12月29日（火）第89回天皇杯準決勝 名古屋 vs 清水（13:00KICK OFF/エコパ）
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今シーズンの鬼門に名古屋が挑む。予選リーグ免除で臨んだヤマザキナビスコカップは初戦（準々決勝）でＦ東京に2戦合計3-6の大差をつけられ敗退。準決勝まで進んだAFCチャンピオンズリーグも、アルイテハド(サウジアラビア)に2戦合計3-8と惨敗し、大会から姿を消した。今季の名古屋はトーナメントで思わぬ脆さを露呈する戦いが続いている。日本最大のトーナメントである天皇杯ではここまで順調に勝ち進んできたが、果たして今回はどうか。11月以降の公式戦でいまだ無敗と好調を維持している今こそ、鬼門を突破したいところだ。

エコパでの準決勝の相手は清水となった。今季の対戦成績は1勝1分で、3週間前のリーグ最終節は0-0のスコアレスドローで終えている。しかし2戦とも名古屋のスタイルは存分に発揮しており、決定力の差が結果に直結したといっていい内容だった。高い位置での守備からショートカウンターを狙ってくる清水とのマッチアップは、中盤の激しいせめぎあいも含めてスリリングなものとなる。今回も同様の展開となることは間違いなく、清水のボール奪取と名古屋のポゼッションの勝負が、まずは試合の流れを決めることになる。

しかし、この試合の鍵を握るのは決定力だ。リーグ最終節はスコアレスだったが、両チーム合計で28本のシュートが飛び交う打ち合いではあった。いかにチャンスをものにするか。至極当然の命題ではあるが、前回対戦で不足していたのはその一点のみだった。
そこで注目されるのが、名古屋のケネディだ。天皇杯準々決勝では来日初のハットトリックを達成。相手がJ2岐阜だったとはいえ、頭、右足、左足とそれぞれ1本ずつのシュートで3得点を挙げる圧巻の決定力は、まさにワールドクラスのプレーだった。今季終盤から着手した4-3-3のフォーメーションにも順応しており、ゴール前での存在感は圧倒的ですらある。得意のサイド攻撃を促進する布陣には、選手たちの感触もおおむね良好。特に両サイドバックの田中隼磨と阿部翔平の攻撃参加はさらに加速された感もあり、エンドライン際からクロスをあげることもしばしば。清水も準々決勝で3得点し、エース岡崎慎司と負傷明けのヨンセンがそれぞれ得点するなど攻撃陣には好材料を揃えてきたが、名古屋の充実ぶりは清水のそれを優に上回る。準決勝へ向け非公開練習・試合を重ねてきた清水に対し、常に公開練習のみで調整を続けてきたあたりにも、名古屋の精神的余裕は感じられるだろう。

一般に、負けないことを意識して慎重になってしまう決勝より、勝たなければいけない準決勝のほうが試合はおもしろくなると言われる。清水との対戦はもとよりアグレッシブに展開される中、双方のモチベーションと準決勝という舞台がそれに拍車をかけることだろう。負ければこれが『今季』最後の試合、勝てば『年内』最後の試合となる。10年ぶりのタイトル獲得と、ACLへのリベンジを期する名古屋としては、まずは勝って来年元日までシーズンを延長したいところだ。

以上


2009.12.28 Reported by 今井雄一朗