7月12日(日) 2009 J2リーグ戦 第27節
岐阜 2 - 1 愛媛 (19:04/長良川/2,565人)
得点者:61' 内村圭宏(愛媛)、73' 高木和正(岐阜)、89' 染矢一樹(岐阜)
スカパー!再放送 Ch183 7/13(月)14:00〜(解説:大野聖吾、実況:松井秀、リポーター:桑原麻美)
☆勝敗予想ゲーム
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ロスタイムのゴールが決まった瞬間、スタジアムは大歓声に包まれた。岐阜としては今季初の逆転勝利。これをホームで、クラブが存続の命運をかけた7月の、ユニフォームスポンサー(パンツ)が決まったという記念すべき日に成し遂げたことは、クラブとしてもとてつもなく大きな勝利であった。
この試合、劇的勝利に結びつけたのは、『ぶれない狙い』と『運動量』であった。
試合は立ち上がり、お互いが出方を伺う静かな展開だったが、徐々に試合のペースは岐阜の元へ。3ラインをフラットにした【4-4-2】を敷く愛媛に対し、岐阜は西川優大と佐藤洸一の2トップが深い位置にポジションを取って、相手の両CBにプレッシャーをかける。すると、ボランチの菅和範、左MF染矢一樹、右MF高木和正がポジションチェンジを繰り返しながら、中へ絞ってバイタルエリアに顔を出すことで、愛媛のMFラインとDFラインをズルズルと下げさせた。愛媛は矢継ぎ早に飛び出す岐阜の選手のマークの受け渡しに、混乱をきたしていた。
しかし、中盤のスペースを生かして、高い位置でポゼッションする岐阜だったが、肝心のDFラインの裏への飛び出しが少なく、最終的には確率の低いミドルシュートか、DFラインに引っかかってクリアされるという歯がゆい展開に終始した。一方の愛媛は出場停止明けのMF横谷繁が気を吐き、高い位置に張り出しては、カウンターの急先鋒となったが、こちらもゴールを奪うまでには至らない。
0-0で迎えた後半、愛媛は岐阜同様に大木勉と内村圭宏の2トップをCBに付けて、深い位置に置くと、2列目以降はボールを奪うとシンプルに2トップに当ててきた。そこに横谷、赤井秀一の両サイドハーフが積極的に絡み、岐阜のDFラインをズルズルと引き下げさせる。若干形は違うが、前半に岐阜がやったことを、今度は愛媛がよりシンプルに実践し、岐阜ゴールに迫っていく。60分に西川に代え、期待の新戦力・FW押谷祐樹を投入し、沸くスタジアムを尻目に、61分、内村に中央突破を許し、シュートはGK野田恭平が阻むが、こぼれ球を再び内村に押し込まれ、先制点を献上してしまう。
しかし、ここから試合は愛媛のペースで進むかと思われたが、今の岐阜には相手の隙を見逃さないしたたかさがあった。愛媛は2トップに長い距離のパスを当てる時、MFラインを高く上げている反面、DFラインはその場でステイしていることが多かった。つまり愛媛は攻撃を仕掛ける際、DFラインとMFラインが一気に間延びし、広大なスペースを空けていたのであった。そこに狙いをつけた岐阜は、73分、このスペースに入り込んだ佐藤にロングボールを供給すると、佐藤がヘッドですらし、同じくこのスペースに入り込んでいた高木がフリーでボールを受けると、じっくりとシュートコースを見極めてから、グラウンダーの強烈ミドルを叩き込んで見せた。
「寄せが甘くて、中途半端に立ってしまっていた。これではGKもコースが見えないはず。しっかりと寄せて動いていれば、あんなシュートは打てないと思うし、打っても入らないのに入ってしまった。それが現状」と内村が嘆いたように、まさに取られるべくして取られた点であった。
1-1となり、徐々に足が止まりだした愛媛に対し、岐阜は「後ろから見ていても、『みんな運動量が落ちないな』と感心するくらい」(DF秋田英義)、足がまったく止まらず、連続性あるプレーをし続けた。押谷も徐々にゲームに慣れてきたのか、変化に富んだ動きで、バイタルエリアで顔を出し続け、クサビをうまく引き出し、バイタルエリアを活性化。時間を追うごとに激しくなる岐阜の猛攻に、愛媛はただ我慢を強いられる時間が続いた。
75分にMF青野大介が2枚目のイエローで退場をすると、試合は岐阜のワンサイドゲームと化した。そして4分を提示されたロスタイム。愛媛のカウンターに対し、GK野田がボールをキャッチすると、間髪いれずに右サイドを駆け上がったMF嶋田正吾に特大スローを送り込むと、嶋田からMF永芳卓磨につなぎ、永芳のダイアゴナルのドリブルから、左サイドの高木へ展開。高木は左サイドを深くえぐって、ライナー性のセンタリングを送ると、GKがはじいたこぼれを染矢が押し込み、劇的決勝弾を挙げた。
このゴールに至るまでの過程が、このチームの真の強さを凝縮していた。相手のカウンターを冷静に対処し、そこからこの試合で最初から最後まで狙い続けたスペースを生かして、全員が素早い守から攻への切り替えと、長い距離を走りきって、ボールを複数の選手が関わって前に運んで、ゴールを奪う。これこそ、松永英機監督が掲げるサッカーであった。
前半は意図的にスペースを作り出して攻め込み、後半はリアクションしながらも、生まれたスペースを有効活用する。90分通しての戦い方が成熟してきた岐阜。これでホームでは8戦連続負けなし(4勝4分け)と、その勢いは止まることを知らない。
今日の観衆は2,565人。まだまだ足りない。選手たちは多くの観客が見るに足る試合をし、サポーターも熱い応援をし、スタジアムに大きな一体感が生まれようとしているのにも関わらずだ。今、長良川競技場は最高のエンターテイメントの場所となっている。この魅力的な空間をもっと多くの人が共有をして欲しい。今見ないで、いつ見る。この熱き『長良川劇場』をより続く、そしてさらに熱くするためには、選手たちだけでなく、県民の力も必要であることを忘れてはならない。
以上
2009.07.13 Reported by 安藤隆人
J’s GOALニュース
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