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【J2:第1節 熊本 vs 千葉】レポート:先制を許したものの千葉に追加点を与えず、終了間際のゴールでドローに。熊本はJ入り後初めて、開幕戦で勝点を得た。(10.03.08)

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3月7日(日) 2010 J2リーグ戦 第1節
熊本 1 - 1 千葉 (15:05/熊本/9,101人)
得点者:60' 倉田秋(千葉)、90'+4 市村篤司(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 3/9(火)13:30〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:吉田明央)
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 快晴、とまではいかないにしても、少なくとも雲間から光が差し込んでいる状態と言っていいだろう。3週間前のトレーニングマッチでは0−4というスコアで敗れていた千葉をホームに迎えた熊本は、市村篤司の終了間際の劇的な同点ゴールで勝点1を拾い、Jリーグに加入後3年目にして初めて開幕戦で勝点を記録。追いついたあとのリスタートと、その十数秒後に吹かれたタイムアップの笛の音は、スタンドの歓声にかき消されて良く聞こえず、ほぼ手中にしかけていた勝利を逃した千葉に対しては、ゴール裏のサポーターから試合終了と同時にブーイングが響いた。
 手にした勝点は同じ1ポイントだが、スタンドの反応が対照的だったように、その意味合いは熊本と千葉では大きく異なる。(もちろん勝ったわけではないから手放しで喜べるものではないにしても)追いついて引き分けたという結果は、熊本の選手たちにとって小さくない手応えとなった。それは相手が昇格候補の千葉だったからではなく、やるべき事を実践した末に最低限の結果を掴んだという点においてだ。
「千葉のプレッシャーが早いので、なるべくリスクを負わないようにという意思統一ができていて、裏を狙う形が多かった」とは松橋章太の言葉だが、熊本はまずはセーフティに自陣からボールを遠ざける意図も含んで、バックラインから長いボールを前線に入れてスペースを回復することで、少しずつ流れを掴んでいく。

 一方の千葉は、試合後に江尻篤彦監督や選手数名の口からも聞かれた通り、クラブ史上初めて戦うJ2での開幕戦ということもあってか全体的に堅さが見られ、特徴である早い切り替えは影を潜めた。思うようにボールをつなげなかった要因のひとつには、中盤の山口慶、工藤浩平、佐藤勇人らに対して熊本の原田拓、吉井孝輔の両ボランチが素早くアプローチをかけ、前とサイドからのプレスバックも効いて自由に前を向かせなかった事で、「熊本のサッカーに合わせてしまって」(茶野隆行)、後方からのロングボールが増えてしまったことが挙げられる。加えてトップの巻誠一郎に対しては、矢野大輔と福王忠世がしっかりと身体を寄せていい体勢で競らせなかった。9分には深井正樹が右サイドでキープしてチャンスを迎えたが得点には至らず、千葉の良さを消していたという意味においても前半は熊本のペースで試合が進む。
 特に、今シーズン取り組んできた、奪ってからの早い切り替えは随所に見られ、25分前後の松橋の飛び出しや左の西森正明からのクロスに対して宇留野純が狙った場面、さらにポストに阻まれたが35分の松橋のシュートなど、いずれも少ない本数のパスでシュートまで持ち込んでいる。「前半をゼロで抑えたのはプラン通り」(高木琢也監督)だったのも事実だが、しかしこうしたチャンスで決められなければ流れが変わるのもサッカーの常。

 後半、江尻監督が先に動き、右の谷澤達也に替えて倉田秋がピッチに送られると、千葉の攻撃が活性化。「巻さんの近くでプレーして、DFの間で受けてリズムを作ろうと思った」という倉田が、サイドに張らずにバイタルエリアで頻繁にボールを受け、タメを作った事で攻撃に厚みが増した。果たして60分、右サイドバックの坂本將貴がファーサイドに送ったクロスをアレックスが合わせる。熊本のGK南雄太が一度は弾いたが、詰めていた倉田が押し込んで千葉が先制した。
 その後は千葉が落ち着きを取り戻してペースを握るが、「必ずチャンスが来る」(福王)と信じて疑わなかった熊本も、押し込まれながらも中央を閉じた守備に綻びは見られず、追加点を許さない。そして千葉の両サイドバックが前半に増して高い位置に顔を出すようになった事もおそらく踏まえて、高木監督が立て続けに切ったカードは、67分西弘則、76分山内祐一という仕掛ける2枚と、82分の藤田俊哉。結果的にはこれが再び流れを変えた。
 西は中へ切れ込む長い距離のドリブルでアクセントをつけ、山内は深い位置まで入ってDFを引っぱり、藤田はタメを作って周囲の上がりを促し、また自らもタイミングをずらしてゴール前へ顔を出す。84分、西のドリブルから藤田が1対1に持ち込んだ場面は決まらなかったが、ロスタイムに入った90分+4、再び西のドリブルから、勢いを持って前線まで上がって来た市村へとボールが渡ると、「思った以上にトラップが決まった」という市村が左足を振り抜いてネットを揺らしたのだった。

 千葉にしてみれば痛い引分け。チームとしての力が存分に発揮されたかと言えば、前半に関しては殆ど良さを出せず、熊本のペースにハマったと言わざるを得ない。江尻監督も話した通り、「自分たちでゲームを作る」ことが課題となろうが、後半にはきっちり修正してくるあたり、底力の一端は見せた。次節ホームでの鳥栖戦で勝ちきって波に乗りたい。
 熊本は貴重な勝点を手にした。中央を締めて外へ追い出す事、ボールに1枚寄せてカバーに入る事、状況やバランスを見て適切な判断をし、前へ出て行いく時はその勢いをシュートまでつなげる――そうしたセオリーをピッチ上で実践できたことについて、高木監督は「忠実にやってくれた」と一定の評価を与えた。就任当初から話していた「残り15分で点を取る」という形につながったのも、諦めずに最後まで走ることを植え付け、それができるように鍛えた成果と言えるだろう。
 晴れ間は見えた。次節、今節試合のなかった東京Vとの一戦で、快晴、そして開花の時を迎えたい。

以上

2010.03.08 Reported by 井芹貴志
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