11月8日(日) 2009 J2リーグ戦 第48節
栃木 0 - 2 熊本 (12:33/栃木グ/3,180人)
得点者:44' 藤田俊哉(熊本)、79' 小森田友明(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 11/10(火)16:00〜(解説:田中真二、実況:篠田和之、リポーター:新井謙一郎)
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少し甲高い独特の声とテンポで、爽快感を纏ったロアッソ熊本の衰えを知らない38歳、藤田俊哉は先制点のシーンを振り返る。
「相手が飛び込んでくるだろうと思っていたので、切り返してから左足を振ってみようかなと。相手に当たったけれど、混戦の中で打つとGKも(シュートコースが)分からないことが多い。得点率はゴールエリアの中が圧倒的に高いわけだから、あのへんでシュートを打ちに行くことが大切」
栃木SC・松田浩監督は「シュートを打てるところで打てばいいのに・・・。GKがナイスセーブすれば、それで納得する」と話す。例えば崔根植がゴールに迫った52分のプレーでは、シュートを打たずに最初からPKを誘うようなアクションを起こしたことで、「そういうプレーが結局は結果に繋がってしまっている」と積極性の欠如を嘆いた。
経験豊富なベテラン藤田のゴール前の嗅覚と決定力が優れていたことは事実だが、安易なミスに加えて「絶対にゴールを決めてやる」といった気概と気迫が栃木に乏しかったのも、また事実である。どこか弱腰なのだ。「ゴール前でシュートを打てば何かが起こる」。藤田が持ち合わせていた発想は特別なものだろうか。
「0‐0で終わらせるプレーの選択が曖昧だった」と前半45分を嘆くのは、吼えるキャプテン落合正幸。2週間のブレイクを挟んだものの栃木の立ち上がりは上々で、両サイドを起点にゴール前までボールを運ぶことはできていた。12分に小森田友明のバックヘッドから木島良輔に決定機を許したが、窮地はたった1度だけ。ただし、ここ最近の課題である攻撃では精彩を欠いた。サイドの攻略に成功するも、肝心のシュートには行けず。37分、米山篤志が流れるような展開からシュートに持ち込んだものの、ミドルは枠を捕えきれなかった。
逸機したもののショートパスを主体に攻める熊本に対し、栃木の守備に大きな破綻は見られなかった。だが、ひと先ず前半をスコアレスで終わらせて後半を迎えるのか、それとも点を取って気持ちよく折り返すのか。落合がピッチ内で感じた微妙な選手間の温度差が、結局は失点を招く原因となった。藤田の恐ろしいほど冷静な、ペナルティエリア内での対応には舌を巻くしかないが、栃木としては意思統一がバラバラだったことが悔やまれる。
追う展開の栃木は後半早々に向慎一を下げてFW若林学を投入。トップのレオナルドを左ワイドに回すと、にわかに活気付く。53分にはレオナルドの突破から崔がニアでヒールシュートを放ち、58、59、60分にも連続して熊本ゴールに襲い掛かる。65分にはFKを若林がヘディングシュート。怒涛の反撃を見せ、迎えた74分には崔のスルーパスから河原和寿がGK木下正貴と1対1の絶好機を作り出す。しかし、決定機をGKに阻止され、逆に連携ミスから宮本亨が熊本の決定機をファウルで阻んだとして一発退場。
数的不利に陥り、リズムが狂った矢先の79分。CKから小森田に決定的なヘディングシュートを突き刺される。「スカウティングで栃木がゾーンで守ることは分かっていたし、どこにキッカーが蹴ってくるのかも分かっていた」と小森田。宮崎大志郎が供給したボールに熊本は4人が飛び込み、栃木で反応したのは1人だけだった。
隙を見逃さずに付け込んでくる熊本の強かさを、JFL時代の対戦で栃木は痛感していたはずだったが、またしても轍を踏んでしまった。先ずは1点を返すことに心血を注ぎ、パワープレーに打って出た栃木だが、ここ数試合は攻撃力よりも守備力が際立つ熊本を攻め崩せずに完封負けを喫した。今季は九州勢と2分7敗。未勝利に終わった。
前節の愛媛FC戦(台風による延期の44節)ではリードを守り切れずにドローに終わった熊本だが、今節は追加点を奪い、しっかりと無失点で逃げ切った。複数得点は9試合ぶりで、「ここ数試合は今年取り組んできたサッカーができているので非常によかったと思う」と北野誠監督は充実感を漂わせた。残り3試合で全勝すれば他チームの結果にもよるが、14位から10位までジャンプアップできる可能性を残した。
敗れた栃木は次節の愛媛の結果次第で15位以下が確定する。しかし、J2参入1年目でひとつでも上の順位を目指す戦いは横浜FC、東京ヴェルディ、ザスパ草津と続いていくし、最終戦では「北関東ダービー」のタイトルを懸けた大一番が控えている。1試合も無駄になどできない。サポーターの期待に背いてきた今季。最後の最後は笑って終わりたい。そのためにはタイトルマッチまでに、少しでも今の嫌な流れを払拭しておきたい。短期間でペナルティエリア周辺の精度を上げることは困難だ。だが、諦めたら何も起こせはしない。「得点に対する迫力や精度、そこに魂を込める。パスも足のつま先に神経を、魂を込めて倒れてもパスを出す」(松田監督)ことは可能なはずだ。ワンプレー、ワンプレーに全てを注ぎこんで欲しい。
以上
2009.11.09 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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