3月8日(日) 2009 J2リーグ戦 第1節
札幌 0 - 1 仙台 (14:03/札幌ド/21,908人)
得点者:66' 菅井直樹(仙台)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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昨季J1から降格してきた札幌と、入れ替え戦に敗れてJ1昇格が叶わなかった仙台。どちらも今季の絶対目標をJ1昇格としており、この対戦には大きな注目が集まったはず。「昨季の悔しさを晴らそうという気持ちの強い方が勝つ」と札幌の石崎信弘新監督が意気込んだ対決は、66分にセットプレーから菅井直樹が飛び込んで決めた虎の子の1点を守りきった仙台に軍配が上がった。
試合は序盤から札幌ドームに詰め掛けた札幌サポーターを大きく沸かせる展開だった。「札幌のサポーターのみなさんに『今年はこういうサッカーをやるんだよ』ということを見せていこう」という形で試合に入りました」と石崎監督が試合後に話したように、今季の札幌は高い位置から激しくプレスを仕掛け、守備から攻撃に転じた際にはスピーディかつ積極的に前へと選手が飛び出すプレースタイル。仙台の手倉森誠監督が「強烈なプレッシングだった」と振り返ったように、若い選手が懸命に走り回り、そこにコロンビア人選手のダニルソンのダイナミックなアプローチなども加わって、ゲームの主導権を完全に掌握した。
開始数分も経たないうちに、本来は守備があまり得意ではないクライトンが献身的で相手ボールを奪って起点となり、そこからのダイナミックな展開から石井謙伍が決定的なシュートを放ったこともあり、札幌サポーターの勢いは一段と高まっていった。
そして、このハードなプレスは仙台の攻撃だけでなく守備をも乱した。ボールを持った際に複数人での厳しいチェックにさらされていた仙台の選手たちは、何とかパスを展開しようとして味方同士の距離を徐々に縮めることでボールを受け渡すようになったのだが、その結果、サイドの選手が内側に絞り過ぎてしまい、そうして生まれたサイドのスペースを札幌に強襲され続けたのだ。
しかし、勝ったのは仙台。札幌は積極的に攻撃を仕掛けてチャンスを何度も作ったが、ラストパスの一歩手前の部分で精度を欠き決定機にまで至ったチャンスは少なかった。そして、サイドバックも積極的に前へと出て攻撃の組み立てに加わって常に複数のパスコースを確保するプレースタイルは、非常に組織的で見応え充分だった。監督が代わったチームが、それも開幕戦で見せたパフォーマンスとしては高く評価していいだろう。石崎監督のチーム作りの手腕が存分に発揮されているようだ。それでもやはり、サッカーは得点数を競うスポーツである。シュートを決めなければ、勝てることはできない。札幌は組織的な好チームであることを示したが、J1に昇格するためにはやはり、勝点が必要だ。
特にセットプレー。失点シーンもそうだし、前半にも2度ほどリスタートで相手選手をフリーにしてしまい決定的なピンチを招いている。現代サッカーではセットプレーや、セットプレー後の流れからの得点が4割近くを占めており、相手に勝点を与えられない上位同士の戦力が拮抗した試合ではセットプレーが流れを大きく左右する。札幌がJ1を目指すには、やはりセットプレーの整備が求められるだろう。
そして、攻撃面について言及するならば、常に複数のパスコースを確保していることは良いが、それによって攻撃にシンプルさを欠き、攻撃に手数がかかっていた印象がある。
一方、勝った仙台だが、こちらは現実的な戦い方を選択していた。前述した通り、サイドにスペースを生んでしまってはいたが、後半に入ると状況に応じて4−1−4−1のような配置を用い、トップ下の位置から好パスを供給していたクライトンを封じた。チームとしてのパフォーマンスが良かったとは決して言えないが、相手のハードプレスに手を焼いたアウェイゲームで、1度も警告を受けることなくセットプレーから得た1点を守りきるという合理的な勝ち方をしたのだから、充分に満足すべき試合だったと言えるだろう。
昨年とほぼ同じメンバーで戦ってその試合後者ぶりを発揮した仙台。組織的なハードプレスをベースとしたアグレッシブなプレースタイルで観衆を沸かせて大いなる可能性を見せた札幌。双方の特徴が存分に表れた、見応えのある開幕戦だった。
以上
2009.03.08 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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