12月29日（火）第89回天皇杯準決勝 Ｇ大阪 vs 仙台（15:00KICK OFF/国立）
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思えば、今季の開幕前。ガンバ大阪には６つのタイトル獲得のチャンスがあった。
天皇杯覇者として出場したフジゼロックススーパーカップをはじめ、J１リーグ戦、連覇を目指したAFCチャンピオンズリーグ、FIFAクラブワールドカップ、ヤマザキナビスコカップ、そして現在も戦いを続ける天皇杯。だが、前半戦の思わぬつまずきが大きな足かせとなり、ここまで無冠のシーズンを過ごすことに。結果、『タイトル』獲得のチャンスはこの天皇杯を残すのみとなった。
その悔しさと、タイトルへの執念をピッチ上で表したのが12日に行われた準々決勝の鹿島戦だと言えるだろう。FWペドロ　ジュニオール、FWチョ　ジェジンを欠く中、アウェイの地での戦いに挑んだG大阪は、FW山崎雅人のゴールで先制すると、前半終了間際に一度は追いつかれながら、後半、再び、FW山崎が逆転弾。今季一度も勝っていない相手から『白星』を手にし、天皇杯連覇、今季初の『タイトル』へと望みを繋げた。

もちろん、その『タイトル』への執念は、日増しに強くなるばかりだ。既に敗退したチームのほとんどがオフに入っていることからもわかるように、天皇杯に勝ち進むことはイコール選手たちのオフを縮めることになるが、それでも「去年味わったあの特別な舞台をもう一度味わいたいと誰もが思っているし、みんながタイトルに向けて気持ちを一つに整えて練習に取り組めている」とはMF安田理大。その言葉にあるように、J１リーグ最終戦から２日間休んでからここまでの約２週間。G大阪の選手たちは４チームだけに与えられた天皇杯を戦う栄誉をひしと感じながら、ハードなメニューを精力的にこなし、狙いを持ったトレーニングを積んできた。だからだろう。ゲームキャプテンDF山口智は仙台戦を前に胸を張る。
「全員がしっかり狙いをもってハードにやれてきたし、その分、気持ちをしっかり保ってやってこれた。ケガ人もほとんどいないし、あとは結果を出すだけ。まずは準決勝の仙台戦で、自分たちのサッカーを追究することを目標に戦いたい」

ポイントになるのはまず、試合の入り方だろう。２週間公式戦から離れていること。ここ数年戦ったことのない仙台が相手ということを踏まえても、ある程度立ち上がりは慎重になるだろうが、その中でいかに相手の特徴を把握し、ゲームの主導権を握り、優位に試合を運べるか。西野朗監督は言う。
「今週は仙台のスカウティングビデオだけではなく、準々決勝の鹿島戦のビデオを見て、改めてイメージを統一させた。あの試合はスタートからいい入り方が出来たけど、少し試合から離れている中で、その感覚を取り戻してほしいと思っているし、そういうスタートをすることが一つのポイントになると思う」
加えて、いかに仙台の堅守をこじ開けるか。準々決勝では川崎Fも、今季のJ２最少失点を誇る仙台の堅守や前線のFW陣を活かした速攻に手こずった印象だ。そうした仙台のペースにはまらないためにも、いかに早い時間にその堅守をこじ開けられるかは、メンタル的に優位に試合を運ぶための重要なカギとなる。鹿島戦で示した前線からの守備を徹底し、全体が連動する中で、しっかりと仙台ゴールをこじ開けたい。
「鹿島戦のように全体が連動した中で戦うことが理想の展開。ただ、いくらボールを支配したとしてもゴールを奪えなければ意味がない。多少リスクも負いながら、しっかりゲームをコントロールしたい（MF遠藤保仁）」
「まずは、前からしっかりプレッシャーをかけて自分たちのペースに持ち込むこと。自分たちのリズムで試合を運べたらいい（MF二川孝広）」
　
過去の天皇杯を振り返ると、両者の対決は95年の第75回大会２回戦以来、２度目。その時は、JFLに所属していた仙台をG大阪が１−４と下している。その時とはメンバーも置かれているチーム状況も全く違うため、比べることは何もないが、唯一、『負けられない』ということだけは、今回の対戦にも言えること。もちろん、今季首位でJ１昇格を決めた仙台だけに一筋縄ではいかないことはわかっているし、選手たちも「ここまで勝ち上がってきたチーム。J２のクラブだからといって格下とは思っていないし、十分、力のあるチームだと思っている（GK松代直樹）」と口々に話していたが、とにかく負ける訳にはいかない。２００９年シーズンの締めくくりを、２０１０年のスタートを１月１日の国立競技場で迎えるために。

以上

2009.12.28 Reported by 高村美砂