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【J2:第16節 水戸 vs 札幌】プレビュー:満身創痍の水戸と9試合負けなしの好調札幌が激突。攻撃が武器の両チームだけに、守備の集中力がポイント(09.05.20)

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5月20日(水)J2 第16節 水戸 vs 札幌(19:00KICK OFF/水戸
スカパー!生中継 Ch180 18:50〜(解説:都並敏史、実況:田中雄介、リポーター:高木聖佳)
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 残念なシーンだった。C大阪戦の後半32分、香川真司にスルーパスが通った。しかし、そのケアについているはずだった選手は香川を追わず、独走を許し、試合を決定付ける4点目を決められてしまった。2試合連続して5失点を喫し、6位に位置しながらもついに得失点差はマイナスへと突入することとなった。水戸はチームとして攻撃に出ている分、守備がおろそかになるのは致し方ない。ただ、だからこそ、1人1人が局面で集中した守備を90分間しなければならないはず。それができていないことが大量失点につながってしまっている。5失点目もサイドで簡単にクロスを上げさせたことから生まれたもの。中2日で守備を立て直すためにも、まずは個々の守備意識を変えなければならない。

 今季の水戸は決して守備の弱いチームではない。リーグ序盤の好調を支えたのは守備であり、前線から11人が連動したプレスこそが最大の武器であった。守備の安定があったからこそ、攻撃は鋭さを増していったのである。積極プレスからボールを奪い、一気にゴールにつなげた第4節東京V戦はまさにその象徴。一方、第3節福岡戦では相手の厚みのある攻撃に苦しみながらもゴール前で粘り強い守備を見せ、1失点に抑えたことでチームは勝利を収めた。2つの守備を使い分け、第2節からの4試合をわずか失点1で切り抜け、チームは4連勝したことで一気に波に乗ることができたのである。守備意識の高さこそが昨季との一番の違いということをもう一度思い出したい。たとえ3失点しても、絶対に4点目を与えない。そういう心意気が新たな可能性を生み出す。前節のように、リードを許した段階で守備をルーズにするようなことはあってはいけない。

 ただ、C大阪戦後、木山隆之監督は「苦しいチーム事情のなか、選手たちはよくベストを尽くしてくれた」と選手たちを称えたが、それが本音だろう。骨折の荒田智之に加え、菊岡拓朗、星野圭佑も戦線離脱。前節にはさらに加藤広樹が負傷し、27人中8人が戦列を離れている状態であり、チームは野戦病院と化している。さらに、今節は森村昂太が累積警告で出場停止であり、まさに満身創痍。試練の時を迎えている。しかし、「ピンチの時こそチャンスの時」という言葉があるように、こういった事態をプラスに捉えなければチームとして前進はない。やはり、期待したいのはさらなる若手の台頭だ。前節デビューを果たした鶴野太貴や先週火曜日の鹿島との練習試合で1得点1アシストを決めた島田祐輝ら若い選手にとっては大きなチャンスでもある。ルーキーながらもはやチームの主力にまで成長した保崎淳も含め、若い選手たちの躍動によってチームに覆いかかる黒い雲をぬぐい去りたい。自らの未来は自らの手で切り拓くしかない。新たな胎動こそが、今の水戸に求められているものである。

 苦しむ水戸とは対照的に、札幌は9試合負けなしと上昇気流に乗っている。この好調の原動力となっているのが、3人の外国人選手だ。前線で爆発的なスピードを持つキリノ、トップ下の位置で抜群のテクニックを見せるクライトン、そして中盤の底で優れた危機察知能力を見せるダニルソン。3人の高い個の力がチームを支えている。前々節湘南戦、前節C大阪戦と個の力に屈している水戸にとっては戦いにくい相手と言えるだろう。彼らのいる中央ではなく、サイドを起点に攻め込むことで3人を孤立させたい。石崎信弘監督のもと、攻撃的なチームに生まれ変わった札幌はサイドから果敢に攻撃を仕掛けてくる。その反面、サイドの裏にスペースが生まれることが多い。それをうまく突いたのが前々節の徳島であった。前半に2点のリードを許しながらも、スピーディーなサイド攻撃から3点をもぎ取り、ドローに持ち込んだ。そのイメージを持って試合に臨みたい。

 札幌も水戸同様、攻撃に比べ、守備のもろさという課題を持っている。先週には失点場面ばかりを集めた映像を選手たちに見せ、守備の修正を行ったという。そのかいもあってか、前節は完封勝利を収めた。その意識を持続させることができれば、チームとしてさらなるステップアップをすることとなる。札幌にとっても守備の集中力が求められる一戦と言えるだろう。

 水戸にとっては上位争いに食い下がるために、札幌にとっては昇格争いに食い込むためにも重要な一戦。ともに攻撃的なチームの対戦だが、鍵は守備力。一瞬の隙が勝敗を分けてしまうような、緊迫したゲームになることを期待したい。大味なゲームは、ご法度だ。

以上

2009.05.19 Reported by 佐藤拓也
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