★ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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横浜F・マリノスのヤマザキナビスコカップ初戦の相手は、今季リーグ戦でまだ白星のないモンテディオ山形。だが、決して「格下」とは呼べないだろう。なぜなら、昨年のリーグ戦で1敗1分けと山形に勝てなかったからである。しかも、ホームゲームでは屈辱の逆転負け(1−2)。最近、横浜FMサポーターの方と話をした際、「あの試合後、山形のファンが大喜びをする姿を見て、本当に悔しかった。今でもよく覚えています」と教えてくれた。
その時の会場は、今回と同じニッパツ三ツ沢球技場。横浜FMは同じ場所で、同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。坂田大輔も「同じ相手に勝てないようではいけない」とリベンジを誓う。また、横浜FMの主力の何人かは、山形の新戦力に対して警戒していた。
その代表格が田代有三。リーグ戦の前節、鹿島アントラーズ戦(1−3)では、移籍後初ゴールを古巣から奪ってみせた。その得点をアシストしたのは同じく今季、鹿島から加入した増田誓志。新戦力が結果を残したことは、山形にとってプラス材料だと言える。チーム全体を見ても、鹿島に前半35分に先制点を許すまでは、アグレッシブなプレーで何度か王者のゴールに襲いかかる。
「始めの30分は積極的で良いサッカーをしてくれた。あれを大事にしたい」
小林伸二監督もそう言うように、明るい兆しが見えてきている。後は「勝利」というキッカケが欲しいところ。今回はヤマザキナビスコカップではあるが、白星だけを狙ってくるに違いない。
横浜FMは先週のヴィッセル神戸戦では、痛恨の引き分けに(1−1)。ロスタイムにFKから失点し、追いつかれてしまう。内容的にも、後半は中盤を省略して、ロングボールを前線に送る神戸のサッカーに苦戦。縦パスへの対応でボランチがDFに吸収されたため、中盤が間延びしてしまったのが、その要因の一つだろう。中村俊輔、狩野健太らを擁した中盤のパスワークが見られず、「自分たちのやりたいことができなかった」(小椋祥平)。
山形は、その神戸のスタイルが参考になるはず。田代というターゲットマンがいるだけに、早めにロングボールを放り込んで、活路を見出したい。
また山形には、昨年まで横浜FMに在籍していたキム クナンが期限付き移籍している。
まだ出番にそれほど恵まれていないが、身長193?の屈強な体躯を誇り、身体能力の高さは折り紙つき。横浜FMの選手たちは、元同僚との再会が楽しみな半面、脅威も感じている。
「敵にしたら嫌な存在。速いし、強いし、気をつけなければいけない選手」(飯倉大樹)
キムは登録こそDFだが、途中出場ならFWを務めることが濃厚。ここ一番のパワープレーの際には出番がありそう。
横浜FMの方では、まだ体調が万全ではない中村が出場を回避する可能性も考えられる。そこで期待されるのが、『もう一人の司令塔』狩野。神戸戦では相手の素早く激しいプレスに苦しみ、良いところを出せずに途中交代している。その悔しさを晴らすだけでなく、今後も中村との共存を続けていくためにも、結果が求められる。
以上
2010.03.30 Reported by 小林智明(インサイド)













