6月24日(水) 2009 J2リーグ戦 第23節
札幌 1 - 1 横浜FC (19:03/札幌厚別/7,266人)
得点者:45' 池元友樹(横浜FC)、73' 西嶋弘之(札幌)
スカパー!再放送 Ch180 6/25(木)23:00〜(解説:大森健作、実況:宮永真幸、リポーター:岡本博憲)
☆勝敗予想ゲーム
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「ゲームの展開を考えれば選手たちは非常によく猛攻に耐え、勝点1を取れたと思う」。横浜FCの樋口靖洋監督が試合後に自チームを評したこの言葉が、この試合の展開を最もシンプルに表していると言っていい。放ったシュートは札幌が19本で横浜FCが6本。主導権は終始札幌が握っていた。それでも、1−1のスコアで勝点1ずつを分け合うという結果になってしまったのだ。
試合は、大まかに言うとホームの札幌が攻めて横浜FCが守るという展開。札幌がボールを持つと横浜FCは素早く戻ってブロックを形成し、10人のフィールドプレーヤーがしっかりと守備をするという戦い方を演じた。どれだけ攻撃力のあるチームでも、人数を割いた守備組織を形成されては崩すことは容易ではない。アーリークロスなどを前線に我慢強く送り続け、そこからのこぼれに活路を見出すのが一般的な考え方である。
だが、札幌は横浜FCの守備組織に対して真っ向から挑戦していった。しっかりと形成されたブロックをこじ開けるには、DFラインとMFラインの狭間にクサビのパスを入れてギャップを生む、あるいは片方のサイドにブロックを引き付けて、そこからの大きなサイドチェンジでスペースを作り出すという2つのやり方がある。その2つを札幌は丁寧に行なったのだ。
前線のキリノやトップ下のクライトンにボールを預け、相手守備を引き付けたところで他選手の飛び出しを活かす。左サイドバックの上里一将からの大きなサイドチェンジで右MF藤田征也にスペースを与えてクロスボールを蹴らせる。本来であればチャンスメイクに手を焼くであろう、守備的な相手にも札幌の組織的な攻撃は機能していた。チームレベルの差を存分に見せ付けたと言っていいだろう。
だが、チャンスをいくつも作りながらも得点を奪えないという、今季の札幌が慢性的に抱える決定力不足という課題がこの日もモロに顔を出してしまった。バイタルエリアでの肝心な場面でパスを選択してしまったり、トラップが大きくなったり、シュートがしっかり飛ばなかったり。そんな悪癖がこの試合でも出てしまったのだ。
そうこうしているうちに後半開始直後、DFラインのちょっとしたミスから横浜FCにPKを献上してしまい、みすみす相手に先制点を与えるという悪い流れを引き寄せてしまった。やはり、チャンスを逃し続けるとこういうことが起きてしまうのだ。
ちなみに、このPKを与えた場面などについて札幌の石崎信弘監督は「ディフェンスの選手に甘さがある」と振り返った。そう、この場面では簡単にクリアしていれば何事もない場面だったが、最も良い選択をしてボールをつなごうとしたのか、連係が中途半端になってボールを相手に奪われたことがきっかけだった。攻撃面同様に、札幌はゴール前での現実的な判断が不足している印象だ。相手に押し込まれている展開だったならば簡単にクリアで逃げたのだろうが、ゲームを支配しているという状況が、現実的な判断を鈍らせてしまったのかもしれない。
そして1点を追う状況になって、札幌が動く。61分、前線に長身FWの中山元気を投入し、右サイドバックの西大伍をリベロの位置へとスライド。システムを4−2−3−1から3−5−2へと変更し、キリノ、中山という2枚のターゲットへシンプルにフィードをして得点を奪いに出たのだ。
これが功奏して73分に西嶋弘之のヘディングで同点に。そしてその直後にも長身FWの上原慎也を、83分には攻撃的MFの砂川誠を投入して波状攻撃を繰り出した。横浜FCもDFの八田康介を投入して守備を強化。終盤はとにかく横浜FCゴール前での攻防が続いた。
この終盤のパワープレーで、札幌はいくつもの決定機を作った。だが、そこでのシュートはちょうど相手DFがカバーする場所に飛んでしまったり、枠を外れるなどして、あと一歩のところで得点にはならず。そしてそのまま、タイムアップの笛は鳴った。
札幌は後半だけで16本ものシュートを放っている。これについて石崎監督は「後半はサッカーが単純になった」と話した。中山を投入してからの時間帯は決定機が一気に増えた。ならば、最初からその形で戦えば良いではないか、という意見は安易だろう。やはり石崎監督は前半のように、引いた相手に対しても組織的に崩せるプレースタイルをチームに植えつけたいのだろう。なかなか結果が出ず厳しい状況ではあるが、そのプレースタイルは形になりつつある。もうしばらくの我慢が必要なのかもしれない。
いずれにせよ、ゲーム内容がそのまま結果に反映されるわけではないという、サッカーの難しさをあらためて感じさせられた試合だった。これもまた、サッカーという競技の面白さのひとつなのだろう。
以上
2009.06.25 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第23節 札幌 vs 横浜FC】レポート:シュート数16本対6本のドローゲーム。札幌は終始主導権を握りながら、またも勝ちきることができず。(09.06.25)
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