3月25日(水) 2009 J2リーグ戦 第4節
水戸 2 - 0 東京V (19:04/笠松/1,206人)
得点者:50' 吉原宏太(水戸)、73' 荒田智之(水戸)
スカパー!再放送 Ch183 3/26(木)17:30〜(解説:都並敏史、実況:加藤暁、リポーター:湯本久美)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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73分、完璧なプレスがかかった。左サイドにボールを送った東京Vに対して、水戸は連動したプレスを敢行。サイドに追い詰められ、パスの出しどころがなくなった東京Vはボールを下げることに。最終ラインの高橋祥平にボールは送られた。そこに対しても水戸は激しくプレス。その勢いに戸惑いを見せた高橋に対して、果敢に突っ込んだ荒田智之がボールを奪取。そのままゴールへ向かい、GKとの1対1を落ち着いて決め、ダメ押しの2点目を決めたのであった。
「何も言うことはない。素晴らしいゲームだった」と木山隆之監督が自画自賛するように、水戸は完勝をおさめ、3連勝を飾った。この好調ぶりを支えているのはプレスの意識だ。「FWと中盤が貪欲にアグレッシブにプレスをかけてくれたので、後ろはついていくだけだった。それが勝因」という大和田真史の言葉通り、前線からの一糸乱れぬプレスで東京Vの攻撃を封じた水戸が、序盤から完全にペースを握った。
ただ、そうした一体感は昨日今日生まれたものではない。「昨年からずっと続けていることなんですが、1人1人のフィーリングというか、判断が非常によくなっている。連動性も非常にマッチしていて、全体が動いているので相手に脅威を与えている。ベンチから見ていても質が上がったなと思う」と木山監督が説明するように、昨年から積み上げたものが確かな形となってピッチの上で表現できるようになっているのだ。蓄積した力が今の水戸を支えているのである。
それは1つのアクシデントが起きたことでさらに証明された。30分、中村英之が負傷退場。右サイドバックの鈴木和裕がセンターバックに移り、保崎淳が右サイドバックに投入されるという急造フォーメーションとなったものの、チームの連動性は失われることなく、全体をコンパクトに保ったままプレスをかけ続けたのである。それは「誰が出ても同じことができないといけない」と鈴木が言うように、チームとしての戦い方が全体に浸透していることであり、「みんなが1つになって戦えている」(大和田)こと。1つの方向性に向かってたしかな前進をしていることの証と言えよう。
いい守備ができているからこそ、いい攻撃ができている。東京Vに攻め手を許さず、完全に主導権を握った水戸はこの日も前線の高崎寛之が体を張ったポストプレーを生かしながら厚みのある攻撃を繰り出した。また、リーグ戦ではじめて先発で2トップを組んだ高崎と吉原宏太のコンビも絶妙な連携を見せ、東京V守備陣を翻弄。そして50分、右サイドから対角線上に送られたロングボールを和田拓也に競り勝ち、キープした吉原。ペナルティエリア内に切り込んだところを和田に倒されてPKを獲得。自ら右上に蹴りこみ、先制点を挙げた。その後も攻め手を緩めず、一方的に攻め立てた水戸。54分には小澤雄希がミドルシュート、58分にはペナルティエリア内にドリブルで侵入した森村昂太がシュート、66分には菊岡拓朗からのスルーパスを受けた高崎がGKと1対1を迎えるなど再三決定機を築き、そして73分に荒田の追加点が生まれ、勝利を決定付けることとなった。
過去3戦、FWにゴールがなかっただけに吉原、そして荒田にゴールが生まれたことは水戸にとって大きい。「これからの爆発に期待してほしい」と吉原が言うように、この日のゴールが起爆剤になることに期待したい。試合には完勝したものの、高崎は「ゴールできなくて残念」と唇をかんだようにFW陣のゴールへの渇望は消えるどころか強くなるばかり。水戸のFW陣は1つや2つのゴールで満足する輩たちではない。これからも多くのゴールをサポーターに見せるために刃を研ぎ続けることだろう。水戸が誇るトリプルキャノンの本領発揮はまだまだこれからだ。
充実した戦いを見せた水戸に対し、東京Vはあまりにもふがいなかった。「選手たちはサッカーすることを忘れてしまった」と高木琢也監督が嘆いたように、まったくチームとして機能せず。攻守において完全に水戸に圧倒された90分であった。1人1人の技量では上回っていながらも攻守の切り替えの早さや運動量、そして球際の強さで水戸に完敗。「水戸のプレーに対して何もできなかった」と高木監督も肩を落とした。だが、この日の東京Vはそれ以前の問題であった。特に2点差がついてからは集中力の欠如が顕著で初歩的なミスを連発し、木山監督に「相手は戦う意識を失っていた」と言われる始末であった。まずは戦う姿勢で相手に勝らない限り、勝利は奪えないだろう。名門復活に向け、やるべきことは山積みのようだ。
伝統ある東京Vにホームで初勝利。水戸にとって価値ある1勝と言えるだろう。だが、『伝統』とは守るものではなく、作るものである。まだ水戸には『伝統』というものはないかもしれないが、これから時間をかけて作っていけばいい。今、水戸は1つ1つ扉を開いていっている最中。決して近道などはない。この日は雨の水曜日ということで観客は1,206人にとどまったが、スタジアムに来た人すべてが新たな『伝統』の生き証人となったのである。これからも積み上げていかれる伝統の数々をみんなでじっくり見守っていってほしい。1日1日の積み重ねは、必ず血となり骨となる。そして、いつか大きな力になって水戸に本物の歓喜の瞬間が訪れるはずだ。水戸の『伝統』をみんなで育んでいこう。
以上
2009.03.26 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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