7月2日(水) 2008 ヤマザキナビスコカップ
鹿島 0 - 0 清水 (19:00/カシマ/6,757人)
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普段のJリーグでは見られない光景がピッチにあった。
清水エスパルスが、前線にFWの原一樹ひとりを残して自陣深くに引いている。特に、鹿島がサイドチェンジが行い両サイドバックが攻撃に絡むと、原以外の清水の選手がすべてペナルティエリア付近に集まった。決して鹿島が押し込んだのではない。自らスペースを埋めるためにゴール前に引いたのだ。まさに専守防衛。しかし、第2戦をホームで戦うアドバンテージを有するのは清水。なんとしてでも鹿島にはゴールは割らせない。それが清水エスパルス・長谷川健太監督の狙いだった。
前半は静かな45分だった。試合当初こそ、清水の選手たちからは、やり慣れないディフェンスに戸惑っている雰囲気があった。マークの受け渡しがスムーズにいかない。10分過ぎくらいまで鹿島の選手がフリーランニングをするたびに、ピッチのあちこちにスペースができた。
ただ、鹿島はこの時間帯を生かすことができなかった。そこまで清水が引いてくるとは予想していなかったのかもしれない。徐々に、鹿島の攻撃に慣れてきた清水の選手たちは、綻びを見せなくなっていった。
前半で得点の可能性を感じさせたのは33分の一度だけ。左サイド深くに侵入した新井場が戻したボールを小笠原がセンタリング。田代、マルキーニョスが飛び込むもボールに触ることが出来なかった。
後半、鹿島はダニーロを投入。ボールキープとヘディングに優れるダニーロを前線に置き、ポイントをつくろうとした。鹿島がより前に出たことで少し試合も動き出す。守る清水も、前半のように「待つ」だけでなく、ボールを追いかけるようになった。前半よりは動きのある試合となったものの、「鹿島が攻め、清水が守る」という構図は変わらない。
だが、先に決定機を迎えたのは清水だった。68分、右CK。ファーサイドからの折り返しを高木がヘディングシュート。強烈なシュートが枠内に飛ぶが、ゴール前に構えていた岩政がクリア。曽ヶ端がセンタリングに振られていたため、岩政がいなければ先取点は清水のものだった。
鹿島も反撃を開始する。硬直した試合を打破するために本山が左サイドから維持のドリブル突破。
「パス、パスで単調になっていた。ひとりかわしてドリブルで入ればと思ってました」
このプレーできっかけを掴んだ鹿島は、一気に攻勢をかける。直後のCKでは、小笠原→ダニーロがニアに飛び込む、という得点パターン。ダニーロのシュートは枠を外れたものの、流れは鹿島に傾いた。
オリヴェイラ監督も次々と交代のカードを切る。本山に代えて増田、さらには青木に代えて興梠と、攻撃の選手を入れ替え勝利をもぎ取ろうとする。最終盤には田代の高さを起点に怒濤の攻撃を見せた。新井場のヘディングシュートなど決定機をつくりだす。しかし、西部を中心に清水の守備に対する集中力はまったく切れず、第1戦はスコアレスドローに結果に終わった。
リーグ戦とは違い2戦合計の勝敗、しかもアウェイゴールという要素が絡むナビスコカップ。スコアレスドローという結果は、本来のサッカーを捨てででも引き分けに持ち込み、第2戦の日本平での戦いまで勝負の刻を先延ばしにした清水の執念だ。鹿島としては、サイド攻撃に偏重しすぎ、タテのくさびのボールが少なくゴール前で相手を脅かすことが出来なかったのが痛かった。センターバックとボランチの間のポジションでボールを受け、前を向くことができればファウルを得る確率も高くなる。ゴール前でのFKのチャンスも終盤まで無かったのは拙攻と言えるだろう。
「今日とは全く違うやり方をすると思うので、そっちの方が楽しみです」
本来とは違うサッカースタイルを要求され、珍しくパスミスや判断ミスが多かった藤本は、次戦での決着を強く望んだ。清水の攻撃でタクトを振る選手なだけに、この試合については満足していない様子がありありとうかがえた。
「ひと試合通して、選手はよく我慢したと思います。もちろん、攻めに出たいという気持ちはあったと思うのですが、チームとしての約束ごとを90分間全員がきちんと守って、非常にバランス良く戦えたのではないかと思います。」
長谷川監督も、藤本らが我慢に我慢を重ねてくれたことに感謝していた。
「彼らは第2戦をホームで戦えるという有利なアドバンテージがあるわけですから、ここでは最低限の結果を求めていくのは当たり前のことです」
鹿島のオリヴェイラ監督も、清水のサッカーに理解を示した。この試合のシュート数は鹿島14に対し、清水が3。攻めても攻めてもゴールを割れなかったことには相当の悔しさを残したことだろう。
ただ、次の試合は鹿島が1ゴールでもあげれば圧倒的に有利な立場になる。清水は得点力不足な面もあるだけに、点を狙いながら、なおかつ相手を無失点に抑えなくてはならない。
第2戦は8月6日。決着は次の90分間へ。
以上
2008.07.03 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
一覧へ【ヤマザキナビスコカップ 鹿島 vs 清水】レポート:鹿島、清水のリアリスティックな守備陣形を崩せず。スコアレスドローで勝負の行方は次戦・日本平へ。(08.07.03)
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