4月23日(水) AFCチャンピオンズリーグ
北京国安 1 - 0 鹿島 (21:00/北京)
得点者:44' チアゴ(北京国安)
----------
会場となる「豊台体育場」周辺の警備は厳しく、警備に2000人が動員されていると聞いた。周囲の道路にはパトカーが巡回し、スタジアムの内外にも警官が立っている。入場ゲートは空港の安全検査と同じで、金属探知機にX線検査器、さらにはボディチェック…。当日に入場券は一般発売されず、北京国安のサポーターや、動員をかけられた人だけがチケットを手にしていた。ツアー以外の鹿島サポーターには、チームがチケットを前もって買っておき、それを試合開始前に鹿島のチームが宿泊するホテルで手渡す形を取った。それを知らずに来る、在北京の日本人は、「残念だけど入れない」と関係者。キックオフ前から、グループFの大一番は異常な形でスタートしていた。
開門前のスタジアムゲートでは、北京国安のサポーターが集まっている。ゲートを通る日本の取材陣にも「北京加油(がんばれ)」のステッカーをくれた。数人のサポーターに囲まれ、それを服に貼れと言われたが、もちろん丁寧に、そして強行に辞退した。しかし、ゲートを抜けたところで気づいたが、同行のライターのリュックには、いつの間にかステッカーが貼られていた…。
鹿島サポーターは個人も、ツアーと一緒になってバスで別の入口から入場する。もちろん、荷物やボディチェックも受ける。さらには日本大使館の職員も立ち会う中、横断幕に何が書いてあるのかも確認されたそうだ。そして1m以上の棒はNGと制約もいろいろ。警備関係者から、試合後はすぐに横断幕をたたんで帰れるように、と指示を受け、「何かあった時は、横断幕は放棄して逃げるように、と言われた」とのこと。現地で布とペンキを入手して、スタジアムでフラッグを作ろうとしたサポーターもいたが、この状況では「あきらめました」と苦笑い。
それでもどこへ行くのも一緒だという18mの横断幕2本は、無事スタジアムの中へ。もし、持ち込みがだめだと言われた時のために、中国語のメモも用意していたそうだ。「この横断幕は俺たちの誇りだ。誇りを分断することはできない」。選手はピッチで戦うが、サポーターもゴール裏でアウェイの強大な敵と戦っていた。
日中の気温が25度を越えたこの日の北京。日が落ち、徐々に気温は下がりキックオフの時は手元の温度計で16度、ハーフタイムでは15度にまで下がった。観客は1万6000人。もちろん完全アウェイの状態。鹿島のサポーターは約70名。それに大使館や現地の関係者などが50名ほど。その周囲を警官隊が取り囲み、中国人の観客との間に大きな緩衝地帯も設けられた。試合は現地時間20時にキックオフ。
何としても直接対決の成績で鹿島を上回りたかった北京国安は、前半終了間際に1点を先制。終盤も猛攻を仕掛けるが、結局スコアは動かず、0-1で北京国安が勝利。2戦トータルも1-1となり、勝点で並んだ場合には順位決定で直接対決の成績が優先されるグループの勝ち抜けは互角となった。これで鹿島、北京国安とも残り2試合を全勝した場合は、得失点差の争いとなるため、鹿島+14、北京国安+4で依然、鹿島が優位な状況を保っている。
そのことを知っている北京国安のサポーターは、試合終了後ため息を漏らし、最低の結果が残せた鹿島サポーターも、敗戦に複雑な表情をする。事情のわからない、動員された観客だけが喜び、不思議な雰囲気にスタジアムは包まれた。鹿島サポーターは横断幕を片付けながら、厳しい表情でこう言った。「これからがスタート。これからが戦いの始まり」。鹿島はグループリーグ突破の旅を、4月の北京で終えることが出来ず、5月の最終節まで持ち越すこととなった。5月7日、ホームでのクルンタイバンク戦、そして21日、ハノイでのナムディン戦。いずれも大量得点での勝利が求められる。
試合終了後も特にトラブルもなく、中国人サポーターが帰ったあと、警官隊にガードされ、鹿島のサポーターが帰りのバスに乗り込んでいく。それを見送る関係者も、疲労感をにじませながら、「疲れました。いろいろなことがあり、不思議な試合でした」とつぶやいた。
鹿島の「アジアの細道」はまだまだ続く。5月、ベトナムでの祝杯を祈って。
Reported by 小野寺俊明 in 北京(ナノ・アソシエーション)
J’s GOALニュース
一覧へ【レッツゴーACL】アジアの細道、遥かなるACL2008 vol.3 グループFの天王山、厳戒態勢の北京・豊台体育場(08.04.24)













