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【J1:第10節 名古屋 vs 清水】レポート:名古屋が先制するも思わぬ形で失点し、ドローに終わった一戦。消化不良の感が否めない両チームは、ともに勝利への決め手を欠いた。(11.05.08)

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5月7日(土) 2011 J1リーグ戦 第10節
名古屋 1 - 1 清水 (15:04/瑞穂陸/11,559人)
得点者:8' 玉田圭司(名古屋)、18' アレックス(清水)
スカパー!再放送 Ch186 5/8(日)後11:00〜
totoリーグ
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「得点ができなかった」。
試合後の両監督は、勝利をつかめなかった理由として同じ要因を挙げた。1−1のドロー劇は、ともに相手のミスから決定機をつかんだ得点によるもの。それでもストイコビッチ監督もアフシン ゴトビ監督も「いいゲームだった」と語った一戦は、内容に結果が伴わない、消化不良のゲームといえるものとなった。

負傷者が続出し、しかも前戦から中2日での試合となった名古屋は、11人中10人を同じメンバーで構成。指揮官曰く「ベストメンバーで臨んだ」。AFCチャンピオンズリーグの杭州緑城戦からの変更点は、左サイドバックを阿部翔平ではなく、三都主アレサンドロとしたこと。阿部は杭州緑城戦で両足をつっており、コンディション面を重視しての起用だったと考えられる。ゲームメイカーの藤本淳吾は今回もボランチでの起用となった。

司令塔の小野伸二を負傷で欠くエスパルスもまた、布陣に少々手を入れてリーグ王者との一戦に臨んできた。DFラインは右肩を脱臼し戦線離脱した平岡康裕に代わり、前節ではアンカーを務めた岩下敬輔が本来のポジションに戻った。中盤には山本真希と枝村匠馬、アレックスの3名が選ばれたが、並びはアンカーを置く逆三角形ではなくアレックスをトップ下とする形。3トップは伊藤翔に大前元紀、そして前節で存在感を見せつけた高木俊幸が、初のスタメンを勝ち取っていた。

この試合のひとつの焦点は、清水のディフェンスがどの程度前に出てくるかだった。ホームでは中盤から前の5名〜6名が相手陣に入るくらいの激しいプレッシングを敢行していたが、アウェイで、しかも永井謙佑や玉田圭司といった俊足の選手を揃える名古屋に対しては大きなリスクを伴う。そのマネジメントの天秤をどちらに傾けるのか。答えはキックオフ直後に明らかになった。清水は、勇気を持って前に出てきたのである。

真っ向勝負となった試合の先手を取ったのは、ホームの名古屋だった。2分の藤本の直接FKは枠を外れたが、この一戦を最も意識する男がオープニングシュートを見舞うあたりは何やら因果を感じる。そして8分、相手の勇猛さを逆手に取る形で、名古屋が先制点を奪った。三都主のクリアボールをハーフラインあたりで処理しようとしたDFから、永井が疾風のごとき速さでボールをかっさらった。そのまま左サイドを駆け上がると、2人のDFを振り切って柔らかなクロス。走り込んだのは玉田が遠ざかるボールをうまく頭で合わせ、リーグ2試合連続となるゴールを決めた。名古屋で一、二を争う俊足の二人による高速カウンターは、清水が背負っていたリスクを見事に突く痛快な一撃だった。

だが、せっかく奪ったリードも、今度は相手の勇猛さによって失ってしまう。失点した清水は前からのプレスを続行。自陣でのビルドアップを阻まれた名古屋は次第に押し込まれ、単調なロングパスもしくは単なるクリアを繰り返すようになっていった。その展開を「もうちょっと頭使ってやればよかった」と悔やむのは千代反田充だ。思うようにショートパスがつなげず、相手陣に広がる広大なスペースへのフィードも呼吸が合わない名古屋は、プレスから逃げるようにバックパスを連発。GK楢崎正剛がセーフティにクリアする場面が増えていった。「だから、結局プレッシャーがかかってナラさんに返して、ナラさんも蹴るばかりじゃあってつなごうとした結果、ああいうプレーになった」(千代反田)。「ああいうプレー」が起きたのは18分。田中隼磨からのバックパスを逆サイドにつなごうとした楢崎がまさかのキックミス。プレスに来ていた大前に渡ると、1対1のシュートは防いだが、こぼれ球をアレックスに詰められた。リーグ戦450試合目となった節目の一戦で犯した手痛いミスに、名古屋の守護神も「凡人以下のプレー」と反省しきり。先制した試合では無類の強さを発揮してきた王者だったが、思わぬ形でアドバンテージを手放してしまった。

その後は互いに得点機をものにできず、気温の高さと連戦の疲労もあってかやや弛緩した時間が流れていった。名古屋は35分、40分と新人の吉田眞紀人が惜しいチャンスを逃し、後半に入っても53分の小川佳純、66分の永井、71分の小川と決定機を逃し続けた。67分には吉田に代えて橋本晃司を、79分には小川に代えて前戦の殊勲・久場光を投入するなど変化をつけてきたが効果は上がらず。一方の清水は60分にアレックスがポスト直撃のシュートを放つにとどまり、こちらも勝点3獲得への決め手を欠いた。

手負いの布陣で引き分けた名古屋と、果敢なプレーで引き分けに持ち込んだ清水。それぞれに内容では収穫のあった一戦だったが、結果としては消化不良の両チームの選手たちは一様に浮かない表情をしていた。先制点を守りきれなかった名古屋はなおさらで、反省の弁ばかりが口をついた。しかしながら、ベテラン中村直志や中堅の小川が「勝てた試合だけに残念」と悔しがり、新人の吉田が「ハードな日程では僕みたいに若い選手が一番走らないと。それができないのは自分のレベルが低いということ」と発言すること自体は、ポジティブにも受け取れる。中村はこうも言った。「連戦ですけど、その流れの中でも体は動けていた」。チームの過密日程はここからピークを迎えるが、戦う上で最も必要な精神力が充実している今は心配無用だ。まずは中3日で行われるUAEでのACLグループリーグ最終戦。メンバーの大幅な入れ替えは必至だが、それもまた“ベストメンバー”である。清水戦での反省を胸に総力戦で挑む名古屋の、中東からの朗報が届くことを期待したい。

以上

2011.05.08 Reported by 今井雄一朗
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