3月28日(日) 2010 J2リーグ戦 第4節
札幌 2 - 0 岡山 (13:03/札幌ド/11,805人)
得点者:36' 近藤祐介(札幌)、83' 近藤祐介(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 3/29(月)15:00〜(解説:野々村芳和、実況:岡崎和久、リポーター:藤井孝太郎、ピッチ解説:大森健作)
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スコアは2−0。ホームの札幌が前半、後半にそれぞれ1点ずつを挙げて完勝したゲームだったが、両チームともしっかりと特徴を発揮した好ゲームだった。放ったシュートはどちらも9本ずつである。
札幌はアタッカー陣の活躍が光った。キリノ、近藤祐介が組む2トップは精力的にボールを追う、あるいは相手のパスコースを消したりと、守備面でも献身的なプレーを披露。そして高い位置でボールを奪うと、左MFの内村圭宏が抜群のタイミングで内側へと入り込んでプレーに加わり、そこから相手DFラインの裏へスルーパスを出したり、サイドに展開をしたりと効果的な攻撃が繰り出されていた。
一方の岡山だが、こちらは徹底してカウンターを狙っていた。守備から攻撃へと転じる際にはボールに近い選手だけでなく、逆サイドの選手も積極的にスタートを切る。そして単純な縦、横のパスというのはほとんどなく、常に斜めのパスを意識。一本のパスで複数の相手選手を置き去りにし、スペースに入り込む選手にピンポイントでパスを預けるカウンターは東ヨーロッパのチームを彷彿とさせるものだった。監督がドイツでの指導経験を持つ影山雅永氏であり、アシスタントコーチにはクロアチアリーグなどでのプレー経験があり、千葉ではイビチャ・オシム氏の通訳も務めた間瀬秀一氏がいるということも、そんなイメージを強めたのかもしれない。2本のパスで左サイドを突破し、最後は逆サイドから走りこんだ右サイドバックの澤口雅彦がシュートを放った35分過ぎのプレーなどは、まさに狙い通りのプレーだったと言っていい。
そうして互いの持ち味が反映されながら試合は進んでいったのだが、徐々に岡山のカウンターに鋭さがなくなり、札幌が主導権を掌握するようになる。
その要因としては札幌の中盤の守備が安定していたことにあるだろう。守備的MFの芳賀博信、宮澤裕樹の2人が一定の距離を保ちながらバイタルエリアとその入り口を塞ぎ、岡山のカウンターを何度もストップし、逆にカウンターを仕掛ける場面さえも作りだしていたのだ。
キャンプ時からここまで、札幌は守備的MFのエリアでの守備に課題があり、人選にも時間がかかっていた。しかし、この試合ではそのポジションが安定し、勝利につながっている。
とはいえ、それをもってして課題が解決したとは言えないだろう。前述した通り、この試合の札幌は2トップと左右MFというアタッカー陣が機能しており、攻撃に関しては守備的MFのフォローがあまり必要のない展開となっていた。そのため、相手のカウンターを受けても、ほとんどの場面で芳賀と宮澤の2人がバイタルエリア周辺に居残ることができており、守備の安定につながっていたのである。これが、攻撃陣に欠場者がいたり、何らか理由で守備的MFの飛び出しがより必要とされる試合展開となったときに、どれだけの安定を生み出せるのか。少なくとも、今日の試合をもって中盤の守備にメドが立ったと判断をすることはできないだろう。
試合のほうは36分、そして試合終盤の83分に近藤が決めて札幌が勝利。今シーズンのホーム初勝利を挙げている。
前節の栃木戦を終えて、「次の試合に勝って勢いをつけたい」と多くの選手が話していたように、札幌はホームで勝利して連勝を達成したことで勢いがついたはず。「攻撃のところでまだまだボールが落ち着かないというところだったり、崩しのところでのアイデア不足といったように、問題点はある」と石崎信弘監督は課題を指摘するが、やはり勝ちながら問題点を修正していくことが、シーズンを勝ちきるうえで最も大事な部分。その意味ではポジティブに課題に取り組めそうである。
対して敗れた岡山であるが、黒星が先行してしまったものの、試合を見る限りではしっかりと狙いを持ったプレーができているという印象だ。チーム作りは着実に進んでいると言えるレベルには十分にある。ただし、攻撃が一本調子になりがちな嫌いがあるので、そこをどのように解決していくのか。リズムを変えられる選手を据えるのか、それとも組織を成熟させていくのか。今後の変化に注目したい。
いずれにせよ、まだシーズンは真最中。「もう」4節終了なのか、「まだ」4節なのか。捉え方はさまざまである。
以上
2010.03.29 Reported by 斉藤宏則
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