8月29日（水） 2007 J1リーグ戦 第23節
千葉 6 - 0 大分　（19:03／フクアリ／10,447人）
得点者：'37 佐藤勇人（千葉）、'65 山岸智（千葉）、'83 水野晃樹（千葉）、'87 工藤浩平（千葉）、'89 水野晃樹（千葉）、'89 青木孝太（千葉）

----------

序盤は互角、いやむしろ前線から激しいプレスを仕掛ける大分のほうが優勢に見えた。千葉は、大分がディフェンスラインを高く保ってコンパクトになった中盤からは、前方へのパスが思うようにつながらない。20分過ぎからはようやくペナルティエリア近くまでパスがつながるようになったが、シュートを決められず、千葉の苦戦は必至かと思われた。
一方の大分は、前線からのプレスでボールを奪うとスピーディーに攻撃を仕掛ける形を徹底。しかし、それでも千葉と同様に決定機をモノにできない。35分、ＣＫからＭＦホベルトがヘディングシュートを放つが、ボールはワンバウンドでクロスバーの上に飛んだ。

試合の流れを大きく変えたのは、35分に失点の危機を免れた千葉の先制ゴールだった。37分、ＦＷ巻誠一郎がファウルされて得たＦＫをＭＦ水野晃樹が蹴る。すると、大分の選手２人と競り合いながら、ＭＦ佐藤勇人がゴールを背にした体勢でヘディング。ボールはクロスバーぎりぎりでゴールマウスに飛び込み、大分のＧＫ下川誠吾は一歩も動けなかった。大分のシャムスカ監督が「私はあれが狙ったゴールだと思わない」と語り、得点した佐藤が「ヘディングシュートなんて自分らしくない」と話したほど、ある意味、ラッキーな形のゴール。だが、その『１点』は得点力不足に苦しんでいる千葉には大きな力を、「試合の入り方はよかった」と試合後にＤＦ深谷友基が語った大分には大きなダメージを与えた。

後半は、大分が点を取ろうと前がかりになった分、前半は千葉を苦しめた大分の守備に緩みが出た。前線でタメを作っていたＦＷレイナウドが56分に負傷交代した千葉だが、65分、勝利を大きく引き寄せる『２点目』を奪う。右サイドの水野がアーリークロスを入れると、ゴール前中央の巻はヘディングが空振りになったが、ファーサイドに走りこんだ山岸が押し込むように決めたのだ。試合前に山岸と水野が話し合っていたゴールの形だった。
その後は一進一退の攻防が続いたが、83分、水野のミドルシュートが決まって千葉が決定的な『３点目』を奪うと、大分の集中力が切れた。千葉は、87分にこぼれ球を拾ったＭＦ工藤浩平が、89分に直接ＦＫで水野がゴールをゲット。さらにロスタイムにはＦＷ青木孝太が大分の選手と競り合ってこぼれたボールを佐藤が拾ってドリブルし、ＧＫの下川と１対１になると青木にプレゼントパス。青木がシュートを確実に決めて６点目を奪った。

前半は優位に試合を進めた大分だったが、先制点を奪えず、後半に攻守のバランスが崩れたことが響いた。第22節で２得点のＭＦ高橋大輔は「相手に先に点を取られても踏ん張ろうと話していたのに、それができなかった。チーム全体でいい形でボールを保持できないと、僕も前に出られない。今日は苦し紛れに前線にボールを預ける形があった。下を向いても仕方ない。力不足なので、練習あるのみです」と話して、スタジアムをあとにした。
千葉は、40分にＭＦ羽生直剛が大分のホベルトに引っ張られながらもボールを奪ってパスを出したシーンに象徴されるように、粘り強くプレーしたことが勝利につながった。１対１の場面では、絶対に相手に負けない。その気迫と高い集中力でのプレーが攻守両面で発揮できるようになれば、得点力不足解消と失点の減少は難しい問題ではなくなる。


以上

2007.08.30 Reported by 赤沼圭子