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【J2:第1節 柏 vs 大分】レポート:両10番がファインゴールで存在感を示す!わずかな決定力の差で柏が白星発進。大分は敗戦の中にも光明を掴む。(10.03.08)

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3月7日(日) 2010 J2リーグ戦 第1節
柏 2 - 1 大分 (13:04//7,680人)
得点者:31' フランサ(柏)、63' フランサ(柏)、70' キムボギョン(大分)
スカパー!再放送 Ch181 3/8(月)16:30〜(解説:関塚隆、実況:田中雄介、リポーター:小野寺志保)
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28分、柏の右サイドバック、村上佑介のグラウンダークロスがマイナス気味に入り、澤昌克とフランサへ合わずにチャンスを逸した直後、フランサは村上に「もう少し前に出してくれ」と要求した。それからわずか3分後、似通ったシチュエーションの場面で村上は、フランサの要求通り大分DFとGKの間をすり抜けていくようなピンポイントクロスを送る。目の前に入ってきた絶好のパスをフランサが逃すわけはなく、31分に柏が先制弾を挙げた。

63分の追加点は“魔術師”フランサの真骨頂が発揮されたとでも言うべきか。柏がボールを動かしながら右サイドへ展開した後、ユース出身のルーキー茨田陽生のクロスがファーサイドへと抜けると、そこにはフリーのフランサが待ち受けていた。ただし、フリーとはいえ大分ゴール前には相手GKを含めた敵味方が密集しており、決めるならば上部ポスト際のわずかなコースのみだった。それでもフランサはそこへ高精度のシュートを難なく蹴り込み、ゴールネットを揺らす。シーズンをまたぎ、ディビジョンも変わったが、フランサは昨季のJ1第31節から5戦連続8発という荒稼ぎである。

しかし、全体的なゲームの流れを振り返ると大分ペースで進んだ試合だった。柏はボランチのアルセウ、栗澤僚一を中心に、ピッチ全体をワイドに使いながらボールを回し、相手の陣形を動かしつつ、機を見て勝負どころの縦パスを打ち込むという狙いがあったが、本来のサイドアタッカー大津祐樹、レアンドロ・ドミンゲス、菅沼実が欠場したため、代わりに左には田中順也、右に茨田と若い2人を抜擢した。特に左サイドの田中と大谷秀和の間には連携不足が影響したのか、ポジショニングの曖昧さが目立ち、そこに生じたスペースを大分に的確に突かれた。20分、大分DF菊地直哉のミドルレンジスルーパスが右のオープンスペースを抜け、パスを受けたFWチェ・ジョンハンが柏陣内深くまで切り込んだドリブルシュートはサイドネット。25分には、MF東慶悟のクロスをFW森島康仁が頭で落とし、飛び込んだMFキム・ボギョンが右足シュートを放つが枠外。そして34分、オーバーラップを仕掛けた右サイドバックの小手川宏基と東の連携で数的優位を生み出し、テンポの良いパス交換からキム・ボギョン、チェ・ジョンハンとつなぐ。チェ・ジョンハンは1対1の決定的な場面も、GK菅野孝憲の体を張った好セーブに阻止された。

「守備の時のバランスが悪かった。両ワイド、サイドバック、上がってしまった時にボールを奪われてカウンターを受けてしまった」。柏DF近藤直也はそう話していたように、柏は良いリズムでパスをつなぎ、ジワリジワリと大分陣内に入り込む中で、些細なミスからボールを奪われると、最終ラインとボランチとの間に生じたスペースを狙われ、そこからカウンターを招く。前がかりになるため、後方はセンターバック2枚とリスクマネージメントで後方に控えていた栗澤僚一だけとなるシーンが度々見受けられた。

柏が自分たちのミスで状況を苦しくしたことは否めないが、キム・ボギョン、チェ・ジョンハンを起点に繰り出す大分の攻撃力には想像以上の切れ味があった。70分の大分のゴールは、柏の不用意な横パスを奪ったカウンターから、キム・ボギョンのパワフルな突破力と鋭利な左足シュートがさく裂したもの。韓国代表での遠征から合流したばかりで「体が重かった」(キム・ボギョン)ようだが、それにしても素晴らしい一閃のファインゴールだった。1点を返した以降、ゲームの流れは大分が掌握し、前田俊介、住田貴彦といった攻撃の駒を次々と送り込み、同点弾を狙った。

最終スコアは2−1、柏が逃げ切る。明暗は大分の皇甫官監督が「チャンスを決め切るかで勝敗が分かれた」と語ったその言葉がすべてを物語っている。フランサの群を抜く決定力がなければ、勝敗はまた違った結果になっていたかもしれない。

黒星スタートとなったものの、大分は揃い踏みを果たした韓国人トリオが可能性を感じさせるプレーを見せたうえに、今後は負傷が癒えれば高松大樹、藤田義明、頼もしい戦力が加わる。また、柏も大津、レアンドロ・ドミンゲス、菅沼といった主力組を欠いた状況で、内容が悪くとも勝点3を獲得したことは何よりのプラス材料だ。

まだ開幕を迎えたばかりで課題の露呈は現時点では仕方がない。大切なのは次節以降に修正できるかどうかになるが、柏・ネルシーニョ監督、大分・皇甫官監督、両指揮官とも試合後の記者会見で課題について問われた際に「十分に修正できる」と同じコメントを残した。昨季は降格の憂き目を味わった両チームは、開幕戦で課題も露呈したが同時に今季の戦いに向けて光明と手応えも掴んだのではないだろうか。

以上

2010.03.08 Reported by 鈴木潤
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