4月6日(日) 2008 J2リーグ戦 第6節
徳島 3 - 1 福岡 (13:04/鳴門大塚/2,722人)
得点者:48' グリフィス(福岡)、49' 西河翔吾(徳島)、51' 玉乃淳(徳島)、66' ドゥンビア(徳島)
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ポカポカ陽気に誘われてスタジアム周辺の桜は満開。その見事な咲き姿は誰の目も奪うほどのものであった。そして、スタジアム内では、徳島がそれにも負けない素晴らしい大輪の花を咲かせた。2戦連続となる3得点、今季ホーム初勝利、さらに痛快な逆転劇を続けての連勝。チームは詰め掛けたサポーターたちの心も奪う春の感動を届けたと言えるだろう。
徳島のホームでの勝利は昨季の40節(9/15)以来。しかも連勝となれば、2006シーズンの4節・5節まで遡らなくてはならない。それだけに、サポーターたちはもちろん、入れ替わっているとは言え選手たちも喜びがひとしおだったのは当然のこと。互いにそれを分かち合う場面でこれ以上ない笑顔がはじけていたのも無理はない。
ここで 試合を振り返れば、前半から主導権を握ったのは徳島であった。前節湘南とのシーソーゲームを制した勢いそのままに、今節も美濃部監督の掲げるアグレッシブで攻撃的なプレーを選手たちは実践。自らのサッカーを信じて走り、またホームの大声援にも後押しされて序盤から福岡ゴールへと果敢に仕掛けた。
さらに、その徳島の攻撃は明確な狙いで統一されていたと言えよう。それは早いタイミングでのフィード。ボールを奪えば福岡の厳しいプレスにかからないよう中盤でのパスを必要最低限に留め、前線で左右のスペースへ流れるドゥンビアに早めの配球をしていった。すると、それは結果的に福岡DFラインの後退も引き出すこととなる。それによって早々から間延びし始めた福岡にリズムは生まれず、徳島にいっそう流れが傾いたのは間違いない。
そして迎えた後半、開始すぐの嫌な時間に先制を許すも、逆にそれが火を付けたかのように徳島の攻撃が爆発する。失点直後の49分、右CKから西河が打点の高い完璧なヘディングを叩き込みまず同点とすると、続く51分には片岡の折り返しに玉乃が前節同様ゴール前へ飛び込み頭で逆転ゴールを決めた。さらには続いてドゥンビアがその力をホームサポーターに披露。66分、ボールを受けると一瞬でトップギアへシフトチェンジして2人のDFの間に割って入り、冷静なグラウンダーのシュートでネットを揺らして見せた。圧巻の3戦連続弾。このゴールがチームの勝利をぐっと引き寄せる貴重な追加点となったのは言うまでもないだろう。
ただ、それとともにこの3点目は前半からの狙いが結実した意味ある得点だったと言える。なぜならこのチャンスは福岡のクリアを徳島・片岡が拾ったところからのものだが、片岡はこの場面でワンタッチを選択し時間をかけずボールをドゥンビアへと送った。これによって片岡にもその後のドゥンビアにもプレスはかからず、それが得点を生むポイントとなったのは事実だ。さらに言えば、この場面で福岡の選手は片岡の近くに誰ひとりいなかった。まさに前半からの攻めをボディブローとして効かせ、福岡を間延びさせていた明らかな証拠と言えよう。
結局この3ゴールで逆転した徳島はその後の福岡のパワープレーを集中した守備で跳ね返し勝利をもぎ取った。勝ち切った要因を美濃部監督は「メンタリティが向上し、見ていてタフになったことではないか」と話したが、確かにこの連続逆転勝利を見ればそれもうなずける。今の逞しい戦いぶりがフロックだとは決して思えない。着実に徳島は得た自信を成長させ、そして自らの力として発揮していると言えるだろう。ただし、だからと言って慢心には要注意。こうした好パフォーマンスを続けている時こそとかく落とし穴に陥りやすいだけに、チーム全体の引き締めは忘れてもらいたくない。
逆に敗れた福岡とすれば次節に向けての立て直しが急務となる。「コンパクトに戦えずセカンドボールも取れなかった」と久藤が話したように間延びさせられたことが大きな敗因であるのは明らかだが、リトバルスキー監督の口から出た「協調性も欠けていた」という点も見過ごせない。パスの出し手と受け手が異なるイメージでプレーしていた感が強かっただけに、再度チームとしてやるべきことの統一を図ることは必要となろう。
今季ここまで安定した戦いを続けていたが、福岡に乗り越えなくてはならない試練が突然やってきたのかもしれない。指揮官の手腕と選手たちの奮起が待たれる。
以上
2008.04.07 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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