スカパー!生中継 Ch181 16:50〜(解説:山野孝義、実況:本野大輔、リポーター:森田純史)
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今季、いつかはこの日が来るのだろうと想像していたC大阪サポーターも多かったことだろうが、ついにXデーはやってきた。2010年5月11日、C大阪の大黒柱、MF香川真司のドイツ・ブンデスリーガ、ドルトムントへの完全移籍が発表された。海外志向の強かった若きC大阪のエースが、7月から、ついに海を渡る。12日、2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ・FIFA登録30名SAMURAI BLUE(日本代表)メンバーにも選ばれたため、15日(土)のJ1第12節C大阪vs神戸が、まさに香川のC大阪でのラストマッチとなる。
思えば、苦しいJ2時代から現在に至るまで、C大阪を常に牽引してきたのは香川だった。06年に17歳の若さでC大阪とプロ契約を結ぶと、J2にチームが降格した07年、そのシーズン途中から就任したレヴィー・クルピ監督に抜擢され、35試合に出場。そして、08年になると、日本代表、北京五輪日本代表、U-19日本代表の3カテゴリーでプレーするという偉業を成し遂げながら、C大阪のエースとして獅子奮迅の活躍を見せた。さらに昨年は終盤にケガを抱えながらも、J2得点王となる27ゴールを記録し、チームの4年ぶりとなるJ1復帰に大きく貢献。今季も6得点でJ1得点ランキング2位タイにつけるなど、初代「ミスターセレッソ」森島寛晃氏(現C大阪アンバサダー)から継承された8番の名にふさわしい働きぶりを見せ続けていた。その香川が、C大阪から巣立っていく。
「真司の移籍は、喜びもある一方、あれだけ点を取っている選手もそうはいないので、(今後を考えると)難しい部分もある」とレヴィー・クルピ監督。はっきり言って、チームには大きな損失になる。貴重な得点源であり、試合を決めるプレーをしてきた選手であり、また、乾貴士との息のあったコンビプレーは、C大阪の大きな武器だった。今季も、家長昭博を加えた3シャドーは、相手に脅威を与え、そのインパクトも試合を重ねるごとに増してきていた。香川、乾、家長の3人が桜色のユニフォームでピッチに居並ぶのも、この試合がひとまず最後。「あの3人を見ているだけでプラスになっていくと思う」と言うのは、香川の後任として期待を集めるMF清武弘嗣。この13番曰く、「あの3人は天才」というトリオの魅せる絶妙な連係、ゴールへ向かう姿勢は、必ずサッカー少年少女たちのお手本になるだろう。神戸の堅守に対して、彼らが崩しに行く姿を、ぜひ注目してほしい。
そして、今回の対戦相手、神戸というのは、香川にとっては生まれ故郷でもあり、東北に越境留学するまでを過ごした思い出の地。「神戸という縁のあるチームとできる、それが最後というのは、すごくいいこと」という21歳は、「いい形で神戸に勝って、終わりたい」と、C大阪でのラストマッチに全精力を集中している。
また、相手のエースは、日本代表でも兄貴分と慕っている、前C大阪FW大久保嘉人。新旧C大阪の顔が敵同士になって対決するのは、今回が初めてとなる。「嘉人さんもすごく気合入っているし、自分もC大阪で最後ですから、そういう意味ではすごく気合も入っている。でも、そこで自分を見失わないよう、考えながら、しっかり勝ちたい」と香川。大久保が「神戸のブロックにハマったら何もできないでしょ」と挑発的なコメントを残せば、「攻撃力なら絶対C大阪のほうが強いと思うし、これからの選手もたくさんいますから、勢いもC大阪のほうがある。攻撃もこっちのほうが面白いので、結果を出したい」と、先輩に対しても容赦するつもりは毛頭ない。
もちろん、香川以外の選手たちも、関西のライバルである神戸、そして大久保に対して闘志を燃やす。「鹿島戦(第10節)で分かったように、C大阪のサッカーをすれば、勝てない相手はない。ワールドカップに選ばれた選手を止めて、自分たちの名を上げるくらいの気持ちでやりたい」とDF茂庭照幸。「嘉人さんにはC大阪ではよくしてくれましたが、試合では別。遠慮せずにぶつかっていきたい」とDF藤本康太。敵として長居に凱旋してくる大久保に好き勝手なプレーをさせるつもりはない。
そのほか、C大阪と神戸には、昨年まで大分でプレーした選手が、各チームで主力として活躍しているだけに、彼らの対決も見もの。C大阪の右DF高橋大輔も、「一番嫌なところで仕事をするイメージがある」という神戸MFエジミウソンに対して、「がっつり削れれば、削っておこうかな(笑)。やられたら、1年間いじられ続けそうなので(笑)、主導権を握りたい」と宣戦布告。各ポジションでの対決にも目が離せない。
「すばらしいプレーをして、結果を示すことが一番の恩返し。それに尽きる」と、神戸戦に臨むにあたって活躍を誓った香川。世界に羽ばたく「真司」を、今こそ生で8番のプレーを目に焼き付けないと、もったいない。そして、C大阪の一時代を築いた若きスターを、満場のサポーターが集まる長居スタジアムで、最高の形で送り出したいところ。チームにとっても勝ち越しをかけた大事な試合。だからこそ、関西ダービーには、勝つしかない。
以上
2010.05.14 Reported by 前田敏勝













