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【J2:第23節 山形 vs 広島】レポート:山形のプレッシング奏功! 先制を許すも、長谷川の2ゴールで首位・広島に逆転勝利!(08.06.30)

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6月29日(日) 2008 J2リーグ戦 第23節
山形 2 - 1 広島 (18:04/NDスタ/4,948人)
得点者:5' ストヤノフ(広島)、44' 長谷川悠(山形)、84' 長谷川悠(山形)
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「2位なのにこんなチームなのか、と思われないようなゲームにしたい」とキャプテン宮沢克行が言えば、「待ってるだけじゃやられると思うので、思いきり行きたい」と財前宣之も闘志を燃やす。勝点10差で前を行く首位・広島との戦いは、多くの経験を重ねてきた山形の2人をも熱い気持ちにさせていた。前半5分、この日最初のフリーキックをストヤノフに決められいきなり先制されたが、慌てることも、あきらめることもなく、勝利のためにひたすらボールを追い、ゴールをめざした。

 前回対戦した5月3日のゲームでは、引いて守ったことで防戦一方、攻撃では何もできずに終わったが、この2カ月でラインを上げるスタイルに移行し、その精度を上げてきた山形が、いま発揮できるすべてのスキルと魂をそそぎ込んだ。結城耕造、ストヤノフ、槙野智章のバックラインで回すボールは、長谷川悠と財前の2トップがチェイスし、青山敏弘、森崎和幸には、同じボランチの秋葉勝、宮本卓也が正面からプレッシャーをかけにいく。李漢宰には宮沢が、服部公太には北村知隆がサイドの警戒をし、佐藤寿人、森崎浩司、高萩洋次郎の1トップ2シャドーを、木村誠、レオナルド、石井秀典、石川竜也の4人でチャレンジ、そしてカバーする。時折、バイタルへタイミングよく下りる佐藤寿人のくさびからパスをつながれたり、ディフェンスラインから槙野が攻め上がりシュートまで持ち込まれるシーンもあり、J2では突出している広島のポゼッションを完全に抑えることはできなかったが、ひるむことなくプレスを続けた。

 山形のプレスがハマり、いい形でボールが奪えるようになると、バックライン付近の薄い広島のスペースを突いたパスワークも生きてくる。「ボールが持てると相手のラインが下がるので、慌てずにボールを持つか、ラインが下がらなかったら3バックの脇を狙えばいい」という小林伸二監督の指示どおり、山形が攻撃を仕掛ける。左で起点をつくった宮沢からニアサイドを走る長谷川の突破とシュートを導き、石川のサイドチェンジを財前が右足のアウトで直接ゴールを狙うなど、失点直後から反撃は始まっていた。途中、広島がややラインを下げ守備を厚くしたことでフィニッシュまでたどりつけない時間帯はあったが、時計が45分を回る頃、中央の長谷川から左サイドの石川へ展開し、クロスに再び長谷川が飛び込んでゴールネットを揺らす。山形がゲームを振り出しに戻した。

 後半、財前を宮崎光平に代えた山形は、前半同様の厳しいプレスを展開。しかし、広島も突きどころをしだいに明確にしていくなかで、チャンスを増やしていく。後半11分、高萩が前節・徳島戦の得点を思わせるような青山とのワンツーで裏へ抜けると、15分にはバイタルエリアを巧妙に使い始めていた森崎浩司がミドルシュートを放つ。その後、山形のプレスの出足が鈍り始めると、広島のポゼッションはさらにギアが上がる。後半23分には中央で相手DFを1人かわした高萩が左へパスを出し、服部のクロスに青山が頭から飛び込んだ。これは枠をとらえることができなかったが、26分のFKでもこぼれ球を拾った服部がミドルシュートを放った。守備の1対1のスペシャリストである山形・木村も「ボールもほとんど触ってない」と、あまりにも速い展開に手を焼いたことを、のちに告白した。

 流れをつかんだ時間帯の後半29分、ペトロヴィッチ監督は高萩から柏木陽介へとスイッチ。すると、山形の小林監督も北村に代えて、約3カ月ぶりの公式戦復帰となる豊田陽平をピッチへ送り込んだ。その直後、バックパスを足元に収めたストヤノフに対して豊田が猛然とプレスをかけ、スライディングタックルで激しく水しぶきを上げる。歓声に沸くスタジアム。広島の攻撃にまだ後手を踏みながらも、豊田に鼓舞されたように守備の粘り強さを取り戻した山形は、後半36分にボランチ渡辺匠を投入。その渡辺が青山から高い位置でボールを奪ったのが後半39分。「ここで取れたらチャンスになると思っていたし、取った瞬間に相手の人数がいなかったのも確認していた」(渡辺)という狙いどおりのプレーで、オーパーラップしてきた石川にボールが渡る。ニアに飛び込んだ豊田には合わなかったが、ファーサイドで残っていた長谷川がダイレクトで放ったシュートはゴールマウスをとらえ、逆転のゴールとなった。

 広島は李に代えて平繁龍一を投入して山形のゴールに襲いかかる。槙野も前線に加勢し、ロスタイムにはヘディングでゴールネットを揺らすが、判定はオフサイド。山形がホーム7連勝で、2位をがっちりとキープ。広島との勝点差を7に縮めた。

 今季3つ目、アウェイでは初の黒星を喫した広島のペトロヴィッチ監督は、「私の目から見れば、明らかに我々のほうが内容で勝っていたのではないかと思います」と内容を評価しながらも、「難しいシュートを入れて勝つチームもあれば、イージーなシュートを外して勝てないチームもあると思います」と決定機を生かしきれないこれまでの課題が、この試合では敗因になったことを指摘した。2位以下を大きく引き離している状況に変わりはないが、J1へ戻ることだけが目標ではない広島にとって、この敗戦をチームがさらに引き締まるきっかけにしなければならない。

 山形は順位を覆すことこそできなかったが、首位との直接対決で逆転勝利を収めた。逆転弾の起点となった渡辺は「勢いから実力に変わってきている。ゲーム全体を支配しているなと思います」とチームの現状を分析する。リーグ戦は今後、さらに厳しさを増してくるが、今のポジションをキープし続ければ、今日のようなしびれる試合はこの先、いくつでも待っている。第2クールの残り、そしてシーズン終盤に向けた戦いを前に、この試合でとてつもなく大きな経験を手にしたことを忘れてはならない。次節は、ホーム開幕戦で5失点を喫した岐阜へのリベンジと、J2最速全チームからの勝利獲得を懸けた一戦。おそれず前に進むのみだ。

以上

2008.06.30 Reported by 佐藤円
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