7月27日(日) 2008 J1リーグ戦 第19節
鹿島 1 - 1 浦和 (18:34/カシマ/36,412人)
得点者:40' 小笠原満男(鹿島)、82' 田中達也(浦和)
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スタジアムの雰囲気、選手のパフォーマンス、サポーターの声援。すべてが揃った首位決戦は、全力を出し尽くした両チームが勝点1ずつを分けあう結果となった。
試合前からスタジアムの雰囲気は異様な熱気に包まれていた。アウェイゴール裏を埋め尽くした浦和サポーター。それに応える鹿島のサポーター。試合開始からボルテージは最高潮だった。試合序盤、声援に後押しされペースを握ったのは浦和。センターバックに闘莉王、ボランチに阿部勇樹、トップ下に永井雄一郎が入ることでセンターラインが安定。ボールの収まりどころができたため、ボールを保持したときに3人目の選手が絡むことができる。ボールの受け手と出し手の2人だけで攻撃を構築する単純な攻めとは違い、選手同士がうまく噛み合っていた。
序盤、相手が浦和ということで動きが硬かった鹿島は30分あたりから本来の動きを取り戻す。中盤の組み立てからサイドバックの攻撃参加が見られるようになり、浦和ゴールへ迫る回数が増え始めた。
しかし、試合前からポツポツと降り出していた雨脚が一気に強くなる。39分、雷鳴がとどろき、落雷の危険性が高くなったため試合は一時中断。このとき、オリヴェイラ監督が判定に対して執拗に抗議したことで退席処分となった。
約1時間の中断後、再開された試合で集中力を見せたのは鹿島だった。
「ダラッと入るといけないので前からプレスをかけた」という本山雅志の言葉通り、短い時間を積極的にプレーする。すると中後が上げたふらっとしたセンタリングを、ダニーロが平川忠亮に競り勝ち頭で落とす。そこにすばやく反応したのが小笠原満男。闘莉王と阿部が慌ててカバーに入るも、一瞬速く左足を振り抜く。綺麗にコントロールされたシュートが都築龍太の手をすり抜け、鹿島が先制点を上げた。
後半は一進一退の攻防が長く続いた。しかし、後半中頃から浦和の攻守の切り替えが遅くなる。CKからの帰陣に時間がかかり、一瞬鹿島の選手の方が人数が多い場面もあった。ところが、鹿島もここで追加点を奪えない。いつも以上に神経をすり減らして戦っていたせいか、勝負を決めに行く場面で集中力が見られなかった。
攻めるしかない浦和は、次々と攻撃的な選手を送り込む。梅崎司、エジミウソン、エスクデロがフレッシュな状態でピッチを走る。特に梅崎、エスクデロのスピードは新たな活力を浦和に与えた。これに対して鹿島は上手く対応できない。ダニーロに代えて中田浩二を投入するもバランスが修正できない。特にエスクデロのマークがはっきりせず、前線をかき回されてしまう。
そして、82分。中央でディフェンス2人に囲まれながらもボールキープしたエスクデロが右サイドに展開。ボールを受けたエジミウソンがゴール前に折り返したところに田中達也が滑り込み、土壇場で浦和が同点に追いついた。
鹿島としては、監督が退席したことで交代策が後手に回ってしまった。そしてなにより懸念された内田篤人の不在が大きい。左サイドで新井場徹がいくら相手を引きつけても、右へのサイドチェンジがチャンスにつながらない。どうしても最後のピースが足りない感が否めなかった。また次の試合は小笠原が出場停止。監督もベンチに座れないだろう。緊急事態をどう乗り越えるのか、底力が試されている。
浦和レッズはさすがの強さを見せた。個々の選手の能力は高く粒ぞろい。選手個人個人の気迫が鹿島以上に感じられ、持てるパフォーマンスを十分に発揮した。しかし、同点弾は攻めるしかなくなった状態で生まれたもの。ゲーム全体を支配した“浦和らしさ”が垣間見えた時間帯はそれほど長くはなかった。安定感を取り戻すためにも、できるだけその時間を長くしたいところだろう。
最後に、両チームのサポーターによるフルボルテージのサポートは試合を大いに盛り上げた。すばらしい内容と雰囲気の一戦はサポーター抜きにはなし得なかっただろう。できうるならば、ACLや天皇杯などで両チームが再び相まみえることを期待したい。
以上
2008.07.28 Reported by 田中滋
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