3月29日(土) 2008 J2リーグ戦 第5節
山形 0 - 0 甲府 (13:04/NDスタ/3,164人)
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前々節で5失点したホーム山形と、今季4戦未勝利のアウェイ甲府。ただし、必死さはあっても悲壮感はない。このゲームの勝点3だけを見つめながら、 両チームは北風が包むNDスタでキックオフを迎えた。
甲府はピッチ上に密集をつくることで、前半を自分たちの舞台に変えていく。その戦術は折り込み済みだったはずの山形を、パススピードの速さと的確なポジショニング、球際で確実にマイボールにできる高い技術で翻弄しながら、人数をかけて次々とパスを通していった。ただし、密集を抜け出して上げたクロスは、「受け手と出し手のクオリティが低かった」(甲府・井上)。得点のにおいが漂ってこない前半で、最大のチャンスは32分。左サイドの密集を抜けた井上がグラウンダーで中央へパスを入れ、落としたところを藤田がミドルを打ち込んだ場面。マークが外れていたが、シュートは左にそれた。
安間監督は、山形が5失点を喫した前々節・岐阜戦のスカウティングから、「サイドを起点にしてとにかく仕掛ける」という攻撃プランをしたためていたが、アンラッキーだったのは、この日の山形が岐阜戦のときの山形ではなかったことだ。「甲府が3トップで中盤の前の2枚が出入りするということを、DFラインとボランチでどうやってつかまえていくかというのをテーマにずっとやってきていた」(山形・木藤)という守備は人をつかみ損ねることなく、集中力も高かった。
ただ、わかっていたこととは言え、甲府のパスワークの技術は高く、前半は主導権を握られる。「ボールを奪ったあとに広げるということを狙っていたんですけど、なかなか向こうのアプローチが早くて広げさせてもらえなかった」(山形・小林監督)。リスクを避けるために、「奪ったら蹴るしかなかった部分が多かった」(宮沢)が、そのなかでもわずかな隙を突くチャンスはあった。前半25分、宮沢が中盤でアイコンタクトから絶好のパスを裏へ送る。今季初先発・長谷川がきびすを返して走り込むタイミングは完璧でフリーになることはできた。ただ、肝心のシュートはイメージどおりミートせず、GK桜井に弾かれた。
0−0で折り返すと、最初に動いたのは山形。2日前のアンゴラとの国際親善試合で67分間出場し、反町ジャパン唯一の得点を挙げた豊田を後半頭から投入してきた。と同時に、ピッチ上では前半には見られなかった微妙な変化が顕れる。ボールを奪った山形は、迷わず豊田の頭に合わせる長いボールを送るが、それを繰り返すうちに、両チームのラインが、ほんの少し間延びする。人と人の距離が遠くなった分、甲府はパスワークの鋭さを削がれ、ボールを奪われた直後のプレスもかかりにくくなった。逆に、ボールをつなぎやすい条件が整った山形は、奪ってからの広い展開で後半10分過ぎから一気に攻勢に出る。
後半13分、宮沢がバーの下ギリギリに飛ばす直接FKを放つと、直後に得たCKでは、ショートコーナーからのクロスを豊田がヘッドに当てる。右サイドで宮本がボールを奪い始めると、後半19分にも宮沢を起点にしたカウンターで宮崎、リチェーリへとつないだ。後半22分には左サイドで3人に囲まれ、一旦は倒れたリチェーリが、立ち上がりボールとともにペナルティエリアに進入。25分にもリチェーリが山本と入れ替わりでフリーになり、ペナルティエリア内でシュート。26分には浮き球の処理で生じた山本とGK桜井の連携ミスを突き、弾だボールに頭から果敢に飛び込んだ。ただし、山形が悔やまれるのは、後半にこれだけのチャンスを作りながらゴールを割ることがなかったことだ。
甲府は後半、前田に代えて久野、林に代えて大西、石原に代えて美尾と攻撃のカードを次々と切り、前がかりに仕掛ける姿勢は見せた。ただ、後半39分に久野が技ありのターンでフリーになりかけるシーンはあったが、組織された山形のディフェンスの前に、チャンスらしいチャンスをつくれなかった。さらに、 奪われた後は山形のカウンターに晒されることになったが、「そこ(カウンター)をどう抑えられるかというのはずっと考えながら取り組んでいる。少しぐらいのピンチはあると思うので、そんなに問題じゃない」(桜井)と、守備では踏ん張るべきところで踏ん張れる地力を発揮した。
暫定12位と13位が、90分間スコアレスで勝点1ずつを分け合う試合。盛り上がりが欠けたのかと言えば、決してそうではない。ショートパスの連続でサイドを割ってみせた前半の甲府、幅広い展開でボールに絡んだ後半の山形とも、最初から最後まで体を張る守備とともに、攻撃でも互いのカラーは出せていた。さらに、ゴールをめざしヒートアップした終盤も、観る者を惹きつけた。もちろん、足りないものがあるからこその無得点だが、「これはずっと続いている課題。根気強く育てていくしかないので、続けていかなければならないこと」と甲府・安間監督。この思いは、山形も共通して持っているものだ。根気強く続けた先に待っているものがある。それを信じることがどんなに楽しいか、これから続く1試合ごとに噛みしめてみたい。
以上
2008.03.29 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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