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【J2:第16節 福岡 vs 甲府】レポート:厳しい現実にさらされた福岡。自分たちの姿勢を見直さない限り明日はない。(09.05.21)

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5月20日(水) 2009 J2リーグ戦 第16節
福岡 2 - 4 甲府 (19:04/レベスタ/3,814人)
得点者:1' 金信泳(甲府)、14' 城後寿(福岡)、26' 森田浩史(甲府)、44' 池端陽介(甲府)、80' 田中佑昌(福岡)、85' 杉山新(甲府)
スカパー!再放送 Ch183 5/21(木)15:00〜(解説:サカクラゲン、実況:後藤心平、プレーヤー解説:布部陽功、リポーター:森田みき)
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 14分の同点ゴールは流れるようにボールを回して手に入れた狙い通りのゴールだった。2点のビハインドを追って戦った後半は、前へ出る気持ちを見せて甲府を押し込む時間帯も作った。しかし、90分間を通して感じられたのは、甲府との間にある歴然とした力の差。ボールに寄せるスピード、プレスの強さ、攻守の切り替えの速さ、フリーランニングの質、リスク管理、シンプルな組み立て、個の強さ、組織としての完成度等、甲府はあらゆる面で福岡を上回っていた。4−2というスコアは極めて順当な結果。厳しい現実だが、福岡はJ1昇格云々を語る前に、チームとしてどうやって成立させるかという問題に直面していると言わざるを得ない。

 開始1分に生まれた甲府の先制ゴールが、この日の試合のすべてを物語っていた。最初のきっかけは福岡のパスミス。そしてボールをキープするマラニョンを2人で囲み込みながら厳しくボールに行かずに突破を許した。さらにファーサイドに流れたボールに対して背後から走りこんでくる金信泳を全くケアしていなかった。どこかで、誰かが、基本通りにプレーすれば生まれなかったゴール。しかし、どこかで、誰かが、致命的なミスを犯すのが今の福岡だ。

 2失点目も基本的には同じような失点。福岡は右サイドの深い位置で金信泳を2人で囲い込みながらボールを取りきれず、1対1の局面からいとも簡単に入れ替わられた。この時点で勝負あり。最後はゴール前に詰めていた森田浩史が押し込んだ。そして前半のロスタイム、パスミスで相手にボールを渡した福岡は、2列目から長い距離を走りこんだ池端陽介に最終ラインを突破されて3失点目を喫した。

 福岡は80分、大久保哲哉のポストプレーから中島崇典、田中佑昌とつないで1点差に迫ったものの、その5分後には福岡陣内の甲府のスローインの場面でボールウォッチャーになった福岡に対し、甲府はまるで練習のように鮮やかにゴールを決めて4−2。試合後、福岡の選手たちからは2得点を挙げた攻撃を前向きにとらえる発言が聞かれたが、その2点も試合の流れに影響を与えることはできなかった。

 福岡に試合を制するチャンスがなかったわけではない。この日の狙いは、前から仕掛けてくる甲府のプレスをいなして、ボランチの両サイドにあるスペースを利用して攻撃を組み立てようというもの。14分に挙げた同点ゴールは、宮原裕司を中心に効果的にバイタルエリアへ楔を打ち込みながら、ピッチを広く使って何人もの選手が絡んだパスワークから生まれたゴール。最後は甲府の守備網に空いた穴へ城後寿が飛び込み、そこへ宮原からのピンポイントのラストパスが通った結果のゴールだった。
 しかし、それも長くは続かない。26分に再び甲府にリードを許してからは、いつもの福岡に逆戻り。動き出すのは出し手と受け手の2人だけ。縦に急ぎ、窮屈なエリアへ強引に仕掛けてボールを奪われることを繰り返した。

 そんな福岡に対し、甲府はチームとしてやることが徹底されていた。基本は高い位置からの激しいプレス。奪ったボールをシンプルに福岡の右SBの背後のスペースへ放り込んでは、マラニョンを起点にしてチャンスを作り出した。2−1となってからは守備態勢を整えてリスクを取らず。それでいて、福岡のミスを誘ってはすかさず攻撃に転じた。福岡のルーズな守備や、機能しない組織が、この日の試合の行方を決めた大きな要因だが、そこへ甲府が着実につけ込めたのは、チームとしての戦い方が明確であり、それを90分間にわたって全員が着実に実行したからに他ならない。
 勝てない日々が続く福岡にプレッシャーがあったのと同様に、上位争いへの生き残りがかかっていた甲府も正念場と言える試合。その試合で心身ともに充実した戦い方を見せて勝点3を奪った結果は大きな自信となるだろう。そして、昇格争いをするにふさわしい力があることを自らの手で示した試合でもあった。

 そして福岡。攻撃の形が見えたとは言え、攻守が一体となってこそサッカー。90分間で勝負を決めるのがサッカーだ。今までにない面は見えたものの、敗因そのものはこれまでと少しも変わってはいない。チーム戦術以前に、個人の部分で同じミスを繰り返し続けることや、16試合を重ねてもなお、組織として成り立たないのは致命的と言える。勝てないという現実がメンタル面に影響を与えていたことは否定できないが、それがやるべきことを徹底できない原因なら、勝負の世界で生きる資格を問われかねない。

 すぐに次の試合が来るJ2では下を向いている時間はない。しかし、次の試合のことを考える前に、自分たちの根底にある問題点にメスを入れなければ、これから先も同じことを繰り返す。ただ、ただ、厳しい現実だけが残る試合だった。

以上

2009.05.21 Reported by 中倉一志
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