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【J2:第3節 仙台 vs 鳥栖】レポート:苦しい内容の鳥栖に対し、序盤から素晴らしい戦いを見せたホーム開幕戦の仙台。最後に苦しむものの逃げ切り、7年越しとなる「宮城スタジアムでの勝利」をつかむ。(09.03.21)

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3月21日(土) 2009 J2リーグ戦 第3節
仙台 1 - 0 鳥栖 (13:05/宮城ス/16,372人)
得点者:15' エリゼウ(仙台)
スカパー!再放送 Ch182 3/22(日)07:30〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武、リポーター:村林いづみ)
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 この場所での勝利には7年もの歳月がかかったが、その勝利が必ずしも、必要以上に劇的なものである必要はないのかもしれない。ただ、これまでの苦しみが嘘のように、仙台はスコア上では淡々と、宮城スタジアムでの初勝利を達成してみせた。
 とはいえ、本当にただ勝っただけというのでは、さすがに趣がなさ過ぎるということか。そこにはクラブ史上初、J2でも4例目となる、開幕からの3試合連続無失点という勲章が付与されている。

 この勝利の内容を正しく振り返るのに際しては、どうしても相手である鳥栖の、布陣に垣間見える苦しさを説明しておく必要がある。鳥栖は今節、小さくないメンバー変更を加えてきた。DFラインから中央の飯尾和也、左SBの磯崎敬太という、奇しくも以前仙台でプレーしていた2人を外し(ともにベンチスタート)、CBには右のサイドハーフからコンバートする形で山田卓也を、左SBには谷田悠介を投入。空いた右サイドハーフには、前節わずか1分の出場に終わっていた武岡優斗を配する布陣で、宮城スタジアムへと乗り込んできた。

 この変更、特に山田のCB起用に関しては、まず最終ラインから攻めをしっかりとビルドアップし、落ち着いたゲーム運びを行うという狙いがあったようなのだが、皮肉にも今節手を加えなかった部分から、鳥栖は逆撃を食らう端緒を生み出してしまう。

 手を「加えなかった」というより、攻撃の形が未だ定まらない中で、得点が生まれる可能性を作れる選手として、手を「加えられなかった」というのが正しいか、前節も直接FKを直接たたき込むなど、セットプレーさえあれば強烈に光り輝く左足を持つ、島田裕介のいる左サイドハーフの位置。ここを仙台は本能のままに狙ってきた。

 元々、守備は決して得意と言えない島田。そのサイドで対峙する菅井直樹にとって、今節は流れの中で自らが起点となれなかった過去2戦の鬱憤を晴らす舞台となった。どうしても守備で後手を踏む鳥栖の左と、菅井、そして前方の関口訓充とが並び、J2最強の破壊力を持つと言っても過言ではない仙台の右が混じり合ったタッチライン際は、一瞬にして仙台の領土へと変貌する。外周部分を1辺制せば絶対に裏返されないオセロ盤のように、仙台はこのゾーンを切り崩し続け、ひとまずゲームの流れをつかむことを前提とした鳥栖のもくろみは消えた。
 さらに鳥栖としては痛いことに、後に触れる仙台の得点の後、頼みの綱だった山田が負傷で交代を余儀なくされてしまう。

 ここでようやく仙台の話となるが、前半の戦いぶりは全てにおいて素晴らしかった。後方からの攻撃参加に呼応する形で、中島裕希と田中康平が組んだ前線も、上手い動き出しやボールのキープ、さらには守備でも献身的なフォアチェックと貢献。ここ2戦が嘘のように、テンポ良くボールがつながっていく。

 そして14分、梁勇基の左サイドからのFKがファーに流れたところ、右ポストに詰めた菅井がヘッド。この札幌戦のデジャブーを見るようなシュートがバーに跳ね返された時には宮スタのジンクスの根深さを感じずにいられなかったが、それも直後に徒労に。今のプレーから得た右CK、再び梁が蹴ったボールに今度はエリゼウが完璧に合わせた。叩きつけるヘディングシュートが決まり仙台が先制点を奪う。さらにその後も次々とチャンスが続く仙台。ハーフタイムの時点では、この日の空同様、明るい未来が待っているかのようだった。

 ところが後半に入り、あまりに続く決定機をことごとく逃したあたりから、雲行きが怪しくなる。69分には途中投入のマルセロソアレスがGKと完全に1対1になるものの撃ち切れず、エリゼウとの加入初ゴール競演ならず。「いつでも点を取れる」という空気感は一変、「取れる時に取らないと…」という、おそらくフットボールというスポーツが確立して以来、地球上のあちこちで何千億回も語られてきただろう恐ろしい教訓が頭をよぎる展開となっていった。

 そしてそのまま仙台は、恐怖の試合終了間際に突入する。トジンとジョズエという、決定力に難はあるがとにかくボールの収まりは良い2トップへと変わり、トップを務めていた廣瀬浩二が適職と思える右のサイドハーフに回っていた終盤の鳥栖は、最後の10分で猛然と逆襲を開始した。ここに来て柳沢将之と谷田の両SBがハーフウェーラインを超えて侵入を果たしたことで、サイドでも仙台は時に数的不利を迎えることに。その対応に追われて人手が足りなくなったところ、前半の仮を返すかのごとく、島田が牙をむく。チェックの及ばない遠距離から正確なフィードを仙台ゴール前に注ぎ込み、その都度仙台ゴール前は混乱に。

 だが仙台は失点を最後まで免れた。島田のフィードをライン裏で受けたトジンがヒールで落とし、ジョズエがフリーでボレーを放った84分、左サイドの島田からのセンタリングに、エリゼウが飛び出しから戻り遅れて不揃いだった仙台のDFラインから頭一つ抜け出したトジンがヘディングで合わせた86分、さらには右からのグラウンダーのクロスに合わせ、ペナルティーエリア内正面でまたもジョズエがフリーとなった88分…鳥栖のいずれのチャンスも、シュートがミートせず不発。何試合分かの肝冷やしが濃縮して襲ってきたような終盤だったが、ともなく仙台は逃げ切ることができた。

 このように双方が課題に気づかされた一戦となった今節。ただ互いにそうであったからこそ、そんな試合で勝利を手にしたことは大きい。まして冒頭に触れたとおり、仙台にとってこの一勝は単なる一勝ではないのだ。

 最も、仙台のサポーターがさらに宮城スタジアムを愛せるようになるのか、いきなりの試金石はすぐ、次の水曜日(対甲府)にやってくるのだが。

以上
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