7月5日(日) 2009 J2リーグ戦 第25節
甲府 1 - 1 栃木 (18:33/小瀬/11,476人)
得点者:26' 井澤惇(甲府)、48' 河原和寿(栃木)
スカパー!再放送 Ch181 7/7(火)05:00〜(解説:塚田雄二、実況:桜井和明、リポーター:横内洋樹)
☆勝敗予想ゲーム
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試合前は栃木名物・ニセローが小瀬で意味不明の職務質問をされるという心温まる話題もあって記者室も和んでいたが、甲府はルーキーチームに相性が悪いという心配が現実になってしまった。栃木の松田浩監督も同点ゴールを決めた高校球児風Jリーガー・河原和寿も「引き分けに値する試合」という趣旨のことを言っていたけれど、どちらからから見るかで感じ方はだいぶ違う。栃木にとって引き分けに値する試合でも、甲府から見れば自ら勝利を放棄したような試合だった。
伝家の宝刀「輝く夜空」を試合開始から歌ってもらった甲府は立ち上がりから主導権を取って決定機も作った。ここで決めていれば福岡戦(第23節)のように大量得点で勝てる流れになっていたかもしれない。しかし、決定機を作りながらも決められない時間が長くなるにつれて、CB・米山篤志を中心とした栃木の守備の堅さが目立ち、主導権も甲府が独占できなくなってきた。それでも、26分にCKの流れからこぼれ球を井澤惇がプロ2点目目のゴールを決めたときは、もう2〜3点決まるかもしれないと期待を持った。だが、マラニョンが闘うことが出来ていないこともこの頃から顕著になっていた。前線で浮球を競らないし、自ら仕掛けることが殆どなく、パスに逃げてばかり。ある程度主導権を握っているときはそれほど目立たなかったが、後半になると白木のテーブルに止まったハエのように目立ち始めた。
前半の栃木の決定機は、30分に入江利和の素晴らしいクロスが石舘靖樹の頭に合ったシュートだけだったと思うが、ブロックを作って守り、ボールを奪ってからのクサビを使った早い展開に甲府は手を焼き始めていた。後半48分にCKの流れから河原に決められて同点に追いつかれると、今期最多の11476人の観客が入った小瀬は久しぶりにイライラ指数が上昇するスタジアムになった。ピッチではアンカーに入った藤田健がイライラしながらパスの出し所を探し、手を振り上げて「動け」と怒鳴る。声が聞こえたわけではないけれど、そう聞こえたように錯覚するほど激しい腕の振り上げ方だった。3トップに期待してロングボールを蹴ってもなかなか競ってくれないから跳ね返されて、すぐにピンチになる。だからディフェンスはラインを上げられない。そうなると中盤が間延びする悪循環になる。同点という状況で時間が過ぎていくと「絶対に勝たないといけない」という観念が焦りとイライラを生む。山本英臣には「焦りはなかった」と言われたけれど、「そういう状況(同点)になったことがよくない」とは感じていた。
甲府は片桐淳至(58分)、國吉貴博(69分)、池端陽介(78分)の投入で、活力を注入して決定機を作るが、記者席の後ろのほうの女性がスカパーのマイクに入るほどの大きな声で「ギャー」と叫ぶチャンスを何度も作りはするが「ギャーーやったぁ〜」にはならない。75分にセットプレーの流れから金信泳がネットを揺らしたときは、「ギャー」ともお別れかと思ったが、サッカーには憎い(頼りにもなる)ルール・オフサイドがあってノーゴール。79分にはマラニョンが池端にクロスを合わせるが、池端のヘッドは枠を外れ、85分にはマラニョンがGKとの1対1でGKに当てるシュートを打ってしまいノーゴール。自作自演の消耗戦は栃木サイドに引き分けに値すると思わせる1-1という幕切れ。ポジティブに考えれば湘南、甲府と引き分けたことを自信に栃木が次節のC大阪戦を強気で戦ってくれればいいと思う。河原は「栃木は開幕直後も内容は良かった。今より断然いい。でも、松田監督のサッカーに選手が慣れてきたことで、メリハリがついてきたことが進化だと思う」と話す。「次(節)も頼むぞー」と声を掛けて送り出したいが、C大阪の攻撃陣がシュートミスを連発することも祈る必要はあるだろう。今節の甲府の攻撃陣のシュートの外し方は酷すぎた。
ただ、決定機に外したマラニョンを罵る気持ちには何故かなれない。彼は甲府の家族だし、何度もチームを助けてくれた。でも、何であんなにファイト出来なかったのかは知りたい。ミックスゾーンで栃木の河原和寿に話を聞いているときに、ロッカーからマラニョンが通訳のジュリオと一緒に出てきた。河原と話をしながら横目で見ていると、マラニョンはミックスゾーンには入らず、記者に話をしないで正面玄関に向かって行った。後で聞くと、記者には「決定機に決めることが出来ずに申し訳ない」というような型どおりのコメントだけを残したようだ。ジュリオがマラニョンを庇って一言だけで済ましてもらうように記者に頼んだそうだ。その場にはいなかったけれど、ジュリオがそういうのなら「プロなんだからちゃんと話せ」なんてことを言うつもりにはならなかっただろう。ジュリオの判断を尊重しようと思うだけ。ただ、食べたものが全く消化されないでお腹のなかに残っているような気分。チャンスを作ることが出来ている甲府のサッカーには失望なんて全くしていないが、これまで機能していた3トップが揃って闘えなくなっていたことが不思議でならない。山本は「誰かが何とかしてくれてから動き出そうとしていた」と話したが、何かが良くなればそこに頼りたくなるのが人間の性なんだろうか。サッカーチームがいい状態を保ち続けることは悲しくなるほど難しい。
以上
2009.07.06 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第25節 甲府 vs 栃木】レポート:チャンスは作れどゴールは遠い。自ら勝利を『放棄』した甲府。(09.07.06)













