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【J1:第5節 広島 vs 柏】プレビュー:あくまで攻撃的なサッカーを貫く。広島と柏、同じ想いのチームが、熱くぶつかる。(09.04.10)

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4月11日(土)J1 第5節 広島 vs 柏(19:00KICK OFF/広島
スカパー!生中継 Ch183 18:50〜(解説:沖原謙、実況:桐山隆、リポーター:掛本智子)
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 4試合で失点9は、どう考えても多すぎる。リーグ2位の9得点を稼いでいるのだから、なおさら失点の多さが気になってしまう。 

 もちろんその現実は、広島・ペトロヴィッチ監督も気にかかっている。しかし、今季初完封を飾ったヤマザキナビスコカップ・浦和戦後にも「守備の練習をしたわけではない」と語ったように、指揮官はいつもどおりの攻撃的なスペクタクル・サッカーを変えるつもりはない。その理由を、彼は個人的な体験談をもって、語った。
 「私の故郷(旧ユーゴスラビア)はかつて、社会情勢が常に落ち着かない場所だった。それでも、サッカーの試合を楽しみに、スタジアムにはサポーターがやってくる。そして試合後、『今日の試合は面白かったね』と笑顔で帰ってくれる。その姿を見た時、私は『これだ』と思った。見に来てくれた人に、笑顔を持ち帰ってもらうこと。それがプロサッカーにとって、とても重要なことなのだ」

 彼が現役でプレーしていた1980年代、典型的な多民族国家だった旧ユーゴスラビアは、民族主義の台頭の中で政情的に不安定な時期に陥った。それが1990年代の内戦につながり、数々の悲劇を生む。当時、クロアチアのサッカー少年だったミキッチは、「私が住んでいたサラエボもまた、空爆に襲われた。この戦争が醜かったのは、自分たちの親類や隣近所と言っていい人々が、互いに殺し合っていた、ということだ」と当時を振り返る。
 そんな悲惨な状況の中でも、サッカーは行われていた。1990年のディナモ・ザグレブ対レッドスター・ベオグラード戦のように(ディナモのサポーターがユーゴスラビア警察と対決した事件)、政治的対立がサッカーに影響を与えたことも、もちろん少なくない。しかし一方で、「戦争の最中でも、僕はサッカーを忘れたことはなかった」とミキッチが言うように、サッカーは暗い時代の中で、旧ユーゴの人々の心を支えていた。実際、内戦が行われた1990年代前半も、リーグ戦は独立したそれぞれの国で、続いていたのである。

 「100年に1度と言われる厳しい経済危機の中に時代だからこそ、人々にサッカーを楽しんでもらい、日々の厳しさを少しでも忘れ、希望を感じてもらいたい」
 そう語るペトロヴィッチ監督の哲学は、就任以来3年半、まったくブレはない。失点についても、「チャンスを決めていないから、相手に点を奪われる。サッカーとはそういうスポーツだ」と言う。G大阪の攻撃に対する対処を問われた時も、「相手の攻撃に対応するよりも、自分たちの攻撃で相手をいかに崩すか、が大切だ」と語った。

 本来、ポゼッションサッカーが完璧に出来れば、相手にボールは渡さず、チャンスも与えない。しかし、そんなことは現実的に不可能だ。「サッカーとは、ミスが無ければ0-0で終わるもの」というペトロヴィッチ監督の言葉どおり、必ずミスは起き、相手にボールを渡す。
 そして柏は、そのミスを突く才に長けているチームである。一人少ない状況で闘った大宮戦、相手DFのスキをついてフランサがボールを奪い、先制点を叩き込んでいる。昨年の広島との天皇杯でも、相手DF陣のパス回しの不安定さをつき、得点をあげた。シュート25本を放ち、試合を支配した広島だったが、勝ったのは柏。決定的なミスを犯した若い広島と、そのミスを許さない老練な柏との差が、明確に存在していた。

 また、柏の高橋真一郎監督にとって、広島は現役・コーチ合わせてのべ18年間を過ごした故郷。当然、特別な想いを持って、広島に乗り込んでくる。また、川崎F時代から古巣・広島戦となると強い闘志を見せて躍動する山根巌は今季も、存在感を見せている。DF小林祐三の出場停止は痛いが、替わって出場が予想される近藤直也は元日本代表候補。2007年のビッグアーチ対決で広島を終了間際の1点に抑えており、能力的にも問題はない。

 確かに4試合連続引き分けと、勝利はまだない。しかし、横浜FM戦では2点差を追いつき、大宮戦は終了間際の同点弾と、決してあきらめない粘り強さは発揮している。今季、テーマに掲げている攻撃的なサッカーを前面に押し出し、過去12勝4分8敗と相性のいい広島を相手に今季初勝利を狙う。

 ここまでの内容の良さを勝利へとつなげ、サポーターと共にJ1通算200勝を奪いたい広島だが、一方で「柏は、やっかいなチームだ。フランサを中心に、スピードのある攻撃を仕掛けてくる」と、ペトロヴィッチ監督は警戒心を隠さない。しかし、だからといってフランサにマンマークをつけるような作戦は、とらないだろう。あくまで自分たちの攻撃サッカーを貫く。それができなかった時は、鹿島戦のような厳しい試合となる。それが、サンフレッチェ広島なのだ。

以上

2009.04.10 Reported by 中野和也
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