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【J2:第20節 熊本 vs 草津】レポート:草津が2試合連続完封で中断後負け無しを継続。1点に泣いた熊本は、ゲーム内容の波をなくすことが上位追走の鍵。(10.08.02)

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8月1日(日) 2010 J2リーグ戦 第20節
熊本 0 - 1 草津 (19:03/熊本/8,887人)
得点者:50' 後藤涼(草津)
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 福岡は試合がなく、鳥栖も引き分けて勝点1を積み上げたに留まった今節は、千葉を追走する4位争いから抜け出す大きなチャンスだった。しかし熊本は勝点を積み上げることができず、勝点では福岡、鳥栖と並んでいるものの得失点差で6位に後退。こういう状況で確実に歩みを進める強さが、まだ身についていないということか。
 迎えた草津は前節出場停止だったFWラフィーニャが先発に復帰したが、副島博志監督が「休養にはなったかもしれないが、ゲーム勘で鈍っていたかもしれない」と話したように、特に前半は福王忠世らの執拗なマークを受けてうまくボールを収められず、周囲との距離もやや遠かったことで、起点になっていたとは言いがたい。それでも、中盤のタイトなアプローチをはじめとする球際の強さで熊本を上回った草津のペースで、立ち上りから試合は進む。
 対する熊本は、そうした早いプレスに戸惑ったのか、序盤は落ち着いてボールを回せなかった。それでも15分過ぎから徐々に両サイドを起点に攻撃の形を作り始めるが、ブロックを作った草津のDFラインの前に決定機と呼べるようなチャンスは作れていない。これは草津の攻撃から守備への切り替えが早く、「相手がスペースを消して裏に出るチャンスがなく、どうしても(攻撃に)時間をかけてしまった」(高木琢也監督)ことに起因している。「対応していく中でリズムが作れていくというのが、ここまでの流れ」と高木監督も話しているが、この日の熊本は選手間の距離が悪い上にパスの精度も低く、中盤で不用意に奪われる場面も頻発。前半の30分あたりからはゲーム自体が膠着したが、「蒸し暑い中でのゲームで、前半の途中から急にテンポを上げるような指示は出さなかった」(副島監督)という草津の思惑にはまったとも言える。

 そして後半立ち上りの50分、前半から目についていたミスが発端となって、草津の先制&決勝点が生まれる。自陣で身体を張ってボールを奪った櫻田和樹が熊林親吾へとつなぐと、熊林は右サイドを疾走していた高田保則へ。その高田が選択したのは、熊本DFを引っ張ってニアに入って来たラフィーニャではなく、ファーサイドにフリーで入って来た後藤涼へのクロス。本人曰く「打ってくれという優しいボール」を、お手本のような右足のボレーで後藤が突き刺した。2日前に「ラフィーニャに気を取られてマークがずれると良くない」と話していた高木監督の懸念が、そのまま失点につながった。
 その後、熊本はパフォーマンスが低下した平木良樹に替えて58分に宇留野純、64分に松橋章太に替えて藤田俊哉、75分には足を痛めた堤俊輔に替えてファビオと、立て続けに攻撃のカードを投入。終盤にはCBのチョ・ソンジンも前線に上げてパワープレーに出たが、草津の守備を崩せず後半のシュートは82分のファビオと90分のカレン・ロバートの2本だけ。逆に全体が前にかかってバランスが崩れ、守備の対応が甘くなり熊林や後藤に決定的なシュートを許すなど、追加点を奪われなかったのは幸いしたものの、終盤にDFダニエルを入れて守りを堅めた草津に逃げ切られる格好となった。

 勝った草津はこれで中断明けの九州勢との3連戦を2勝1分の無敗で切り抜けた。確かに追加点を決められずに終盤苦しんだとは言え、2試合連続の完封は小さくない手応え。「チーム全体として、攻守において意図する形は作り出せるようになっている」と副島監督が話した通り、守備の安定が好循環を生んでいる。リードして以降の戦い方には課題も残るが、「継続してやっていくことが大事」だと後藤も言う。
 逆に熊本は、うまく運べた前節のゲームから一転、攻守両面において自分たちがやるべきサッカーを草津にしてやられた。失点の形や時間帯は過去にもあったパターンで、修正というより繰り返さないことが求められる。攻撃でも、高木監督が「多分、我々の方が2タッチでのプレーが少なくて、その差がポゼッションにも現れたかもしれない」と話しているように、判断の遅さや運動量も影響して草津のプレスをうまくはがすまでには至らなかった。先制されて以降も時間はあったし、中断期間に取り組んだ成果が徐々に出ていることを踏まえれば土台はあるはずなのだが、全体的に落ち着きを失ってロングボールを入れる形になったことも残念。
 この日失った3ポイントが終盤にどう関わってくるか、その重みはまだ分からない。ただ言えるのは、残りの17試合、どこが相手でもコンスタントに力を発揮して戦い方を安定させなければ、3つの椅子に座るのは難しい、ということだ。

以上

2010.08.02 Reported by 井芹貴志
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