3月29日(土) 2008 J2リーグ戦 第5節
仙台 1 - 0 草津 (13:04/ユアスタ/12,167人)
得点者:54' 中原貴之(仙台)
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手倉森監督が戦前に恐れていた通り、さすがは策士、植木監督。仙台の長所であり、調子のバロメーターとも表現できる箇所を、先手を打って潰してきた。
仙台のサッカーが上手く運んでいる際、回数が頻繁となるのが、右SBである菅井の攻め上がり。チームが好調だからそれが増えるのか、それが多いからチームが好調になるのか、このあたりは鶏が先か卵が先か…といった話になるのだが、ともかく草津はこの日、菅井の前にFWの一角である高田をほぼ張らせる形で、仙台のストロングポイントを消しにかかった。
これにより仙台の攻め手が完全に削がれたというわけでは決してなかったのだが、草津がここを橋頭堡(きょうとうほ)としたことも確かだった。左サイドで仙台を押し込むことが出来た草津は、そこに寺田も飛び込んでくることでサイドから良いボールを何度か供給、仙台を脅かす。
だがこの戦法こそ、草津にとっては「ギブ&テイク」の要素を持った作戦だった。ゴール前でのフィニッシュが仕事であるはずのFWを、いわばゲームを拮抗させるための素材として使うことで、草津が好ボールをゴール前に供給できても、ターゲットとなるのがもう一人のFWである氏原しかいない。それにより仙台は守備の的を要所で絞ることができた。ゲームの流れが草津にあると思われた前半の時間でも、仙台が心底肝を冷やすような場面はあまり多くなかったのは、ここに理由がある。試合後に植木監督は「中盤の構成力が高まっても、フィニッシュに繋がらなければ意味がない」と振り返ったが、まさにそのジレンマが草津にはあった。
とはいえ、ゲームをロースコアで続け、セットプレーでも何でも1点をもぎ取って勝利するという草津のプランを踏まえれば、まさにその通りの展開になりかけていたのも事実である。53分、草津の右CK。セットプレーにおける「必殺の武器」である島田の左足から放たれたボールが、ゴール前の混戦から仙台ゴールに向かう。ところがこれは、ゴールからわずか右に外れて行った。
するとその直後の54分だ。ハーフウェーラインの前で、千葉が体を張ってこぼれ球を中島につなぐと、中島は右の佐藤へ。高い位置でボールを失った草津の守備陣が仙台の選手を捕まえきれない中、佐藤は高精度のクロスをゴール前へ注ぎ込んできた。ニアで合わせたのは中島。このヘディングシュートは枠に跳ね返されるものの、こぼれ球を集中して狙っていた中原の伸ばした左足が、誰よりも先にボールに届き、ネットへとボールを押し返した。草津にとっては「チャンスを逃した直後の失点」という悪い癖が出た、一方仙台にとっては苦しい試合の流れを一気に引き寄せる1点となった。
その後の仙台は素晴らしかった。守備的を意識するあまりに引きすぎた前節の反省をしっかりと踏まえ、ブロックは作りながらもラインは高いというバランスのとれた守備を披露。つないでくる草津のパスミスを拾い、したたかにカウンターを繰り出す見事な試合運びを見せた。この展開から飛弾が得たPKは平瀬が失敗したことで追加点こそならなかったものの、PKに絡んで退場者を出した草津の猛攻を最後は一丸となってしのぎきり、ホームでの2連勝となる勝利を手繰り寄せている。
仙台は課題に対しての改善を見せたが、草津はここ数節に見られた「ボールは支配するもののフィニッシュにつながらない」という課題を再確認させられる一戦となった。しかし、この課題がわずかな時期でどうにかなるような簡単なものではないことを、植木監督はよく知っているはずである。
時間をかけてでもスタイルを変えることを選んだのであれば、信じてそれを貫くのみである。次の対戦で草津が見せる姿が楽しみである。
以上
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