11月18日(日) 2007 J2リーグ戦 第50節
札幌 2 - 2 京都 (14:04/札幌ド/32,599人)
得点者:35' 渡邉大剛(京都)、73' 岡本賢明(札幌)、76' 石井謙伍(札幌)、89' 西野泰正(京都)
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札幌ドームに詰め掛けた観衆は32,599人。首位の札幌はこの日、3位・京都に勝利すれば2位以上が確定する。その瞬間に立ち会おうと、数多くのファンがスタジアムに駆けつけたのだ。試合開始直前、札幌側のゴール裏スタンドに浮かび上がった人文字は「ONE HEART」。資金的には決して潤沢ではない地方クラブが、多くの心をひとつに終結し、束になることで最後のハードルを越えようとしていた。そして、そこで行なわれた試合は一進一退の激しい攻防。時計の針が進むにつれて、スタジアムの盛り上がりが高まっていくのが手に取るように感じられた。
ホームの札幌は普段通りの4−4−2。最終ラインには長身選手がズラリとならび、中盤の4人もバランスを保ってしっかり守る。そしてダヴィ、中山で組む2トップも前線から献身的な守備をこなし、相手に自由なビルドアップを許さない。そうしたスタイルをサボることなく継続してきたことが、戦力的には決してリーグトップのそれではない札幌がここまで首位を維持してきた最大の要因だ。
対する京都はメンバー表を見ると4−3−3だが、守備時のシステムは4−4−2。ただし、マイボールになった瞬間に左MFの徳重が素早く前線へと張り出し、残りのMFが左側へスライドして4−3−3の攻撃的な布陣へと変わる。
「前半から両チームともロングボールを中心とするゲーム展開だった」と札幌・三浦監督は振り返る。札幌はもともとダイレクトプレーを得意とするチームだし、ここ最近、3トップを基本布陣とする京都も田原、アンドレ、徳重といった攻撃時に前線でプレーをする3人がゾーンで守る札幌の4バックの、人と人の間にポジションを取り、そこへ最終ラインの森岡、角田からフィードを送ることで起点を求めた。「ロングボール中心のゲーム展開」と聞くと、大味なゲームスタイルをイメージするかもしれないが、この両チームはどちらも前線と最終ラインに長身選手を擁しており、そこでの空中戦およびセカンドボールをめぐる攻防には非常に迫力があり、見応えもあった。
そうした中で先制点を奪ったのは京都。35分、バイタルエリアでのパス交換で札幌の守備ラインを突破し、左サイドに流れた石井からのグラウンダーのクロスを右サイドから入り込んできた渡邉が合わせてゴールネットを揺らした。
「先制されると、なかなか逆転したり同点にしたりするのは、このリーグの中では難しい」と三浦監督。守備に人数を割くチームが多かったり、決定力のあるストライカーが少ないJ2では先制点の持つ意味は大きい。実際に、今季札幌が先制点を許しながらも勝点を得た試合は4つほどしかない。そうしたことを考えれば、京都に先制点を与えた時点で札幌の勝利、つまりこの日の昇格内定は難しいと思われた。しかし、後半に入ると流れは一気に札幌へと傾く。そのきっかけは三浦監督のベンチワークだった。
後半開始と同時に三浦監督は2枚のカードを切る。ひとつは腰に痛みがあった曽田に代えて池内。もうひとつが砂川に代えて岡本。そしてこの岡本投入が流れを呼び込んだ。砂川のいた左MFの位置にそのまま入った岡本は、プレースタイルとしては砂川と同様にドリブル突破がベース。ただし、岡本は砂川ほどステップワークに上手さはないが、砂川にはない縦への強さとシュートへの積極性という武器がある。それが実を結んだのが73分。同じく途中出場の石井からのパスをフリーで受けると、そのまま縦へと持ち込んで左足で同点弾。そしてこれで勢いに乗った札幌はその3分後、今度は石井が相手ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。それを石井自らが決めて札幌は逆転に成功した。
逆転に成功してからのスタンドの雰囲気は圧倒的だった。3万人以上が詰め掛けたスタンドは、前半こそ両ゴール裏の声援ばかりが目立っていたが、岡本の同点ゴール、石井の逆転PK以降はメインスタンドやバックスタンドからも大きな声援が送られるようになった。2位以上確定の舞台は完全に整った、そんな雰囲気が出来上がっていた。
しかし、だからといって勝負は決しないのがサッカーの面白いところ。ロスタイム突入間際の89分、ゴール前での競り合いでブルーノ・クアドロスが相手選手を倒してしまい、京都がPKを獲得。これを西野が丁寧に決めて再びタイスコアに。そしてそのまま、タイムアップの笛が鳴った。札幌の2位以上確定は次節以降に持ち越されることになった。
試合後、ミックスゾーンに姿を現した札幌の選手たちは総じて歯がゆそうな表情だった印象だ。もちろん、大観衆を集めたホームゲームで自力での2位以上確定を達成したかったことだろう。しかし、豊富な戦力を持つ京都相手のドローは決して悪い結果ではない。勝点は88に達し、J1昇格圏内である3位以内は確定させた。念願であるJ1昇格により近づいたのだから、ポジティブに捉えてもいい結果だ。
そして京都の方も、この勝点1をポジティブに考えて良いだろう。試合数の多いJ2ではやはり負けないことが重要になる。先制しながらも逆転されたとはいえ、圧倒的なアウェイゲームをドローで終えたのだから、ベターな結果と評していい。当然、置かれている状況を考えれば勝つに越したことはないが、勝ちたい試合に勝てるほどサッカーは簡単ではない。「次につながるゲームができた」という加藤監督の言葉は的を射ているはずだ。
さあ、いよいよJ2は残り2節。果たしてどういった結末が我々を待ち受けているのだろうか。
以上
2007.11.19 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第50節 札幌 vs 京都】レポート:32,599人が見守った大一番は、互いに点を取り合う熱戦に。首位・札幌と3位・京都が勝点1ずつを分け合う。(07.11.18)
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