5月20日(水) 2009 J2リーグ戦 第16節
水戸 0 - 0 札幌 (19:04/笠松/1,697人)
スカパー!再放送 Ch185 5/21(木)17:30〜(解説:都並敏史、実況:田中雄介、リポーター:高木聖佳)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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「難しいですね」。試合後、木山隆之監督は苦笑いを浮かべた。試合前日に木山監督は「失点を減らさないといけないけど、そうすると必然的に点も取れなくなってしまう」と語っていたが、まさにそれが現実となっただけにサッカーの難しさを改めて痛感させられたゲームであった。2戦連続5失点を喫して挑んだこのゲーム。守備の立て直しが求められたが、守備が改善されると、逆に攻撃の破壊力を逸することとなってしまった。この日、水戸の放ったシュートは札幌の12本の半分の6本。第9節横浜FC戦以来、今季2度目の無得点試合となり、スコアレスドローに終わった。
しかし、試合の主導権を握り続けたのは水戸であった。この日の特筆すべきは水戸の守備意識の高さだ。前線から激しくプレスをかけ、札幌の攻め手を封じることに成功。また、全体をコンパクトに保つことで、ボランチとセンターバックはうまく挟み込むようにクライトンとキリノをケアすることができ、札幌の攻撃のキーマンである2人にほとんど仕事をさせることはなかった。引いて守る守備ではなく、水戸らしい積極的な守備で守備を立て直すことができただけに、「選手は大敗の後、そこから立ち上がってくれて、自分達らしいプレーを見せてくれたので、そこは本当によかった」と木山監督は胸を張った。選手たち自らの手で自信を取り戻したことに大きな意義があると言えよう。
ただ、守備の意識と反比例するように、攻撃力が半減してしまったことも事実である。序盤から攻撃は「できるだけリスクを背負わず」(木山監督)前線の高崎寛之をターゲットとしたロングボールを多用。高崎が体を張ったポストプレーで起点となり、吉原宏太、遠藤敬佑らがうまくサポートすることでチャンスを作っていった。しかし、札幌陣内に押し込むことはできても、「攻撃に厚みがなくて単調だった」(高崎)。DFだけでなく、ボランチもクライトンとキリノを気にするあまり、攻撃に参加することが少なく、守備に6人割いたことで攻撃が手薄となることに。さらにサイドバックも積極性を欠き、サイドを駆け上がるシーンは数えるほど。「背中を押してあげるべきだった」と木山監督は悔やんだように、2戦連続大量失点という残像に後ろ髪を引かれるかごとく水戸らしい迫力ある攻撃は影を潜めることとなった。
とはいえ、引き分けに終わったものの、2戦連続大量失点での敗戦から立て直し、札幌相手に積極的な守備で主導権を握ったことは半歩前進と言えるだろう。だが、「半歩」の前進で満足していたら、これ以上の成長はない。吉原は語る。「守備だけでいいと済ませるのではなくて、もっと効果的に前に出ることを求めないといけない」と。そして、こう続けた。「それぐらいできる選手たちなんだから。チームとして進化していかないといけない」。守備をしながら攻撃をし、攻撃をしながら守備をする。その両輪をうまく回転させることができれば、水戸はさらに成長を遂げるに違いない。けが人が多く、苦しいチーム事情でもやることは変わらない。より高みを目指して進むだけである。この勝点1によって、進むべき道に再びくっきりと光が差し込むこととなったことはたしか。まだまだ強くなれる可能性を示した90分であった。
一方、札幌は「90分間、自分たちのリズムでできなかった」と石崎信弘監督が唇をかんだように水戸のロングボールと積極的なプレスに苦しみ、自陣に押し込まれる展開となり、辛うじて勝点1を手にした内容であった。そして、選手交代についても「勇気がなかった」と指揮官が述べるように、積極性を欠き、劣勢を打開することができなかった。ただ、それでも無失点に抑えて、勝点1を獲得したことは収穫だろう。「前までは残り30分での失点が多く、みんなで(前節前に)集中しようと話し合って、意思統一できるようになった」と荒谷弘樹が語るように、2戦連続無失点で抑えたことで、課題だった守備のもろさを克服したことは証明してみせた。10試合負けなしと好調を維持し、ジワジワ上位戦線に食い込んで来た札幌。ただ、さらにステップアップするには前線の外国人2人に頼らない攻撃の形を構築する必要があるのではないだろうか。この日のように2人が抑えられたときにいかに攻めるのか。昇格争いに加わるためにも克服すべき課題と言えそうだ。
以上
2009.05.21 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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