スカパー！生中継 Ch183 13:50〜（解説：小野信義、実況：石田一洋、リポーター：麻倉ももこ）
--試合速報--
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長い連休の最終日、午後2時にキックオフ予定の試合は暑さや風との戦いになるかもしれない。
北九州は5月に入った途端に暑くなり、日差しが照りつけて25度を上回る日が続いている。この暑さを和らげるのが風だが、北九州市立本城陸上競技場は洞海湾から吹く風がいつもいたずらして、ふわりと浮いたボールを押し流していく。慣れきらない初夏の暑さと時折強く吹く風を味方に付けることも、この試合では重要なポイントになるだろう。
とはいえ、気温や風以上に心配なのが両チームが欠いている得点力。そこで注目したいのが、低いスコアになった試合でも流れを変えられることができる男の存在だ。
東京Vと対戦した前節の札幌は76分に中山雅史を投入。試合はスコアレスドローに終わるが、ロスタイムには砂川誠のクロスに反応し身を投げ出してゴールに迫るなど気迫あふれるプレーを見せ、チームを鼓舞した。
札幌は前節初めて試合開始から3バックで臨んだ。連戦中のフォーメーションの変更ではあったが、立ち上がりこそ東京Vに危ないシーンを作られたものの、試合全般で見れば大きなピンチは少なかった。しかし、コーナーキックを12本得たり、試合を通じて12本のシュートを放ちながら無得点。今の札幌の課題でもある最後の決定力は依然欠いたままだ。勝点3からは6試合も遠ざかっており、苦しい試合を好転させるためにも中山への期待は大きい。東京V戦のように気持ちの入ったプレーを続けることができれば、流れを変えることも十分に可能だろう。
一方の北九州にもビハインドを吹き飛ばす男がいる。強いフィジカルを持つ11番。気迫でも中山に負けず劣らずの宮川大輔だ。
北九州は前節、宮川の古巣でもある草津と対戦。前半に得点され追いかける展開となったが、中盤の選手が巧みに繋いでチャンスを作りゴールまであと一歩に迫っていた。ただ、北九州は開幕戦からずっとこの"あと一歩"を克服できずここまでリーグ最少得点。草津戦も1点が遠いまま時間だけが過ぎていっていた。
重苦しい空気を打破するべく、75分に宮川と長谷川太郎を投入。与那城ジョージ監督の采配も光り、これがぴったりとはまる。そして83分。宮川、長谷川、関光博と流れるように繋がったボールを再び宮川が受けて強烈なシュートを草津ゴールに蹴り込んだ。
宮川は遠征前に「勝ちたい。（ゴールに）ぶち込みますよ」とゲットゴール宣言をして、草津に乗り込んでいた。その気迫がゴールを呼び込んだのかもしれない。試合は1-1の引き分けに終わってしまうが、北九州としてはいい雰囲気で札幌戦を迎えられることになった。
ところで、ここまでは"中山と宮川がどう流れを変えてくれるか"という切り口で書いたものの、やはり望ましいのは立ち上がりから流れに乗って先制し、追加点を挙げていくこと。両チームの状態が芳しければこのような切り札うんぬんの話はしなくても良いはず。
切り札を出す前に、札幌としては岩沼俊介、藤田征也らサイドを起点に、最後はキリノの覚醒で得点を奪いたい。北九州も中盤の組み立てはできているが、パスやシュートの精度は高いとは言えない。個々のプレーに集中し、早い時間に先制することが勝点3への近道になる。
両チームとも得点力を欠き、リーグの下位に低迷している。2点、3点、4点と入る試合ではなく、1点を争う試合になるだろう。それだけに勝点3を掴むことと先制点とは密接にリンクする。立ち上がりから流れを呼び込んで先制できるかがまずはカギとなり、そしてスコアレスが続いたときの切り札の使い方が後半は重要になる。
"勝点3のための1点"をめぐる熱い戦いが、日差しの照りつける本城で始まる。
以上
2010.05.08 Reported by 上田真之介
