★ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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3月31日、Jリーグヤマザキナビスコカップが開幕する。浦和は埼玉スタジアム2002に磐田を迎え、白星スタートを誓う。
浦和はたとえゆっくりであったとしても、それでも着実に前進している。リーグ開幕戦ではいきなり王者鹿島と激突し、完成度の違いを見せつけられたが、試合を重ねるごとにフィンケスタイルの片鱗が見られるようになってきている。
27日のC大阪戦では、それまで中盤の高い位置を任されていた柏木陽介をボランチで先発起用すると、これが奏功。背番号8は順応性の高いところを見せ、中盤の底でパスワークのハブ役をそつなくこなしながら、広い視野と高質のキック精度を生かしてゲームを上手にコントロールしていた。ボランチでコンビを組んだ阿部勇樹との連係もスムーズだった。2人は局面に応じて攻守の役割をうまく分担し、チャンスと見ると後方から積極的に飛び出して攻撃にアクセントを加えていた。「個人的には今までで一番いい出来だったと思う」。柏木はボランチでのプレーにも自信を深めた。フォルカー・フィンケ監督も「中盤の底から攻撃的なプレーをしていく8番のプレーをしていた」と柏木が背番号通りのプレースタイルでリズムを作っていたことに手応えを掴んだ様子だった。
その一方で反省点も浮かんだ。一試合を通したゲームマネジメントの質を高めることは昨シーズンから課題に挙げられているが、試合運びにはまだ拙いところが見られる。C大阪戦では1点リードの状況で相手と真っ向からぶつかってピンチを招く時間帯があり、「我々が改善しなければいけないところ」とフィンケ監督も反省してした。浦和はスコア状況に関係なく後半になると失速してしまう傾向があるため、残り45分の戦い方をもっと安定させなければならないだろう。細貝萌は「後半に関して見直さなければいけないところは多い」と語る。磐田戦では後半の進め方にも注目したい。
磐田との一戦では、中盤での攻防が勝敗の鍵を握りそうだ。浦和は『ボール・オリエンテッド』を旗印に掲げるフィンケ監督の下、中盤でのボールポゼッションを重視し、攻撃陣が流動的に動きながらパスをつないでゴールに迫る形を理想としている。
一方の磐田も浦和と少し形は違うものの、同じくポゼッションサッカーを志向。ゲームの組み立てに参加する2トップの一枚、あるいは高い位置に陣取る中盤の選手にクサビのパスを当てながら押し込んでいく直線的なボール回しが特徴的だ。攻撃陣が中でリズムを作りながら、外から駒野友一、パク・チュホの両サイドバックが絡むようになると、迫力のある攻撃が生まれる。
どちらも中盤でリスクを冒すことを厭わない。浦和は時にボランチ2枚が揃って大胆に飛び出すこともあるが、磐田もアンカーの那須大亮ひとりを残してMF3人が積極的に攻撃に関与する。バイタルエリアに穴を開けないことよりも攻撃時に中盤の圧力を高めることに重きを置いているため、中盤で優勢に立ったチームが試合の主導権を掴むことになるだろう。
浦和も磐田も亀のように守りを固めるチームではない。浦和はリーグ戦4試合で5失点を喫し、磐田は7失点を許している。そして浦和はエジミウソン、磐田は前田遼一、イ・グノと、ともにJリーグを代表するストライカーを擁しているだけに、見応えのある殴り合いを期待できそうだ。
以上
2010.03.30 Reported by 神谷正明













