富山の第1クールを締めくくるのは、アウェイでの湘南戦。サポーターグループ「ヘルバレー」の方の厚意で、応援に行く車に同乗して取材に向かった。サポーターの心意気にふれた貴重な1日をレポートする。
試合前夜の22日午後10時半、黒部市の黒部インターチェンジ(IC)で待ち合わせ、コールリーダーの五十里安弘さん、事務局長の村上博徳さん、太鼓を担当する森悦子さんの一行に合流した。バスツアーでも約30人が富山県内から応援に向かう予定だが、3人は全長20mのメイン横断幕を掲げる場所を確保するため、先遣隊として乗り込むという。横断幕を納めたスーツケースや太鼓、拡声器など荷物を積んで出発した。
上限1000円の高速道路ETC休日特別割引を利用するため、しばらくは一般道を走行。日付が変わって23日午前零時半ごろ、長野道・豊科ICから高速道路に入った。運転を交代して仮眠ととりながらの移動。「先週(甲府戦)も同じ道を走ったんですよね。ほんとうに道楽者です」と村上さんは自嘲気味に話す。3人とも仕事を終えた後の強行軍だが、疲れは見られない。チームは新加入ながら早くも6勝を挙げており、「選手たちは伸び伸びとプレーしていて、ほんとうに良くやっている」と満足げだ。「ゴールデンウィークの連戦で負けなかったからね。昇格のプレッシャーがかかった昨年の今ごろは苦戦続きで、選手は大変だったと思う」と振り返った。
「ゴール裏のサポーターの人数が増えていますよね」と尋ねると、「そうなんです。岐阜戦に勝った後、選手がスタンドのみんなと一緒にダンスを踊ってくれて仲間の輪が広がったように感じます」と村上さんは答えてくれた。五十里さんは「チームと同じようにサポーターも勉強の1年目」と考えており、「子どもからお年寄りまで楽しく応援できる雰囲気をつくりたい」と言う。ホームスタジアムの富山県総合運動公園陸上競技場のゴール裏スタンドは2階建てで、アウェイサポーターは2階に陣取ることも多いが、ヘルバレーは1階の芝生席での応援にこだわる。「ゴール裏は選手とともに戦う場所だということを、まずは知ってもらわなければなりません。少しでも選手に近いところから応援するという点も含め、考えたうえで現在の場所になりました」と話した。
3人は富山の母体となったアローズ北陸、YKK AP時代からのサポーター。森さんはチーム統合が発表される少し前からアローズを応援するようになった。当時は「こんなに素晴らしいものがあったんだな。もっと早くに出会っていたかった」と思ったという。五十里さんはアローズ、村上さんはYKK APのサポーターで「こうやってJリーグで頑張ってくれるのはうれしい。でも当時の富山ダービーも緊張感があって面白かったですよ。JFL時代はアウェイに乗り込む人数も少なかったので根性がつきました」と話してくれた。
午前4時ごろ、中央道・相模湖ICで高速道路から出る。料金1000円の表示を写真撮影した。空が白みだし、道路標識に「平塚」を見つけた。目的地まであと少しだ。
湘南とは05年の天皇杯3回戦でアローズ北陸が対戦し、2−1で勝っている。「あの時は和磨(松下和磨選手)が延長で決勝ゴールを決めた。今日も決めてほしいね」。期待を高めつつ午前5時20分に会場の平塚競技場に到着した。アウェイ側スタンドの入場門の前に、1番乗りを示すシートを広げて役目は一旦終了。江ノ島海岸をドライブして日本海側から太平洋側への列島縦断を実感し、朝食をとってしばらく休憩。午前9時半に入場門に並ぶと、富山からの仲間や関東地方のサポーターも続々と集まり開門を待った。
午前11時にいよいよ入場開始。みんなで手分けして横断幕を掲示する。グラウンド内から、楚輪博監督をはじめチームスタッフが横断幕の固定を手伝ってくれた。午後0時20分に選手がピッチに姿を見せると五十里さんらメンバーは戦闘モードに入り、午後1時にキックオフの笛が鳴った。
現在2位の強敵に果敢に挑んだ富山だったが前半9分に先制点を許す。後半立ち上がりのチャンスを逃すと、逆に次々とゴールを奪われて同35分には0−5と大きくリードされてしまった。だが、記者席に聞こえる富山サポーターの声はさらに大きくなった。「ララ、ララ、ラララララー オー トヤマー」のコールが最後まで続いた。完敗した選手たちはスタンドに深々と頭を下げたが、サポーターは拍手で応えた。
取材を終えて選手バスを見送り、再び3人と合流。さぞや落ち込んでいるだろうと心配したが、「リーグ戦は長いから、こんな試合もある。大差で勝つこともあるし、内容が良くても負けることだってある」「今シーズンは負けた後の試合で奮起している。次もきっと頑張ってくれる」と前向きな雰囲気で安堵した。
「選手たちが一番悔しいはず。大敗したからといって、わたしたちが応援しなくなることはないしね。負けた帰り道はだら話(ばか話)でもして忘れるに限ります」との言葉にうなずき、午後4時半ごろ帰途についた。
ところが車中で大失態が発覚。望遠レンズなど取材道具を入れたリュックサックを平塚の駐車場に置き忘れたことに気づいて、3人を驚かせてしまった。東名・足柄サービスエリアから公園事務所に電話すると、その場で見つかったそうで、親切な職員の方に宅配をお願いして、ひと安心。途中の温泉に寄って汗を流し、再び富山を目指した。
日付をまたぎ、24日午前0時10分ごろ黒部ICに到着。村上さんは、翌朝にPTAの行事があるという。「また木曜日の栃木戦で会いましょう」と言って解散し、約26時間の湘南遠征は幕を閉じた。
以上
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2009.05.27 Reported by 赤壁逸朗
J’s GOALニュース
一覧へ【J2日記】富山:チームとともにどこまでも。いざ太平洋側へ、サポーター湘南遠征記(09.05.27)
荷物を積んで、いざ平塚へ向けて出発
全長20mの横断幕を掲げます
楚輪監督も応援幕の掲示を手伝ってくれました
関東の空に「カターレ富山」コールが響きました













