9月2日(水)ヤマザキナビスコカップ 清水 vs F東京(19:00KICK OFF/アウスタ)
★ヤマザキナビスコカップ特集
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「今、日本で一番安定しているチームだと思う。攻守においてやることが明確で、個も、チームとしてもクオリティーが高い」―F東京・城福浩監督
城福監督は、準決勝でぶつかる対戦相手をそう評した。今季は、6月に同カードで連勝を果たしているが(リーグ戦15節・ヤマザキナビスコカップ予選リーグ7節)、同じ相手だと思って油断すると、しっぺ返しを食うことになる。「清水のやり方は変わらない。長谷川健太監督が長い時間をかけて作り上げたチームの共通意識や狙いは変わらないが、今年6月に対戦したときよりも個がチームにフィットしてきている」と、指揮官も気を緩めてはいない。特に、8月は負けなし。無類の強さを発揮している。今、Jリーグで一番強いチームといっても過言ではないだろう。
F東京は先週末、約1ヶ月ぶりに公式戦で勝利を挙げた。城福監督は試合の前に、選手たちそれぞれの「本当の働き場所」を問うミーティングを開いていた。チームはなぜ機能しなかったのか。指揮官は言う。
「今シーズン、ボールを保持して自分たちの時間を長くできたときの喜びを選手たちは知った。それがなぜできたのかを改めて選手たちに考えてほしかった」
城福監督は常々、「チーム力とは、お互いの短所を補完しあって、個々の長所を出すもの。そうやって1+1+1…が11ではなく、12、13にすることだと思う」や、「個の最大公約数を集約したものがチーム」と話してきた。もう一度、それぞれが、チームを機能させるために、何をすべきかをそのミーティングで確認した。それが、大分戦の勝利に繋がった。
ヤマザキナビスコカップで対戦する清水は、城福監督の持論を実践するチームだ。チームの復調とともに、ポジションを掴んだ市川大祐の起用法が、それを物語る。抜群のクロスの精度に加え、スプリント能力も高い市川だが、「穴を開けない守備」を前提にしたサッカーではその攻撃的センスが諸刃の剣になりかねない。そこで市川を起用するにあたって、長谷川監督はマルコス・パウロや本田拓也ら、守備能力に定評のある選手を同時起用している。市川が攻め上がったスペースをカバーできる選手を周りに置くことでその個性を存分に生かしているといえる。確固たるスタイルの上で個性を生かすことがチーム力ならば、この試合はチーム力が試されるゲームとなる。
GK権田修一は「新たに入るモニ(茂庭)さんと(椋原)ケンタの長所を僕らが引き出せるゲームにしたい」と話す。F東京は今野泰幸、長友佑都という守備の要を日本代表招集で欠く。彼らに代わって出場する選手たちの個性をいかに加えるかが、このゲームの見どころとなるはずだ。茂庭照幸と、椋原健太はそれぞれ守備に個性を持った選手だ。広範囲をカバーすることができる茂庭が最終ラインに入ることで、センターバックでコンビを組むDFブルーノ・クアドロスのアグレッシヴな守備と攻撃スタイルはさらに生きてくる。椋原の運動量と守備力があれば、同サイドのMFは攻撃に専念し、さらに2対1の状況を多く作り出すことが出来るはずだ。周りの選手が、これまで以上に攻撃的に臨める利点をこのゲームで見せたい。
F東京にとってヤマザキナビスコカップは原点とも呼べる大会。クラブ初タイトルとなった04年は、原博実監督の掲げる攻撃サッカーが実を結んでの載冠だった。だが、それを知る選手も少なくなった。石川直宏は「優勝という喜びを知らない選手たちに、何度でも味わいたいあの興奮を知ってほしい」と話してきた。あのとき、プロ1年目で国立のピッチでPKを外した梶山陽平は10番を背負うチームの中心となった。まだ高校生だった権田修一は守護神としてゴールマウスを守っている。5年という歳月の中でチームは様変わりした。新たなサッカーで2度目のタイトルを奪うためにも、昨年のファイナリストである清水は越えなければいけない壁だ。
準決勝第1戦は明日19時、敵地・アウトソーシングスタジアム日本平でキックオフする。
以上
2009.09.01 Reported by 馬場康平













