今季ここまでのチームの躍進は誰か限られた選手の力によるものではない。間違いなくピッチに立って闘う全員のまとまりによって手にした成果だ。しかし、そんな中でも1人、その貢献をどうしてもクローズアップしておきたい選手がいる。それは、DF・ペ スンジン。
今季の徳島は、ゲームによってシステムを使い分けている。分析力に長けた美濃部直彦監督のもと、チームは相手の特徴や戦い方を見据え、より効果的と思われる陣形を採用しながら戦っていると言えるだろう。そしてそこで基本となっているのが3バックか4バックかという部分。ペ スンジンはその変化する最終ラインにおいて非常に重要な役割を果たし、不可欠なピースとなっている。
具体的に言うと、3バックの際に本職であるセンターバックとして力を発揮するのはもちろんのこと、彼は4バックになれば右サイドバックへとスライド。タッチライン際へと主戦場を移す。そして慣れないそのエリアでも持ち前の闘志と積極性で目を見張る働きを披露。堅い守備はそのまま継続しつつ、激しいアップダウンで頻繁に前線へも顔を出してサイドからのチャンスメーカーともなり、まさにマルチな活躍でチームを支えているのだ。
とは言え、やはり本職であるセンターバックへのこだわりもあるのではないかと思い、ポジションについての質問を向けると、彼からはこんな答えが返ってきた。
「どのポジションでも精一杯プレーしようと思っています。なぜなら、監督に選ばれて試合に出られるだけでものすごく感謝をしているからです─」
何とまっすぐな言葉だろう。また、それを考える時間も取らずスラっと口にした彼に対して思った。こうした謙虚な姿勢と気持ちを持ち続けている選手だからこそ、チームに必要とされる存在になれるんだと。
だが、その彼も最近はケガに悩まされ続けている。24節の甲府戦で鼻骨骨折を負いフェイスガード着用を余儀なくされたかと思えば、また同じ甲府相手の前節で今度は右肩脱臼。全治4週間(見込み)と診断されて今回は一時戦列を離れなくてはならなくなった…。シーズンこれまで常にピッチに立ち続けてきただけに、さすがにこれは本人も悔しいに違いない。
ただ、そのケガについて話してくれた彼にはネガティブな雰囲気が全く感じられなかった。それどころか、
「ゴール前のクロスボールに競り合っている空中で外れてしまい、ピッチに倒れた時はすごく痛くて動けませんでした。外れたのが分かった時には『これ、ヤバいなぁ』と思いました。でもトレーナーから体を上向きにするように言われて体をゆっくり回しているとちょっとしたはずみで肩が入りました」
「残りのシーズン中に(復帰が)間に合いそうなので気持ちは焦りますが、後遺症がないようにしっかりと治しておかなければいけないケガ。今はそういう気持ちでリハビリに取り組んでいます」
と細かく説明してくれた時の表情と口調はとても穏やかで、プレーにもにじみ出ている彼の前向きさが改めて感じられたほどである。
いずれにしても、彼の1日も早い復帰を心から願う。それはチームの大きな戦力としてもそうだし、真摯な姿勢を持つ尊敬出来るプレーヤーに頑張ってもらいたいという個人的な応援の意味でも。
以上
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2009.08.31 Reported by 松下英樹
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