3月1日(土) 2008 ゼロックススーパーカップ
鹿島 2 - 2(PK 3 - 4)広島 (13:35/国立/27,245人)
得点者:49' 本山雅志(鹿島)、52' 野沢拓也(鹿島)、80' 久保竜彦(広島)、85' 佐藤寿人(広島)
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「判定のことばっかりが話題になっているけど、内容から目を背けちゃいけない。2−0から追いつかれたことはよくない。勝ちきれるようにしないといけない」と今季からキャプテンを務める小笠原満男は毅然と言った。
前半開始わずか12分で岩政大樹が2枚目の警告を受けて退場するという波乱の幕開けとなった2008年ゼロックススーパーカップ。鹿島アントラーズは早い時間帯から数的不利を強いられながらも、しっかりとしたボールポゼッションを披露する。前半38分にはサンフレッチェ広島も10人になったことで、後半は頭から畳み掛ける。そして本山雅志、野沢拓也が立て続けにゴール。彼らは昨季J1・天皇杯王者の底力を見せつけた。
だが、シーズン開幕前の蓄積疲労からか、後半30分あたりから運動量が低下。33分には久保竜彦にPKを与えてしまう。「あの場面は中後(雅喜)と久保が接触して倒れたところに少し遅れて青木(剛)が接触した。が、ウチの選手たちは中後が逆にファウルを受けたと思ったが、審判は青木が後ろから久保を引っ掛けて倒したということでPKにしたようだ」と鹿島の鈴木満取締役強化部長は説明するが、スタンドは騒然となった。ここで1点を返され、鹿島の歯車が大きく狂う。試合終了5分前の佐藤寿人の同点弾のシーンも守備陣の足が止まっていた。「2−1で終われたのに守りきれなかった」と守護神・曽ヶ端準も険しい表情で語った。
これで流れは完全に広島へ。PK戦でも曽ヶ端が止めた2度のシュートがやり直しになり、鹿島は勝機を失う。最終的には広島が2−2(PK戦4−3)で勝利。さすがの常勝軍団も想像を絶する乱戦を制することはできなかった。昨年10月13日のJリーグヤマザキナビスコカップ準決勝・ガンバ大阪戦から始まった公式戦12連勝がストップしたばかりでなく、J2で戦う格下のチームに苦杯を喫したことはチームに悪影響を及ぼしかねない。しかも3月8日のJ1開幕戦・コンサドーレ札幌戦には岩政、大岩剛という守備の大黒柱2人が出場停止という大きな痛手も負った。「年間通して戦っていればこういうケースも絶対に出てくる。やれることを見せたい」と小笠原が改めて強調したように、チーム全体が気持ちを切り替えて、前に向かうしかない…。
昨季2冠という華々しい結果をベースに、今季はさらなる飛躍を誓った鹿島。彼らは1日のゼロックススーパーカップで力強い一歩を踏み出したかった。オズワルド オリヴェイラ監督が全幅の信頼を寄せるベストイレブンも揃い、今年元日に2−0で下した広島を迎え撃つ準備は整っていたはずだった。
ところが、岩政の退場でシナリオが狂う。1月の日本代表指宿合宿から一度も90分ゲームをこなしていない彼にとって、この広島戦は重要なチャレンジの場だった。が、その挑戦はわずか12分で終わってしまう。「試合の入りはよかったし体も動けたのに…。来週の開幕戦に出られないことがいちばん悔やまれる」と本人も予期せぬ退場に衝撃を受けていた。
いきなり10対11の状況を強いられた鹿島。しかしその後も小笠原、本山、野沢という高い技術を誇る中盤を軸にボールを支配し、数的不利を感じさせない。広島守備陣がマルキーニョスと田代有三の2トップをしつこくマークしていたため、決定機は作れなかったが、大きなピンチもなし。38分に李漢宰が退場したことも追い風となり、前半は鹿島ぺースのまま終了する。
迎えた後半、広島は高萩洋次郎を投入し、4バックに布陣変更してきた。が、この移行がスムーズでなかったところを老獪な鹿島攻撃陣は確実に突く。開始4分には、小笠原から右サイドでパスを受けた野沢がクロスを上げ、GKがクリアしたボールを拾った本山が、巧みなドリブルで相手をかわしてシュート。昨季J1最終節・清水エスパルス戦のミドルシュートを髣髴させるような見事なゴールで1点を奪う。この3分後には小笠原のスルーパスがDFに当たってこぼれ、ボールを拾った野沢が強引に右足でゴール。電光石火の攻めで2−0とリードを広げた。
このまま逃げ切れれば御の字だったが、広島・ペトロヴィッチ監督が久保竜彦とユキッチを投入してきたことで微妙に風向きが変わり始める。オズワルド オリべイラ監督も守りを固めようと後半30分に野沢と中後を交代。中後をセンターバックに置き、それまで岩政の穴を埋めていた青木をボランチに上げた。が、この両監督の采配と主審の笛が試合を大きく変えてしまう。
広島にPKが宣告されたのは中後の登場からわずか3分後。もちろん判定に不可解さを感じられた方も多かったと思われるが、鹿島の方も運動量が落ち、バランスが悪くなるなど、昨季終盤戦のような圧倒的な強さが失われていた。久保にPKを決められて1点を返された時点でガクッときたようだ。佐藤の同点弾も相手の巧みなポジショニングと執念を褒めるべきだろう。
その後は、スタジアム内に不穏な空気が漂う中でPK戦が行われ、終了後に曽ヶ端と中後にイエローカード、大岩にレッドカードが出たり、一部のファンが乱入する事態に至ったのは非常に残念だったという他ない。
今季の鹿島は柳沢敦とファボンが抜け、FWとセンターバックの選手層が懸念されていたが、この一戦で不安が出てしまった。マルキーニョスと田代の2トップは不発で、途中交代したダニーロも流れを変えられなかった。興梠慎三も開幕までに復帰できるかギリギリのところ。前線の底上げは急務のテーマといえる。そしてセンターバックの方も心配だ。この日は青木がいい仕事を見せたが、中後が入ってから大岩との連携に不安定さが垣間見えた。伊野波雅彦もチームに溶け込む時間が少なすぎる。とはいえ、次のゲームは岩政と大岩が出られないだけに青木、中後、伊野波らをうまく組み合わせていくしかない。
不運に不運が重なり残念ながら今季最初のタイトルは取れなかった。それでも中盤が相変わらず抜群の創造性と連携を見せるなど、鹿島らしいサッカーを見せた時間帯も少なからずあった。それを大きな自信にして、開幕からのJ1・ACLの13連戦に挑みたい。この試合は「悪夢」だと割り切り、いち早くメンタル面を切り替えること。今はそれが何よりも肝要だ。
以上
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