スカパー!生中継 Ch180 16:50〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武史、リポーター:村林いづみ)
--試合速報--
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あの頃からそんなにも経ってしまったのかと、もはや思い出せばしみじみとしてしまうほど遠い話になった感があるが、仙台にとってかつてのJ1である02,03シーズン、仙台は浦和とのホームゲームを2試合共に、今回対決の舞台でもある宮城スタジアムで開催した。
その2試合は、仙台にとって不幸以外の何物でもない出来事・結果がもたらされるものとなった。2002年(1stステージ第6節)は、仙台の開幕からの連勝が浦和・福田正博のVゴールで潰えたこと(これがこの先しばらく続く、宮スタでホームチームが勝てないという苦難の歴史の始まり)もあるが、当時のショックとしては、この年浦和から移籍し、開幕から仙台の魅惑の攻撃の影で「黒子」として中盤のバランスをとり続けた福永泰が、その後のキャリアをも左右することになる膝の大ケガを負ってしまったことが大きかった。
さらに翌年(2ndステージ第8節)、すでに成績不振で監督が替わっているなど激動の渦中にあった仙台を、浦和は容赦なくアウェイで飲み込む。田中達也の2得点を含む6失点、小村徳男の退場など、目の前で繰り広げられる惨劇に、仙台サポーターの声は仙台の選手へのブーイングを通り越し、浦和のゴールへの声援に向けられるという有様だった。
そして、仙台と浦和との相性という意味で言えば、仙台が浦和相手に勝点を得たのは、浦和がJ2に落ちていた00シーズンのわずか1試合(第27節、仙台1−1浦和)のみ。勝利は、まだない。
だが、そんなクラブの歴史を、平瀬智行は一笑に付した。彼自身の過去の経験から、浦和相手の勝利を「すごく気持ちいい」と語る平瀬は「でも宮城スタジアム(での試合)だって、去年までは一度も勝ったことがなかったんでしょ?(今は勝てるようになったじゃないか)」と、嫌な歴史は新しく作り替えれば良いとばかりの意気込み。
平瀬に限らず、今は仙台のチーム全体が、この一戦の大きな勝利にただ意欲を燃やしている。最近6試合で勝ちがない(2分4敗)仙台。「W杯の中断まで勝点20を目標にしていたが、今は15に乗せたい。前節の(仙台と対戦した)名古屋がそうだったように、今回は自分たちも内容より結果。どんな形でも勝点3を取りたい。ここまでの試合が手も足も出ない敗戦ばかりならば不安にもなるが、選手たちも手応えは感じている。ここで勝って、さらに中断期間で成長できれば、この先も戦っていける」(仙台・手倉森誠監督)と、仙台はこの一戦を浮上への大きな起爆剤にしたいと考えている。
さらに選手たちにはもう一つ、浦和戦で必勝を期したい理由が。「(この試合終了後、北朝鮮代表のW杯合宿へ旅立つと予定されている)梁さんを気持ちよく送り出すためにも、チーム一丸でレッズに勝ちたい」(関口訓充)という思いもある。それはもちろん浦和にとっても、阿部勇樹に対して同じ気持ちかも知れないが、クラブ生え抜き、そしてJ2時代の苦労も全て知るキャプテン(今季仙台はゲームキャプテンを固定しない方針だったが、第7節神戸戦から前節までは結局梁がキャプテンを務め続けている。なのでこう記しても良いだろう)への思いが、選手たちをより浦和へと立ち向かわせる力となるか。
もちろん、気持ちだけでは戦えるわけもなく、戦術面で浦和を迎え撃つ準備も必要なのだが、その点で仙台は前節名古屋戦の経験がものを言う場面が出てきそうだ。悪い時期には後方からのロングボールに偏った攻めとなり、それが跳ね返されれば策が一気になくなっていた仙台だが、平瀬が今季初めてリーグ戦で先発を務めた前節は、その平瀬が足元へのボールを上手く引き出し、さらにそこからの素早いさばきが機能したことで後方からの飛び出しも活性化するなど、久しぶりに「人もボールも動くサッカー」の片鱗を見ることができた。「相手DFから消えながら、スペースでボールをもらうのを上手くやれれば」と、平瀬は前節に続いての貢献を誓う。
また仙台は、試合の流れを変えるための策として、4−1−4−1もトレーニングで試している。「相手へのプレッシャーのかけ方で、まだ課題がある」と関口は慎重だが、攻撃だけを見れば、前線にスピードある選手が並ぶだけに、カウンターを狙いたい場面で機能すれば面白い。
そもそも、浦和はどちらかと言えば、豊富なタレントが並ぶ攻撃の比重が高いチーム。しかし前節の横浜FM戦が、攻めに出たところでのボールロストから素早い逆襲をくらい、3失点で敗れる内容だったことを思えば、仙台のカウンター狙い、さらには守備陣に空いたスペースを突いていく攻撃が機能する土壌はある。むしろこの部分を浦和がしっかりと改善できているかというところも、今節の重要な鍵となるだろう。後方の憂いさえ無くなれば、「前回対決」(そう、この対戦は、前述の「1−6」以来なのだ)で2得点の田中が再び宮城スタジアムで躍動することになるかもしれない。
最後の対戦から2,422日。仙台サポーターにとっては史上最大のトラウマと言える一戦の借りを返しに行くとしよう。その勝利が得られたのならば、選手、監督の言葉通り、今後に向けての価値は大きいはずだ。
以上













