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【J2:第7節 鳥栖 vs 草津】レポート:残り7分で勝点2を取り損ねた鳥栖と勝点1を得た草津。1つの「失態」が明暗を分ける。負けない鳥栖は継続するも、悔しさのみが残る内容。(08.04.13)

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4月13日(日) 2008 J2リーグ戦 第7節
鳥栖 1 - 1 草津 (13:04/ベアスタ/4,797人)
得点者:68' 藤田祥史(鳥栖)、83' 後藤涼(草津)

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まず、このレポートを読んでいただく前に今節のプレビューを再読いただきたい。
プレビューで、一つの「失態」が結果を分ける旨を指摘していた。今節の鳥栖は、99.9%の確率で勝利を手にする内容での試合運びを見せていた。しかし、83分のワンプレーで、勝点2を加え損ねてしまったといえる。追加点が取れずに追いつかれた第5節の熊本戦を彷彿させるでもあり、それ以上の悔しさを残してしまった。

まずは、スタッツ(試合データ)から見てみよう。先のデータがホーム鳥栖のデータであり、あとのデータは対戦相手の草津のデータである。

シュート数:24本−3本
ゴールキック数:5本−19本
コーナーキック数:7本−2本
フリーキック数:25本−14本

このデータを見るだけでも、鳥栖の優位な試合運びが分かる。鳥栖のシュート24本と草津のゴールキック19本だけとっても、いかに草津ゴール前での争点が多かったか理解いただけるであろう。
特筆するべきシュートシーンも、9分レオナルドの個人技でのシュート、14分右CKからのキムシンヨンのヘディングシュート、17分にもキムシンヨンが野崎からのクロスをダイレクトシュート・・・
後半に入っても攻め手を緩めず、56分キムシンヨンとレオナルドの連係で生まれたシュート、77分高地のヒールキックからキムシンヨンのシュート、84分藤田のこの日3本目のシュートなど、列挙に事欠かないほどである。
これらの全ては、鳥栖の「攻撃的な守備」が機能していたからこそ生まれたものであり、ゲームの支配権は完全に鳥栖が握っていた。その中で、草津のゴールネットを揺らしたのは、68分のゴールのみだった。

この日25歳の誕生日を迎えた藤田は、66分にピッチに入った。昨季のケガが癒えて、今季2試合目の出場である。その藤田が、自らの誕生日を祝うがごとく、右サイドからの高地の折り返しを左足で決めた。ピッチに立って僅か2分で、それまでの鳥栖の猛攻を実らせてしまった。ゴール後の鳥栖の選手たちは、藤田のゴールを我が物のごとく喜び合った。スタッフの築地原マネージャーの初子誕生にベンチ前でゆりがごポーズも取った。岸野監督に藤田は飛びついて今季初ゴールの喜びを表した。それまで、打てども打てども揺らすことが出来なかった草津のゴールネットを揺らした喜びは、とても大きいものだった。しかし、83分にその歓喜を一転させてしまう事態が起こった。

それまで、草津の放ったシュートは2本。鳥栖の長短を織り交ぜたパスに翻弄され続けていた。その中で、83分にMF松下の鳥栖DF裏を狙ったロングボールが、鳥栖DFの交錯を生んで、走り込んだFW後藤のゴールとなってしまった。まさに鳥栖にとってはゴールになってしまったものであり、草津にとってはゴールとつながってくれたものだった。

「よく耐えることが出来た。あの苦しい時間帯を1失点で耐え切ったことが、そのあとの結果につながった」とMF秋葉は試合後にコメントした。その耐え続けた中で、特にGK本田の好守が光った。77分、鳥栖のMFレオナルドが右サイドから切り込んで、ゴールを背にした高地にパスを通した。高地はヒールで走り込んだキムシンヨンにあわせた。迷わず金信泳は左足を振りぬいた。が、強烈な低い弾道のシュートは、GK本田の的確な読みで右足クリアされた。
「シュートは打たれていたが、自分の間合いでセーブすることが出来ていた」とのコメントから、この日のGK本田の好守振りが分かる。
本田だけではない。DFも身体を張ってシュートコースに入った。MF秋葉も執拗にセカンドボールを拾い続けた。FWも前線からボールを追い続けた。これらの頑張りこそが、1失点で持ちこたえた要因である。鳥栖にしてみれば、この日唯一の「失態」であり、草津は九死に一生を得た事態であった。

サッカーは足で球体をコントロールする。
しかも、相手が邪魔しに来るスポーツである。
ミスがあってしかるものであり、それを補うからこそドラマが生まれ、見る人を惹きつけてくれる。今節の鳥栖対草津は、見方によってはとても面白いサッカーであり、サッカーの魅力を随所に落としてくれていた。

第5節の熊本戦で、攻め続けながら追いつかれてしまった鳥栖。
第6節の湘南戦で、終了間際の同点シーンを逸してしまった草津。
両チームともそれぞれの試合の中でのドラマを今節の試合で織り交ぜてスタンドを歓喜させてくれた。一つの「失態」もサッカーというドラマの中でワンシーンであり、長いシーズンの中で必ずや起こる事でもあることを再認識させてくれた。僅か90分のドラマの中で、歓喜の波長がこれほど高低差を出した試合は、他ではお目にかかれないだろう。鳥栖と草津のサポーターは幸せものである。

サッカーの魅力をどこに感じるかは、見る人の価値観で変わるであろう。
しかし、その魅力は誰に話しても理解を得るに違いない。
サッカーに感謝。

以上

2008.04.13 Reported by サカクラゲン
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