12月1日(土) 2007 J1リーグ戦 第34節
鹿島 3 - 0 清水 (14:34/カシマ/31,384人)
得点者:20' 小笠原満男(鹿島)、48' 本山雅志(鹿島)、58' マルキーニョス(鹿島)
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キャプテンマークを巻く小笠原満男のPKに始まり、シーズン通じてチームを牽引した背番号10・本山雅志の目の覚めるようなミドルシュート、エースストライカー・マルキーニョスの個人技を生かした3点目。決めるべき人が確実にゴールを決め、鹿島アントラーズは、清水エスパルス戦勝利というノルマをまずはキッチリと果たした。
オズワルドオリヴェイラ監督や控えの選手たちがピッチに駆け込み、異様な熱気と興奮に包まれるカシマスタジアム…。次の瞬間、大型映像装置に横浜FCにリードを許す浦和レッズの姿が映し出された。選手たちはしばらくの間、祈るようにこの行方を見守った。試合は1−0のまま終了。その瞬間、鹿島にとって悲願だった10冠がようやく現実のものとなったのだ。
岩政大樹と大岩剛が人目をはばからず号泣し、若い内田篤人も目に涙を浮かべている。2002年ヤマザキナビスコカップ決勝から5年。タイトル奪還までの道のりは実に長かった。オズワルドオリヴェイラ監督が就任した今季も開幕5試合未勝利。野沢拓也や田代有三が負傷離脱し、3人の新外国籍選手もフィットしないなど、最悪のスタートを余儀なくされた。一時は15位に低迷したチームが優勝するなど、一体誰が予想しただろう…。夏場にガンバ大阪、名古屋グランパスエイトに敗れた時点では、首位・浦和と勝ち点差は10。ここから9連勝を果たし、12月1日の最終節で逆転したのだから、まさにミラクルとしか言いようがない。「今回の優勝は今までのタイトルとは違う」と小笠原も話したが、それほど奇跡的な逆転劇だった。
浦和の予期せぬ失速によって転がり込んできたタイトルではあるが、岩政は「1シーズンを通しての結果として、この優勝がある。今季は鹿島が一番よかったということ」と胸を張った。彼らが2007年J1チャンピオンに輝いたのは決して運ばかりによるものではない。その実力は大いに評価されるべきだ。
11月24日に行われた第33節で、首位に立っていた浦和を1−0で下し、勝点1差に詰め寄った鹿島。この状況で12月1日の最終節を迎えた。その相手は4位・清水。鹿島が8連勝中なら、清水もここ6試合無敗と、まさに好調なチーム同士の激突となった。
鹿島のスタメンは予想通り。出場停止の新井場徹の担う左サイドバックには石神直哉が入った。一方の清水は左ふくらはぎを痛めているエース、チョ・ジェジンが欠場。代わって岡崎慎司が先発した。
立ち上がりは清水ペース。逆転優勝への気負いがあったのか、鹿島はボールを落ち着かせられない。逆に清水はゲームを支配。しっかりとしたポゼッションからサイドを使って攻撃を組み立てた。「今日は鹿島に引導を渡すためにここにきた」と長谷川健太監督が話したように、清水イレブンからも激しい気迫が感じられた。
ところが前半19分の1つのプレーで、彼らのシナリオは脆くも崩れ去る。昨季まで清水でプレーしていたマルキーニョスは、高木和道ら守備陣の弱点が「一瞬のスピード」であることを見抜いていた。そこで石神のクロスに合わせ、絶妙のタイミングでぺナルティエリア内に走りこみ、高木のファウルを誘ったのだ。西村雄一主審はすぐさまPKを宣告。これを小笠原がキッチリと決め、鹿島は巧みに1点を先制する。「あのPKがなかったら…」と長谷川監督も悔やむゴールだった。
これで完全に流れをつかんだ鹿島。後半立ち上がりの3分には、セットプレーのこぼれ球を拾った本山が、ぺナルティエリアの少し外側から目の覚めるようなシュートをゴール左隅に決める。「この点が入った時、いけるかなと思った」と本人も優勝を予感した1点だった。この10分後には3点目が入る。曽ヶ端準のゴールキックに反応した田代有三が抜け出し、マークを引きつけたところで、背後から走ってきたマルキーニョスにパス。FWの大黒柱は鋭い個人技で相手を抜き去りシュート。これがGK西部洋平に当たって、そのままゴールに飛び込んだ。カシマスタジアムはイケイケムード。誰もが鹿島の勝利を確信した。
優勝の行方は浦和の結果に委ねられた。が、選手たちは試合終了時まで全く知らなかったという。「終わった瞬間の監督たちの喜びようを見ていたら、レッズが負けているんだと分かった」と興梠慎三はコメントしていた。前節の頂上決戦に敗れた浦和には、もはや鹿島の勢いを跳ね返すだけの力が残っていなかったようだ。鹿島はとうとうJリーグ史上初の10冠を手に入れた。
シーズンを振り返ってみると、1つの大きな節目が8月末から9月にかけての時期だった。小笠原が復帰した後半戦は4連勝からスタート。ところが8月29日の第23節でG大阪に大量5失点を食らって敗れ、次の川崎フロンターレ戦には勝ったものの、9月15日の第25節で名古屋に完敗。順位を4位まで下げた。ここで諦めていたら終わっていたかもしれない。が、この敗戦によって逆に攻守のバランスが修正され、その後の9連勝へとつながっていった。「誰かが出場停止になった時、代わりに出た選手が活躍した」と小笠原も話していた通り、チームの選手層も厚くなっていった。序盤戦は中後雅喜や増田誓志、後半戦は船山祐二や興梠といった若手が結果を出したことも、チームに勢いを与えた。小笠原、本山らタイトル経験者たちもコンスタントに活躍。彼らと若手がうまく融合したからこそ10冠を達成できた。まさにチームとしてつかんだ優勝だったのだ。
「また常勝と呼ばれるように、魅力あるチームにしていきたい」と小笠原は笑顔で語った。この日、劇的な形でつかんだタイトルが、鹿島の「第2次黄金時代」の幕開けになるかもしれない。
以上
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