今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第5節 福岡 vs 愛媛】レポート:アグレッシブさを貫いたのは福岡。今シーズン初完封勝利で勝点3をものにする。(08.03.30)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月30日(日) 2008 J2リーグ戦 第5節
福岡 2 - 0 愛媛 (13:03/レベスタ/9,096人)
得点者:37' 大久保哲哉(福岡)、62' グリフィス(福岡)

----------
昨晩から振り続ける雨の影響でグラウンドは思った以上にスリッピー。福岡も、愛媛も思ったようにパスがつなげず、反転しようとして足を取られる場面も目立つ。いい形を作っても最後のところでミスが出てチャンスが広がらないシーンも散見された。そういう意味では、人もボールも動く流動的なサッカーが演じられたわけではない。しかし、その中でも自分たちの狙いをやり通したチームと、それが出来なかったチーム。その差が2-0というスコアに表れた。

「愛媛との試合は難しい試合になる」。試合前、そう話していたリトバルスキー監督。その福岡が試合前に準備していたのは高い位置からプレスをかけること。中盤で先手を取ることで愛媛の前に出るパワーを奪ってしまうことだった。その狙い通り、キックオフと同時に福岡はグリフィスと大久保哲哉が最終ラインに圧力をかけ、中盤に入ってくるボールに高い位置からタレイがボールに襲い掛かった。

そして、福岡のもうひとつの狙いは高さを生かしてセットプレーでリードを奪うこと。開始7分、自陣でFKを獲ると長野聡を前線に上げてロングボールを放り込む。以降、距離があるFKでは、ルダン、長野を前線に上げて、その頭に合わせた。福岡に問題がなかったわけではない。「ボールを持ったときに少し力みが見られ、ミスをしたり、相手に奪われたりしていた」(リトバルスキー監督)。いい形で前に出ても、最後のところがつながらない。ミスを繰り返すうちにリズムを崩してしまってもおかしくない展開だった。それでも、激しくプレスを仕掛けることだけはやめなかった。

一方、愛媛の狙いは前から攻撃を仕掛けることではなかったか。愛媛の最大の武器は、高いラインを引いてゾーンをコンパクトにして前からアグレッシブに仕掛けること。右肩脱臼の怪我から復帰した宮原裕司を先発起用したのも、彼の攻撃的なセンスを生かすためのものだったはずだ。しかし、愛媛のゾーンは低い。6分に江後賢一が負傷のためにピッチを退いた影響もあったのだろうが、前に出る気配は感じられず、下がって福岡を待ち受ける構え。宮原がボールを持っても周りの動き出しがなく、前にボールを供給できなかった。

加えて、パスをつなぐことにこだわったことも、結果的に福岡に対して後手を踏む原因になった。ただでさえ、ボールをつなぐのが難しいコンディション。しかも激しくブレスをかけてくる福岡に対してボールをポゼッションすることは簡単なことではない。前に出る力もなく、それでも低い位置でボールをつなぐことで相手のプレスの餌食になり、悪い形でボールを失うシーンが繰り返される。失点は免れていたが、それは上手く守っていたと言うより、福岡が最後の局面でミスを犯していたことが要因だった。

そして37分、福岡は狙い通りCKから大久保が右足で合わせて先制ゴールをゲット。これで、福岡は試合を掌握。特に後半は、望月一仁監督が「バタバタして、そのまま試合が終わってしまったなという感じ」と振り返ったように、愛媛に全くサッカーをさせなかった。そして62分には、新加入のグリフィスが、久藤清一からのラストパスをゴール右すみに流し込んで来日初ゴールを記録。守っても愛媛を0点に押さえて勝点3を手に入れた。

福岡が自分たちの狙いを貫き通す原動力になったのが中盤のハードワーク。特に激しくプレスをかけるタレイの動きに合わせて、献身的に中盤のバランスを取っていた久藤は出色の出来だった。セカンドボールを広い、スペースを埋め、そしてセンスのある柔らかなパスでチームを操った。「いつもと同じ役割。いつもと変わっていないと思います」。久藤本人は涼しい顔で試合を振り返ったが、今シーズンに並々ならぬ思いを込める久藤のプレーは、この日レベスタに足を運んだ観客の目を釘付けにしたことは間違いない。

さて愛媛。望月監督は言葉少なく記者会見を終えたが、自分たちの良さを出し切れないままに終えたことが悔やまれる。アグレッシブに戦うこと。まずはそれを思い出すことが先決だろう。

以上

2008.03.30 Reported by 中倉一志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着