魅力いっぱいのスタジアムグルメを始め、選手会主催のチャリティオークションなど、数々の新たな取組みに着手している今年の熊本。そういった取組みのそれぞれが、クラブスローガンにも織り込まれているフレーズ、「絆」を深めようという思いに基づくもの。他のクラブの事例を参考に、今年から始まった「おとなのサッカー教室」も、そのひとつです。
「企画から準備、参加者の募集、金額設定…。そうした項目をゼロから考えました。“人が集まらなかったらどうしようか”という不安が大きかったんですが、締切直前になって応募が増えて、定員の20人を超える23人の方が集まりました」
そう言って笑うのは、昨年までGKとしてプレーし、今年からアカデミースタッフ兼アンバサダーとなった小林弘記さん。DJ KOVA(コバ、でなくコヴァ)としてホームゲームでもおなじみの軽妙な語り口は、サッカー教室でも健在。4回めを迎えた5月中旬の木曜日に取材に行くと、身体を動かす充実感と笑いがあふれていました。
この日は女性も含め22名が参加し、トップチームの森川拓巳コーチらチームスタッフも指導にあたりました。まずは小林さんが名簿を元に出欠確認。その後ジョギングに始まり、ストレッチで筋肉を伸ばして、ラダーを使ってのステップワークで神経に刺激を与えるなど、ウォーミングアップで身体を温めるのに、みっちり30分。給水をはさんでフリーでのドリブルに入り、笛の合図に合わせて足裏でボールをストップしたり、笛の回数と同じ人数のグループを作ったりと、プレーしながらの情報収集や状況判断も必要とされる内容。続けてコーンを使ったスラロームドリブルからワンツーを受けてのシュート、そして最後の30分間は、4チーム対抗で6対6のミニゲームと、トップチームさながらの高密度。
このミニゲームも、味方全員が相手陣内に入らないとシュートが決まっても得点は認められなかったり、女性の得点は2点とカウントしたり、さらには得点後の喜びのパフォーマンス次第で点数が加減されたりと、独自のルールを設けて楽しめる工夫がなされていました。私も混ぜてもらったのですが、最初のルールを忘れて味方のシュートの場面で自陣に残ってしまい、せっかくの得点をナシにしてしまいました…(黄色ビブス組の皆さん、申し訳ありません!)。
この企画の目的は、運動不足の解消や健康維持、ダイエット、ストレス発散などの一助となることに加え、実際にプレーしてみる事で、参加者の周囲でサッカー、そしてロアッソ熊本が話題に上る機会を増やすという狙いも。実際、この教室についてだけでなく、クラブ運営に関わる生の意見を聞く事もできるという効果もあるそうです。
参加者の方の反応も概ね好評で、「週に1回なので効果はまだ分かりませんが、サッカーの見方も変わってくるし、他の参加者の方とのつながりもできて楽しい」(石原さん・50代男性)、「大人になって1から新しいスポーツを始めるのはなかなかないですけど、身体を動かせるのは楽しいし、サッカーにもJリーグにも興味がわいてきました」(古城さん・女性)と、実際にプレーしてみる事でゲームの見方が養われるという二次的な効果も。さらには、既に揃いのウェアを作ろうかという話が出ていたり、「おとなの」教室ならではの楽しみである飲み会の計画も進行中らしく、ピッチ外での交流の幅も広がっている様子。
「楽過ぎてもキツ過ぎてもダメだし、やっぱり楽しくないといけませんから、練習メニューを考えるのは大変。でも、体調が良くなったなんて言われると“やって良かったな”と思うし、熊本県が少しでも元気になればなと思います。何より、皆さんが楽しそうにイキイキとボールを追いかける姿を観ると、こっちも嬉しいですよね」と、小林さんも顔をほころばせていました。
今のところは毎週木曜日の開催で12月まで全35回を予定していますが、好評なら他の曜日にも別コースを作ってもいいのでは…、とも感じました。ひとつだけ難点なのが、民間のフットサルコートを借りて実施していることもあって受講料が若干お高めになっていること。こちらの方は、自前の練習場があれば受講料を抑えることにつながり、そうなれば、参加者も増えることも見込まれるはず。そうした今後の展開も含め、クラブの動向に注目したいと思います。
あー、足痛い…。
以上
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2010.05.14 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2日記】熊本:好評!おとなのサッカー教室(10.05.14)
出欠を取る小林さん。現役時代よりお腹のふくらみが目立ちますが…、笑いを交えた指導ぶりはなかなか
まずはジョギングで身体を温める
ラダーを使ったステップワークで神経系に刺激を
コーンを使ったドリブルシュート。パスの受け手が出し手の名前を呼ぶ、というルールがつけられました
メニューの最後はお楽しみのミニゲーム
さきほどのドリブルシュートの練習効果はいかに!
ゴール前の攻防もご覧のように白熱!
最後は全員でストレッチ。90分間のトレーニングを終えました
参加者の表情も充実感いっぱいでした













