5月11日（日）J1 第12節 清水 vs 鹿島（13:00KICK OFF/日本平）
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　チームとして正念場を迎えている清水が、苦手の鹿島をホームに迎える大一番。リーグ戦中断前の最後のホームゲームということもあり、清水にとっては今シーズンの成績を大きく左右するほどの本当に重要な戦いとなる。

　8節・F東京戦、9節・柏戦と連勝して上昇気流に乗りかけた清水だったが、続く静岡ダービー（磐田戦）では数的優位になりながら勝ちきれず、前節の新潟戦はセットプレーから2失点して0-3の完敗。その結果、現在の戦績は3勝3分5敗の16位。どうにも波に乗りきれない状況が続いている。

　その最大の原因は、やはり得点力不足にあるだろう。新潟戦でも、開始早々のセットプレーによる失点はしかたない部分があるとしても、次の1点を相手より先に奪って同点にできていれば、十分に勝てる試合展開だった。だが、ボールは保持しても最後のところで崩しきれない状況が90分間続き、1点も返すことができなかったことが、今のチーム状態を象徴している。
　しかも、ここに来てFWの西澤と矢島が故障により出場がむずかしくなっているのは非常に痛いところ。2トップの1枚は原で確定だろうが、そのパートナーは誰になるのか。枝村の復帰によってフェルナンジーニョをトップに上げるという選択肢もあるため、長谷川監督の決断に注目したい。

　また、鹿島のセンターバック・大岩と岩政は、高さには非常に強いが、スピードに対しては盤石とは言えない。そこを原や岡崎らがかき回し、フェルナンジーニョがドリブルで勝負を仕掛けるというのは、有効な攻撃のひとつとなるはずだ。守備に関しては、新潟戦では速攻から1失点したものの、セットプレーを除けば十分に安定している。その意味では、鹿島はセットプレーもかなり強いので、そこから失点しないということも、この試合での大きなテーマとなるだろう。

　鹿島に対して、清水は03年7月以来リーグ戦では9試合、公式戦全体では12試合勝利がない。長谷川監督が就任してから一度も勝てていない唯一のチームであり、「今年は鹿島という壁を乗り越えなければならない」と指揮官も語る相手だ。しかも、昨年の最終節では、奇跡の大逆転優勝を目の前で見せつけられている。清水にとっては、さまざまな意味で、どうしても勝ちたいチームの筆頭にいる宿敵なのだ。
　だが、「逆に開き直ってやれる」（兵働）という相手でもあり、雑念を捨てて思いきり戦える試合でもある。その意味では、自分たちの力を全て出し尽くして勝利をつかみ、ぜひ完全復活への大きなきっかけとしたい一戦だ。

　とは言っても、清水としては打ち合いの展開に持ちこむことはできない。鹿島のほうも、リーグ戦ではここ5試合勝利がなく（3分2敗）、けっして調子が良いとは言えないが、やはり攻守にバランスがとれた強敵であることは間違いない。水曜日のACL・クルンタイバンク戦では8ゴールを決めており、リーグ戦でも清水の倍以上のゴールを決める得点力があるからだ（鹿島19得点／清水9得点）。そのうち8得点を挙げているマルキーニョスが負傷により出場微妙だが、日本代表候補の田代をはじめ、得点力のある選手は多い。

　そのため清水としては、まずは自分たちのストロングポイントである守備力を生かして鹿島の攻撃をきっちりと抑え、セットプレーでもスキを与えずに戦っていくことが重要になる。そして、その中で限られたチャンスを生かしてゴールを奪い、勝利に結びつけていかなければならないゲームだ。

　非常にむずかしい戦いになることは間違いないが、ここで鹿島という壁を乗り越えることができれば、若い選手の多い清水は大きく成長できるだろう。ぜひチーム全体がひとつになって、プロとしての意地を見せつけてほしい大勝負だ。

以上

2008.05.10 Reported by 前島芳雄