福岡空港発のJAL。座席は53G。それが私の指定席だ。ネイビー色のシャツを羽織り、靴はアシックスのネイビー色のランニングシューズ。帽子はアディダス。色はネイビーかシルバーだ。幸い、スポーツの現場ではジャケットにしろ、ウェアーにしろ、シューズにしろ、ネイビーは一般的な色。目立つことはないと堂々とスタジアムの報道受付を通る。しかし、意に反して思いっきり目立つ。でも気にしない。福岡に住むライターが福岡のチームに誇りを感じるのは当然のこと。その思いはどんな結果になっても変わらない。
スタジアムにつくと、まず周辺を一周するのが私の習慣。そして必ずアウェイ側スタンドへと足を運ぶ。レベルファイブスタジアムで顔を合わせる仲間がいる。アウェイ専門の仲間もいる。それぞれのスタジアムでしか会えない仲間もいる。言葉を交わす仲間も、そうでない仲間もいる。けれど、福岡に誇りを持ち、福岡を代表するチームを後押しする気持ちは言葉を交わさなくても通じ合う。そんな仲間が集まった空間に身を置く心地よさは何事にも代えがたい。その空間にしばらく身を置いてから記者席へ移動する。
サポーターがアウェイを感じるように、記者席にいてもアウェイであることは強く意識せざるを得ない。記者席に仲間が居たとしても某新聞社1名のみ。自分1人だけのこともある。今シーズンは、徳島、仙台がそうだった。正直、肩身は狭い。福岡のゴールには静まり返り、ホームチームの得点に記者席が沸く。その中で、福岡のゴールにガッツポーズをしそうになる自分を抑え、失点シーンに机を蹴飛ばしたくなる気持ちを沈める。表情は努めて無表情。勝っても喜びを悟られないように振る舞い、負けた時は悔しさを気づかれないように振る舞う。だから、記者席では表情はいつも硬い。
アウェイの場合、取材を終えてスタジアムを後にするのは試合終了後1時間が目安。ホテルへ戻り、荷物を片づけて夜の町へ。基本的には1人で出かける。アウェイの地の名物を肴に祝勝会の時もあれば、反省会の時もある。あまりにも結果に納得できない時は、地元の名物には手を出さない。酒を飲む時にまでアウェイを意識したくないからだ。にやにやしたり、ブツブツ言ったり、はたから見れば極めて怪しい客だ。しかし気にしない。福岡の人間が福岡のチームの結果に一喜一憂するのは当然だからだ。
時には愚痴をこぼしたくなることもある。実際、酒を飲んで管を巻いたこともある。あまりの情けなさに、アウェイに行くのを止めようかなと思うこともないわけじゃない。でも、またアウェイへと出かけていく。いつかきっとアウェイへ行くことができなくなる時が来る。けれど、少なくともいまはその時じゃない。チームが戦う限り、仲間がいる限り、アウェイへ出かけ、チームの戦いぶりを見届ける。それは福岡に住むライターとして当たり前のこと。そして自分がチームのためにできる唯一のことだからだ。
さて、またJAL便、53Gの席に座って福岡空港を旅立つ。アウェイのスタジアムの仲間に会うために、福岡の戦う姿を見届けるために。勝っても、負けても、それだけは変わらない。
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2009.06.08 Reported by 中倉一志













