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【J2:第4節 仙台 vs 甲府】レポート:好調時に決められず、後半の甲府に復調の余地を与えてしまった仙台にもたらされた、あまりにも残酷な結末。(09.03.26)

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3月25日(水) 2009 J2リーグ戦 第4節
仙台 0 - 1 甲府 (19:06/宮城ス/7,154人)
得点者:61' 森田浩史(甲府)
スカパー!再放送 Ch182 3/26(木)19:00〜(解説:鈴木武一、実況:守屋周、リポーター:村林いづみ)
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 みぞれの予報がされていたキックオフ時、空から落ちていたのは紛れもなく雪。ただでさえ平日のナイトマッチ、仕事終わりでぷらっと足を運ぶには(仙台市内から)少し遠いスタジアム、そしてなにより気温0.7度という過酷な環境の中、宮城スタジアムまで足を運んでくださった7,154名のファン、サポーターの方々には、両クラブ共に感謝の気持ちでいっぱいだろう。
 だがその大半を占めていたことは間違いない仙台のサポーターにとって、試合の結末は、寒さ以上に厳しいものとなった。決して必要以上に責めるつもりはないのだが、あくまで起きてしまった事実のみを前提に話せば、前節、この場所でのクラブ初勝利を攻守両面の活躍で仙台にもたらしてくれたヒーローが、トランプで言えばジョーカー、タロットで言えば死神のカードを引かされたとしか思えない不幸なミスを犯し、敗れてしまったのだから。

 J1の第2節、山形vs名古屋の試合後半でその存在を久々に示した、降雪時試合用のオレンジ色のボール。こちらをキックオフ時から使用したことからも明らかなように、凍てつくピッチ上で、通常のサッカーを行うことは難しい。共に選手たちの高い足技を活かした「つなぐサッカー」を武器とする両チームだけに、この気候は本当に残念なことである。開始直後は双方、長いボールを普段よりも多く使った攻めが基本となった。
 となると、前線に力強い3人を並べている甲府の方がリズムをつかむのかとも思えたが、この時間帯に多用していた左のマラニョンへの展開は、対峙した菅井直樹の勇気を持った応対と、富田晋伍、さらには関口訓充らの加勢もあって突破口とはならず。むしろこうした立ち上がりを冷静に凌いだ仙台に、流れは傾いていった。
 仙台は甲府との一戦に向け、手薄になりやすい甲府の中盤両サイドで起点を作ることを意識して臨んだ。そのためにはこのゾーンで前を向いてボールを持つ選手を作るための努力が必要だったのだが、今節が加入後初スタメンとなったマルセロ ソアレスが、その役割を思いのほかこなしてくれた。献身的に中盤に降りてきては、相手をしっかりと背負ったりボールに対して体を張ったりと奮闘を見せ、後方の選手が動き出す時間を作る。こうして生まれた起点から、仙台は前半、立て続けにチャンスを生んでいった。
 だが、それを決められないのが今の仙台。中でもチャンスメークには貢献していたマルセロ ソアレスは、フィニッシュの場面となると冷静に合わせることができず、3度の決定機をフイにする。この日の空同様、マルセロ ソアレスにはまだ春が来なかった。

 すると後半、甲府が徐々に息を吹き返してくる。思うにきっかけは、金信泳に代えて美尾敦が入った55分の交代だった。前半、前線の選手たちのポジショニングが硬直化し、仙台にとっては守りやすい(マークにつきやすい)状況を生み出してしまっていた甲府だが、この交代によって大西容平の行動範囲が、トップ下の一区画から、前線の両サイドというワイドなものに。それに合わせてマラニョンも、左を飛び出しピッチ全域で躍動を始める。これに対し、仙台のマークには明らかなギャップが生まれ始めていた。
 こうした背景を踏まえれば、その後に起こってしまったミスも、なんだか大きな必然があったようにすら思えてくる。61分、前半はほとんど相手陣に顔を出すことがなかった甲府右SBの杉山新が、高い位置から早いタイミングで、ゴール前へグラウンダーのセンタリングを送る。ゴール前にいたエリゼウにとっては、何の苦労もなく届く軌道のパスだった。ところが水分を多く含んだピッチを「滑ってきた」ボールの勢いを見誤ったエリゼウは、ボールを処理できずに後方に流してしまう。そしてその先…最高の位置に、よりによって森田浩史が立っていたのだ。
 ワントラップを入れる時間的、心理的余裕すらあった森田は、それがクロスからのシュート練習であるかのように、慌てて飛び出した林卓人を破るシュートを淡々と決めた。これが決勝点。仙台としては、これ以上ない悲劇的な結末である。

 とはいえ、単なる悲劇としてかたづけるのはおかしいし、何より勝利した甲府に失礼だ。安間貴義監督の会見にもあるとおり、ピッチ状況や戦局を踏まえ、普段の自分たちが目指すサッカーを押し殺して現実的な試合運びを進める、そうした柔軟性が、結果的に甲府には最高の結果をもたらした。
 そして仙台にも、悲劇を自ら導いた部分がある。それは言わずもがな、点を取れない前線だ。4試合で得点2、それも共にセットプレー(しかも決めたのは菅井、エリゼウと、共にDFである)からというのでは、後方で耐える守備陣としても浮かばれない。この日も純粋な決定力の数では、仙台の方が多かった感がある。
 もちろん、エリゼウのミス自体は許容できるものではない。だがこの守備の名手を、たった一つのミスで敗戦の全責任を負わせてしまう状況に追いやっているものは何か…次節以降、攻撃陣を見る目がより厳しさを増しているだろうことは確かだ。

以上
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