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【J2:第14節 熊本 vs 栃木】レポート:5試合連続無失点で3連勝を飾った栃木が4位に浮上。敗れた熊本は、これまでの良さを発揮できず(10.05.23)

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5月22日(土) 2010 J2リーグ戦 第14節
熊本 0 - 2 栃木 (13:03/水前寺/2,803人)
得点者:50' 崔根植(栃木)、66' リカルドロボ(栃木)
スカパー!再放送 Ch183 5/23(日)後04:00〜
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ともに放ったシュートは8本ずつ。だが松田浩監督が「いい試合をやってくれた」と話した通り、内容的には栃木の完勝だったと言える。5試合連続無失点で3連勝を飾った栃木はこれで10戦無敗となり、熊本を抜いて4位に浮上。一方の熊本は全体的にミスも多く、最後の部分での工夫が足りずに今シーズン4敗目を喫し、順位も6位となった。

それでも、立ち上がりにペースを握ったのは熊本。1分には松橋章太、2分には西弘則が抜け出すなど、前線の動き出しに対する福王忠世らバックラインからのロングフィードでシンプルに栃木DFラインの裏を狙い、またピッチを広く使った展開などから栃木の守備陣を動かしてチャンスを作ってはいた。長いボールで栃木のラインを押し下げることで中盤にもスペースが生じ、DFラインとボランチの間にフリーで顔を出す藤田俊哉がさばき、両サイドも含めたサポートの距離も良かったことで、徐々にボールを動かし始める。
だが栃木も、熊本のサイドチェンジに対して連動してスライドしながら、最終ラインは決して綻びることなく、粘り強く対応。加えて佐藤悠介と米山篤志の2人が中盤でバランスを取り、球際に激しくアプローチをかけてはボールを奪う。全体的にラインが下がっていたことで攻撃のスタート地点がやや低く、効果的なショートカウンターを繰り出すにはゴールまでの距離が遠かったものの、高木和正と杉本真もよく絡んで両サイドバックのオーバーラップを促して少しずつ押し戻していく。しかし前線の2人にうまくボールが収まらず、こちらも得点を奪うには至らない。とは言え、前半のシュート数は熊本の2本に対して栃木は4本。30分を過ぎたあたりから、流れは少しずつ栃木へ傾いていた。

「前半の立ち上がりは熊本のアグレッシブさに対して受けに回った」と捉えていた松田監督は、ハーフタイムに「後半の頭が勝負」と話している。果たしてその言葉通り、試合が動いたのは後半立ち上がりの50分。熊本陣内に少し入ったあたりから佐藤が右へ開くと、これを受けた杉本は中央のスペースにいた崔根植へ折り返しのパス。この栃木の攻撃に対して熊本の対応が遅れ、崔は何のプレッシャーも受けることなくゴールへ向かってターン。左足でしっかりとミートしたきれいなシュートでネットを揺らした。ハーフタイムの監督コメントが記者席に配られたのはこのゴールの後だったが、栃木の選手たちは指揮官の指示に忠実に応えたことになる。

これに対して熊本の高木琢也監督は藤田を下げて井畑翔太郎を投入。前線に起点を作ろうと試みるが、守備から攻撃へ転じる際のミスで不用意にボールを失うなど「連続して攻撃ができない」(高木監督)状態で、序盤のような流動性も見られない。逆に66分には、再び崔、リカルド・ロボ、高木の3人のパスワークで中央を割られて失点。先制を許した場面同様、ボールに対する寄せが甘くなっていたところを突かれた恰好だった。
直後に熊本は宇留野純を下げて平木良樹をピッチへ。2試合目の出場となる平木が独特のリズムでボールに触れて少しずつペースを引き戻していくが、熊本の攻撃は単調で、サイドに開くまではいいが、そこから先の形がなかなか作れない。特にDFラインの前後、スペースやギャップを作る動きがなりを潜めたことで、間でボールを受けることができず、栃木としては逆に中をしっかり固める意識が高まり守りやすい展開になっていったと思われる。76分には市村篤司、88分にも吉井孝輔が惜しいミドルを放つ場面があったがいずれも枠を捉えられず、89分にも左CKから井畑が頭で狙うがバーに阻まれるなど、結局ゴールを奪えないまま終了の笛を聞いた。

栃木は押し込まれた時間も我慢して耐え、取るべきところでしっかりと点を重ね、堅実とも言える戦いぶりで勝点3を手にした。もちろん90分間を通じて圧倒したわけではないにせよ、「選手自身が賢くやろうということでゲームを進めてくれている」と松田監督も話しているように、うまくペース配分したゲーム運びを展開。それも、ここまでのベースとなっている守備においてそれぞれが役割を果たすことで、必ず流れが来ることを信じられるようになっているからだろう。結果が自信を生み、自信がさらに結果をもたらすという上昇スパイラルが続いている。
一方の熊本だが、福岡戦で6点を失って感じたのとは違う種類の残念さが残るのは、良かった試合でやれていた根本の部分が発揮されなかったから。それは例えば、球際での迫力や切り替えの早さ、攻撃での積極的なチャレンジ、最後まで相手よりも多く走る姿勢などだと思うが、そこにミスが乗じれば「サッカーにならない」(高木監督)のも無理はない。攻撃面で停滞していた印象もあるため、そちらも気になるのは確かだが、今日のゲームに関しては失点場面の対応が淡白に過ぎた。ゲームの流れを掴むには、やはりベースとなる守備あってこそ。次節まで1週間、再び土台を立て直して大分を迎えたい。

以上


2010.05.23 Reported by 井芹貴志
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