U-17ナイジェリア代表
得点者:21'Ganiyu OSENI (U-17ナイジェリア代表)、31'Macauley CHRISANTUS(U-17ナイジェリア代表)、 82'Macauley CHRISANTUS(U-17ナイジェリア代表)
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殆どの記者や関係者が会場を去った後、ドーピング検査を終えて出てきた廣永は予想以上に打ちのめされていた。テレビ局のインタビューで、ディレクターに「次にフランスに勝てば決勝トーナメントに進んで、もう一度ナイジェリアにリベンジするチャンスもありますよ」と言われて搾り出した言葉に心境が表れていた。

「…もうやりたくないです。僕の中にあったちょっとした自信が粉々に砕かれた。あと何年か後にやりたいですね。今は勘弁して欲しい。(ナイジェリアは)見たくもないです」

GKとして、苦しい戦いを強いられるチームメイトを自分のセーブで救いたかったというポジション特有の責任感がこのような気持ちを加速させたのかもしれないが、ここまで打ちのめされているとは思わなかった。

立ち上がりからナイジェリアの上手さ、速さ、強さに圧倒された日本。「人とボールが動くサッカー」の更なるレベルアップの必要性を突きつけられる展開だった。プレスをかけても、絶妙なキックフェイント、逆方向に大きくボールを動かすトラップ、逆を突くドリブルでかわされてなかなか効果的に組織でボールを奪えない。ボールを奪っても、寄せの早さが焦りを誘って、なかなか3本連続してパスが通らないし、前線でキープすることも出来なかった。日本チームは海外遠征の経験も豊富で世界レベルを知っているが、ナイジェリアのそれはレベルがもうワンランク違う。昨年のアジア最終予選(AFC U-17選手権)で優勝したとき、柿谷は「日本のサッカー(人とボールが動くサッカー)をやれば、フィジカルや個人の技術で勝てないヨーロッパのチーム相手でも戦えると思う。でも、その相手が日本みたいなサッカーをやってきたらどうすればいいか判らない」という趣旨の話をしたが、まさにナイジェリアはそのサッカーが出来るチーム。それがヨーロッパではなく、アフリカのチームだった。これまでの「フィジカルアドバンテージを前面に出してくるアフリカ」というイメージは、そのうち消し去らないといけないのかもしれない。進化しているのは日本だけではなく、ナイジェリアを筆頭にアフリカも急速に進化している。

今大会で初先発を果たした米本拓司(兵庫県立伊丹高)、甲斐公博(横浜FMユース)が守備で身体を張って粘り強くプレーした点は素晴らしかったが、今のナイジェリアは、例えるならタイガー・ウッズやビーナス・ウィリアムズ級の強さ。部分的には健闘できても、勝負では勝てない差がある。ただ、何も出来なかった訳ではない。耐え切れずに21分、31分に失点してしまうが、同じく初先発の齋藤学(横浜FMユース)のスピードを生かしたドリブルからのシュート、端戸仁(横浜FMユース)のボレーシュートという攻撃面での見せ場もあった。端戸のシュートは、中央からサイド、サイドからゴール前へとボールを大きく動かし、「揺さ振り」をかけて手にしたスペースで手に入れたシュートチャンスで、日本が意図した形だった。GKの好セーブに阻まれたが、守備においても早い、強い、勤勉なナイジェリアからゴールを奪うための「日本の生きる道」を示したシュートだった。

後半になってナイジェリアのサッカーの質は若干落ちる場面も出てきたが、タイガー・ウッズもボギーは出す。既に8バーディーくらいは取っているから見劣りすることは無かった。ただ、慣れもあるのか、一発でかわされる場面は減ってきた。また、シュートミスなどで助けてくれる場面もあり、「(2点差なので)日本が1点を取れば…」という期待は持てた。城福監督は、柿谷曜一朗(C大阪)、大塚翔平(G大阪ユース)、河野広貴(ヴェルディユース)と前線にフレッシュなアタッカーを投入して勝負をかけたが、フレッシュというアドバンテージではナイジェリアを追い詰めることは出来なかった。最後は、柿谷の個が浮いてしまっているようにさえ感じる内容。82分には右サイドをえぐられてトドメの3点目を決められてしまう。

試合後、消耗しきった日本の守備陣が、控え目に手を合わせあった。0−3という完敗であるが、最後まで前への意識を持ち続けて戦った仲間同士しか共有できない感情だったのだろう。3失点も内容も恥かしいものではない。劣勢の中、総崩れすることなく日本のサッカーを貫き通し、彼らは誇れるプレーを見せた。限界を超えてプレーすることが成長に繋がる。ナイジェリア戦の敗戦は世界の終焉ではない。次は、グループ2位通過を確実にするためのフランス戦(25日)。アジア1次予選から崖っぷちの戦いを勝ち上がってきたチームの粘り強さを見せてほしい。

以上

2007.08.23 Reported by 松尾 潤

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■U-17ワールドカップ韓国2007 グループリーグ第3戦
8月25日(土)19:00/韓国・高陽
U-17日本代表 vs U-17フランス代表
・テレビ中継:CS「フジテレビ739」にて録画中継 22:00〜24:20/フジテレビにて録画放送 8月26日 0:45〜2:55

■グループD その他の試合
U-17ハイチ代表 1-1 U-17フランス代表

■グループD 順位表
1位:U-17ナイジェリア代表 勝点6
2位:U-17日本代表 勝点3
3位:U-17フランス代表 勝点1
4位:U-17ハイチ代表 勝点1
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