3月8日(日) 2009 J2リーグ戦 第1節
愛媛 3 - 1 水戸 (13:30/ニンスタ/4,018人)
得点者:13' 中村英之(水戸)、35' 内村圭宏(愛媛)、74' 田中俊也(愛媛)、79' 内村圭宏(愛媛)
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愛媛がホームに水戸を迎えた開幕戦、いよいよ長丁場のシーズンが幕を開けた。ゴール裏からは、新しいチャントがスタジアムに響きわたる。通い慣れたいつものニンジニアスタジアム。しかし、やはり開幕戦ならではの新鮮な空気を感じれば、自然と心も躍る。
そんな開幕戦独特の雰囲気の中、ピッチ上でもキックオフから緊張感の漂う試合展開となる。愛媛、水戸ともにリスクを負わずディフェンスラインの背後を狙い、互いに様子をうかがう立ち上がり。その中で、時間の経過とともに両チームの持ち味が少しずつ現れ始める。
愛媛は奪うと素早くボールを前に運び、大木勉と内村圭宏のツートップが水戸ディフェンスラインの背後を狙う。一方で水戸は荒田智之と吉原宏太のツートップに加え、2列目から次々と選手が飛び出してくる。ボランチの森村昂太が高い位置を取り、左サイドから遠藤敬佑、右サイドからは菊岡拓朗がしかけて、水戸は攻撃的なスタイルで愛媛のゴールに迫った。
すると先制点は、その水戸の積極性から生まれた。13分、森村が左サイドの深い位置まで進出すると、そこで得たコーナーキックから先制点をたたき出したのは中村英之。長身のセンターバックが体ごとゴールになだれ込むようなゴールを皮切りに、両チームのゴールへ向かう姿勢は更に強まる。
23分には、速攻から愛媛がコーナーキックのチャンスをつかむと、逆に跳ね返した水戸もカウンターから遠藤がシュートまで持ち込む。さらに31分、愛媛は右サイドから高杉亮太がクロスを上げると、中央でフリーの横谷繁がヘディングシュート。すると、これを防いだGK原田欽庸から始まるカウンターで、吉原が抜け出す。これを愛媛はGK山本浩正の飛び出しでかろうじてストップしたが、愛媛と水戸のゴール前を行き交う攻守の切り替えが早い試合展開が続いた。
そしてどちらにもゴールを奪うチャンスが訪れたが、次に決めたのは愛媛。39分、赤井秀一が水戸陣内に放り込んだところ、ディフェンスラインの裏を大木が突くと、こぼれ球を内村が冷静に押し込んで同点に追いついた。「相手のディフェンスラインのバランスが悪かった」と振り返った内村。ただ言い換えれば、絶えずポジションを取り直していた大木と内村の動き出しが誘い出したことでできた水戸守備陣の穴。今季の課題だった得点力不足を解消するために、愛媛が開幕前のトレーニングでやってきた練習の成果がひとつ出た瞬間ともいえるだろう。
後半に入ってもゴール前の見応えある攻防が続く展開となったが、追加点をあげたのは愛媛。74分、コーナーキックから柴小屋雄一が競ったこぼれ球を押し込み、逆転ゴールを決めたのは途中出場で入ったばかりの田中俊也。続く79分にも、ペナルティーエリア内で田中が粘り強くキープすると、最後は内村が冷静に押し込んで3点目、愛媛が勝負を決めた。
結果的に愛媛が3得点で勝利を収めたが、シュート数では11対15で水戸に軍配が上がった。その数字以上に迫力があった水戸の攻撃。吉原が2列目に下がった後半の攻撃に関しては「高崎と荒田、吉原の3人が攻撃で同じピッチに立てるのも武器になる」と木山隆之監督は語ったが、パワーとスピードを兼ね備えた攻撃は今後ますます威力を増しそうだ。今日は荒田にツキがない場面も見られたが、今季の水戸は昨季以上にアグレッシブなサッカーで見るものを楽しませてくれそうだ。
一方で、得点力不足を不安視されながら、3得点を奪ったのが愛媛のFW陣。試合後、望月監督は攻守の切り替え、あるいは「関わる」という作業の物足りなさを指摘したが、奪ったあとでスイッチが入った切れのある攻撃は何度も見せた。「今日はそれぞれが開幕戦の大きさ、大事さを理解していた」と評価したのはキャプテン三上卓哉だが、最後まで予断を許さない状況にも、粘り強さを発揮して勝点3をもぎ取った開幕戦の白星が持つ価値は何よりも大きい。
いずれにしても、両チームとも「勝利」を意識し、その気持ちが前面に出た開幕戦の好ゲーム。愛媛は続くアウェイでは、昨日の開幕戦で福岡と引き分けた富山に挑む(3/15@富山)。富山のJ開幕戦は、また特別な一戦。しかしその緊張感を再び勝利への力に変え、ホームに帰ってきて欲しい。
以上
2009.03.08 Reported by 近藤義博
J’s GOALニュース
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