6月28日(土) 2008 J2リーグ戦 第23節
熊本 3 - 2 C大阪 (16:03/熊本/3,074人)
得点者:20' 小松塁(C大阪)、22' 木島良輔(熊本)、77' 森島康仁(C大阪)、80' 木島良輔(熊本)、89' 山内祐一(熊本)
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試合が始まる前の両チーム勝点差は実に24。当該チーム同士で勝点が並ぶには、8節消化する間に片方が全勝、片方が全敗しないと実現しない。早い話、直接対決を8回やって全勝しないと埋まらない差、ということになる。
では、この日の両チームにそれほど大きな差があったかと言えば、明らかに否だ。もちろん、FW古橋達弥にカレカ、DFでは前田和哉に江添建次郎、そして第1クールの対戦で善戦した熊本から、それがなければ得ていたであろう勝点1を奪い取る決勝点をあげたMFジェルマーノと、半数近い主力選手を怪我で欠いていたというチーム事情はある。だが、それを考慮しても、現在の順位に見合わないサッカーをしたのは、C大阪の方だった。
序盤、熊本DF陣の間に走り込むFW小松塁に、左サイドバックの尾亦弘友希からのクロスや、MF香川真司からのスルーパスが供給される。だがほんのわずかなところでボールが収まらなかったりコースがずれたりで、熊本のサポーターが胸を撫で下ろす場面が幾度か。立ち上がりの10分頃までに迎えたこうしたチャンスを決められないところに、C大阪の不調の要因があるようにも感じられたが、とにかく、最初の歓喜の瞬間は少しずつ先延ばしにされていた。
熊本は、前節の警告で累積4枚となったDF河端和哉の出場停止を受け、ここまで左のSBで出場の機会が多かった矢野大輔をCBにシフト。左には4試合ぶりのスタメンとなる有村光史が入った。矢野と上村健一とのコンビだけでなく、最終ラインは昨シーズンのJFLを戦い抜いた顔ぶれ。矢野は上背もあるし、上村も1対1には強い。前節の反省を生かし、また出場停止から復帰した柳沢将之と尾亦という攻撃的なサイドバックを得て、サイドのクロスを小松に合わせるというC大阪の狙いに対してもある程度の対応はできていて、3人目の絡みがないこともあって、得点にまでは至っていなかった。だが20分、ターゲットとなっていた小松が香川からのボールを受けてドリブル。これに熊本のディフェンスはあっさりと振り切られ先制を許してしまう。
それでも、「ここ数試合は、いい形で奪える場面も、決定機も増えている」(池谷友良監督)熊本は、それからわずか2分後、同点に追いつく。FKのこぼれ球からのクロスを矢野が頭ですらしたところに木島良輔が詰め、しっかりとコントロールして決めた。その後も中盤で奪ったボールを大きなサイドチェンジで両サイドのスペースへ展開し、あるいは高橋泰へのクサビのボールを入れての追い越しや、ワンタッチからのつなぎで、C大阪のDFラインの裏を狙う木島へ送るなど、素早くボールを動かして形を作った。
「セレッソはバイタルエリアに必ず入ってくるので、作られてもあまり慌てずに、しっかりブロックを作って対応しよう、飛び込まないでスペースを抑えようという事を言っていた」(池谷監督)こともあって、熊本は自陣にリトリートして守備をオーガナイズ。結局このまま前半を終える。
後半に入って若干ギアの入ったC大阪だったが、レヴィークルピ監督は早くも57分に、しかも2枚同時にカードを切り、そこから2点目が生まれる。濱田武が入った事でそれまで停滞していた中盤にリズムが生まれ、70分、左サイド深い所までドリブルで入り込んだ香川のクロスに、柿谷曜一朗に替わって入った森島康仁が合わせた。ここで終わっていれば、C大阪の底力、という見方になっていたかもしれない。だが底力を発揮したのは熊本の方。
それから3分後の80分、木島がペナルティエリア内で倒されてPKとなり、自ら落ち着いて決め、再び熊本が同点に。これでようやくC大阪にも火がつき、攻撃の枚数を増やして点を取りに出た。しかし逆にそれは、大きなスペースを作り出すことにつながった。83分には枠を外れたが喜名哲裕のミドルが飛び、84分、87分、88分と立て続けにカウンターで熊本がC大阪ゴールに迫る。そして5分と長めのロスタイムが表示された直後の89分、その1分前に木島に替わって入っていた山内祐一が抜け出しGK相澤貴志と1対1に持ち込み、ゴール右隅に決めて熊本が逆転。長いロスタイムにはC大阪もCKとFKが続いたがゴールは奪えず、熊本が10試合ぶりの勝利を、3位のチームから挙げる結果となった。
お互いに条件は中2日とタイトで、しかも雨上がりに日が射した影響もあって湿度が87%と、選手達にとっては雨のゲーム以上に消耗する試合であったことは容易に想像できる。C大阪にしてみれば、ケガ人さえいなければという無念さも拭いきれない。これで結局、6月の成績は1勝1分4敗。上積みした勝点は僅か4に留まり、今日試合を行う広島との差は、結果次第で13まで広がる。順位は3位のままだが、鳥栖や草津が好調な事を考えると、次節以降に控える山形、仙台、広島との連戦を前に、大ブレーキの1ヶ月。山形戦ではアレーと尾亦も出場停止となり、まさしく総力戦となる。個の能力を組織として生かす戦い方が今後の課題となりそうだ。
熊本は10試合ぶりの勝利とは言え順位は変わらず。諦めない姿勢から逆転に成功し結果が出たことは収穫だが、繋ぐ部分でのミスが依然目についた他、1点目の失点パターンなどはJFL時代から変わらず、成長した部分があることを感じられた一方で、大きな課題も露呈した。シーズン後半に向け、前半で拾えなかった勝ち点をしっかり拾えるように備える事、そして確実に積み重ねていく事が、来年以降、そして“5年後”につながる。
以上
2008.06.29 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第23節 熊本 vs C大阪】レポート:最下位の熊本が3位のC大阪を逆転で降し10試合ぶりの勝利。収穫を得た一方で、課題も浮き彫りに。(08.06.29)
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