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【J2:第6節 熊本 vs 山形】レポート:山形がリチェーリの2ゴールで快勝。中山の初ゴールも熊本はホーム2連敗で14位に後退。(08.04.06)

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4月6日(日) 2008 J2リーグ戦 第6節
熊本 1 - 2 山形 (13:03/熊本/3,515人)
得点者:19' リチェーリ(山形)、40' 中山悟志(熊本)、71' リチェーリ(山形)

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 心配された雨は、持ちこたえるどころか、逆に快晴となったこの日の熊本。気温も25.5度まで上がり、春というより初夏を思わせる陽気の中でキックオフを迎えた。ともに2勝目を目指した熊本と山形の対戦は、地力に勝る山形がFWリチェーリの2ゴールで3試合ぶりの勝利を飾り、きっちりと勝点3を獲得。浮上のきっかけをつかむ結果となった。

 2月の練習試合では0−4と大差がついているが、メンバーも大きく違うため、リーグでの初対戦を占う上では参考にならない。その点は両チームの選手も理解していたはずだ。だが、2ヶ月前に大差で勝っている分だけ、山形の方が「前回の熊本とは違う」という認識が強かったに違いない。山形が「ロングボールの対応をしっかりやって、高橋、中山に仕事をさせない」という明確な狙いを持って臨んだ事が、それを物語っている。

 序盤こそお互いにチャンスを迎えるものの決めきれない時間が続いたが、10分にはカウンターからペナルティエリアまで侵入し、17分にもゴール前でファウルを受けてFKを得るなど、少しずつ見え始めた先制点の兆候には、リチェーリがしっかりと絡んでいた。その兆候が現実となったのは19分のこと。左サイドでボールを受けてDFをかわし、ドリブル突破して中央へ。横に流れながらの難しい体勢ながら、スピードを殺さないまま20mほどの距離をクロスバーぎりぎりに右足で豪快に叩き込んだ。熊本のDF陣も1対1でのフィジカル勝負には自信を持っており、前述したシーンでもしっかりと身体を寄せてうまい対応を見せてはいた。だが、スペースのある状態で前を向いてボールを受け、トップスピードにシフトした彼を抑える事はできなかった。もちろん、組織としての対応がきちんとできていれば防げた可能性はある。しかし、「ゴールを挙げた彼が素晴らしかった。シュートも良かったし、個人のスキルにやられてしまったという印象」(熊本・池谷友良監督)との言葉通り、この1点目は確かにリチェーリを誉めるべきだろう。

 だが2点目の対応は、あまりに消極的だったと言わざるを得ない。最後に決めたのはリチェーリだったが、左サイド(熊本の右サイド)をドリブルで駆け上がった山形のMF佐藤健太郎に対して当たりに行く事なく、深いところまで簡単に侵入を許したのが原因だ。後半に入って風上に立ち、ロングボールを使ってスペースを作り出した山形の狙いにハマり、熊本は中盤が間延びし、「引くのか、当たるのかという部分での意思統一がもうひとつだった」とDF福王忠世は話した。2点目のシーンにも、そうした意識のズレが当てはまる。
 攻撃ではMF喜名哲裕が左右にボールを散らしてサイドからクロスを入れるが、高橋泰、中山悟志の2トップがレオナルドらに抑えられてボールが収まらず、ビルドアップの場面でも、ちょっとしたパスミスなどでスピードダウンを招き、チャンスになりそうな場面を自ら潰すシーンが目についた。

 C大阪を下しながら岐阜に5失点を食らうなど、この試合を迎えるまでは出来不出来の波が大きかった山形だが、ようやく本来の形を取り戻す事ができたと言えそうだ。それでも、「メンタル的に入りが悪い。『戦いに来ているという事を忘れているんじゃないか』とハーフタイムに厳しく話した」(小林伸二監督)、「立ち上がりなどの入り方が緩く、アプローチの激しさがないと相手のペースになってしまう」(MF宮崎光平)などといった声も聞かれ、勝点3とともに、新たな課題も収穫として掴んだ。

 熊本は、ここまで4得点と好調だった高橋が抑えられたが、セットプレーから中山が待望の今季初ゴールを決めた。だが流れから作れたチャンスは少なく、シュート数では上回ったものの、加えてフィニッシュの精度を欠いた。次節以降、水戸、C大阪、広島、甲府、横浜FC、福岡、そして岐阜と、ここまでの5戦以上に厳しい相手との試合が1ヶ月以上続く第1クールの山場を迎えるが、初心に立ち返って、試合ごとに見つかる課題をひとつずつ潰して行くことが重要だ。その先にしか、結果はついて来ない。

以上


2008.04.07 Reported by 井芹貴志
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