8月29日（水） 2007 J1リーグ戦 第23節
神戸 1 - 2 浦和　（19:03／神戸ユ／20,067人）
得点者：'49 田中達也（浦和）、'74 田中達也（浦和）、'79 栗原圭介（神戸）

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　事前の天気予報では雨が降るとも言われていた神戸。しかし、その予報は外れ、試合前には青空が、試合中には満月がくっきりと見え、絶好のサッカー観戦日和となった。ただし、朝方の涼しい気候から夕方になると蒸し暑さが出てきて、湿度80パーセントという状況となり、これがどのように試合に影響するのかが見所のひとつとなった。

　ピッチに見所を移すと、今回、神戸ではボッティ、浦和では鈴木啓太と、チームの中心となるボランチがともに出場停止。その穴を埋める形で、神戸では7月に期限付き移籍で加わったディビッドソン純マーカスが今季初先発。そして、その並びにはコンディションが心配された前浦和の酒井友之も元気に出場した。浦和ではDFに坪井慶介が復帰し、DFから阿部勇樹がひとつ前のボランチに上がってきた。結局、小野伸二は今回もベンチスタートとなった。

　開放されていないバックスタンド2階席と、緩衝地帯を除けば、スタンドは神戸、浦和の両サポーターが半々で埋まり、ほぼ満員の状態に。今節最高の20,067人の観衆を集めた神戸ユニバー記念競技場で、神戸と浦和の一戦がキックオフされた。

　前半は、互いにシュートを打ち合うスリリングな内容に。「前半はわれわれが思い描いていたゲーム」（松田監督）の形を作れたホームの神戸は、得意のカウンターや右サイドを中心とした展開からチャンスを作り、酒井とディビッドソンの両ボランチも攻めに出るなど、分厚い攻撃で浦和の7本を上回る12本のシュートを繰り出すも、神戸MF大久保嘉人に訪れた2度の好機などを活かせず先制できない。一方の浦和は左MF平川忠亮を起点にスピードあふれる攻めを見せるが、こちらもFW永井雄一郎のゴールエリア内でのシュートが神戸GK榎本達也の正面にいってしまうなど運もなく、決定機も2度3度と外し、スコアレスのままハーフタイムを迎える。

　しかし、後半に入って地力の差がくっきりと出る。「後半になって前から前から取りに行くことで自分たちのペースをつかむことができた（阿部）」王者・浦和は、後半開始早々の49分、先制点を奪う。山田暢久の右クロスをポンテが落とすと、神戸DFの重心が少し下がり気味だったところを見逃さなかった田中達也がペナルティーエリア外からダイレクトシュート。右足で振り抜いた強く低いグラウンダーのボールが見事にネットに突き刺さった。このゴールをきっかけに、浦和は、蒸し暑さからか前半のように動けなくなった神戸に対し試合を優位に進め、74分にも左CKから貴重な追加点を挙げる。ポンテの右足からのキックは、低くハーフスピードでゴール前へ。ニアでクリアに失敗した神戸DFの足をすり抜けると、中で堀之内聖がヘッドでつなぎ、最後は田中達が押し込み、この日2得点目を記録した。

　一方の神戸は、運動量のある田中英雄、栗原圭介を投入して打開を図り、2点のビハインドを背負ってからは、攻撃的な選手であるガブリエルを3枚目のカードとして77分に起用。3トップ気味な形を作って得点を奪いにいくと、その2分後、右DF石櫃洋祐のクロスからニアで朴康造が軽く合わせ、そこにファーから栗原が詰めてゴール。1点を返して、ホームのサポーターを盛り上げる。しかし、その後は松田監督がハイプレスを指示するなど前からボールを取りに行くも、途中出場した小野をはじめとする浦和の老獪で冷静なゲーム運びを打ち砕けず、そのまま1−2でタイムアップ。またしても浦和の力に屈した。

　確実に勝点3を獲得した浦和はこれで8月のハードスケジュールを5勝1分けで乗り切り、J1リーグ戦では16試合負けなしとなって、首位の座をがっちりキープした。反対に神戸は3連敗となって順位を11位に落とすことに。ただし、ボッティ抜きでも特に前半は互角以上の戦いを見せていただけに「とにかく次の試合にこの悔しさをぶつけるようにしたいし、選手もそう思っているだろう」（松田監督）と、この敗戦を糧として次節のF東京戦（9/1＠国立）に目を向けている。J1残留争いに加わらないようにするためにも、これ以上の連敗は避けたい神戸の、9月からの巻き返しに期待したい。

以上


2007.08.30 Reported by 前田敏勝